31日、卓球の女子シングルス準々決勝と準決勝が行われ、石川佳純(全農)が準々決勝でワン・ユエグ(シンガポール)に4−1(8−11、11−5、11−4、11−8、11−4)で勝利し、日本人初の準決勝進出を果たした。準決勝では世界ランク3位の李暁霞(中国)に1−4(5−11、4−11、13−11、6−11、7−11)で敗れたものの、銅メダルをかけて1日の3位決定戦に臨む。また、同じく8強入りした福原愛(ANA)は世界ランク1位の丁寧(中国)に0−4(13−15、6−11、6−11、4−11)のストレート負けを喫し、準々決勝で敗退した。
 158センチと小柄な19歳が日本卓球界の重い歴史の扉を開いた。
 初出場でベスト8に入った準々決勝、石川は序盤、相手にペースを許し、第1ゲームを失う。だが、ここで慌てなかった。第2ゲーム以降は安定した戦いで4ゲーム連続で奪取。北京五輪の団体でシンガポールの銀メダルに貢献したワンを寄せ付けず、快勝を収めた。

 勢いに乗る石川が準決勝で激突したのは李暁霞(中国)。昨年の世界卓球で準優勝した実力者だ。第1ゲームは、李暁霞がレベルの違いをみせつけた。フォアハンドと見間違うような強烈なバックハンドを放つなど、連続ポイントで石川を圧倒。11−5でゲームを制した。

 流れを変えたい石川だが、相手のサーブになるとレシーブを強打で返され、得点をあげられない。対する李暁霞は石川のサーブに、きっちりと対応し、4−4から7連続ポイント。一気に2ゲームを連取し、試合の主導権を握る。

 だが第3ゲーム、石川はサーブでリズムをつかみ、互角の攻防を繰り広げる。お互いに点を取り合い、8−10。相手のゲームポイントになってから、さらに粘りをみせた。1点を返した後、サーブから速いフォアハンドを相手の懐へ打ち込む。苦し紛れのバックハンドはアウト。11−11のデュースに持ち込んだ。

 なおも李暁霞のサーブに対し、レシーブを短く打って強打を封じる。最後は相手が踏み込んで放ったフォアがアウトになり、逆に石川がゲームポイントを迎えた。この得点が大きかった。次はサーブが石川に移り、高くボールを上げて相手コートへ打ち込むと、レシーブは大きく外れた。石川が土壇場での連続ポイントで1ゲームを取り戻す。

 続く第4ゲームも石川は2ポイントを先取するなど順調な滑り出し。第3ゲーム同様、競り合いからチャンスをうかがう。しかし、世界ランキング3位はここから本領を発揮する。5−6と1点ビハインドの展開から、力強いフォアハンドで揺さぶり、流れを取り戻した。一気に6連続ポイントで、このゲームをモノにし、石川のペースには乗らなかった。

 第5ゲームも李暁霞が優位に進める展開。石川は連続ポイントが奪えず、どうしても及ばない。最後は7−10のマッチポイントから、バックハンドがネットにかかり、決勝進出の夢は断たれた。

 ただ、まだ日本卓球界初のメダルの可能性は残されている。1日の3位決定戦ではティアンウェイ・フェン(シンガポール)との対戦が決まった。世界ランキングは8位と石川(6位)よりも下だ。強豪相手に互角に渡り合った部分を自信に、快進撃を勝利とメダルで締めくくる。