今季は前期2位、後期4位。通期勝率2位と、少々残念な結果に終わりました。前半はホセ・ガルシア(元巨人)とハ・ジェフン(東京ヤクルト)が投打の中心にいて、戦力が整っていましたが、シーズン中に2人ともNPB入りが決まったことで、後期にかなり響きました。

 

 2人が抜けたことで他の選手にチャンスが巡ってきましたが、なかなか代わりを務まる選手は見当たりませんでした。これに加えて、後半は勝ち頭の福永春吾が中指の爪を負傷したことで、ピッチャーの台所事情が苦しくなりました。チームの底上げができなかったことが、2位に終わった原因だと考えています。

 

 今季は野手部門で、最多打点に小林義弘(49打点)、最多本塁打にアントニー・ホーキンス(9本)、最多盗塁に橋本球史(21盗塁)が輝きました。投手部門では、福永が81奪三振で最多奪三振を獲得。8個あるタイトルのうち4個も獲れたことは素晴らしいことですが、チーム打率(.253)やチーム防御率(3.28)が納得いくような結果ではなかったので、まだまだ練習不足であることを痛感させられました。

 

 来季、期待しているのはルーキーの平間隼人、垂井佑樹です。2人は今季、レギュラーとして1年間戦い抜いてくれました。彼らは若いので、成長する要素がたくさんあります。捕手の垂井は非常に真面目で、考えながらプレーできている。その一面を大事にしながら育てていきたいと思います。一方、平間は現状のままでは試合に出られないという危機感を持ってほしい。厳しいことを言うようですが、考え方が子供です。来季は、相当頑張ってくれることを期待しています。

 

 エース福永、支配下指名の可能性大! 

 さて、いよいよ明日、ドラフト会議が行われます。今年は3選手に調査票がきています。投手では福永と木下雄介です。福永は今まではバッターに対して常に全力投球でしたが、引くところは引くという駆け引きを覚えたようです。周りを見られる余裕も生まれ、大人のピッチングができるようになりました。

 

 彼は育成ドラフトでは間違いなく指名されると思いますが、こちらとしては支配下で指名してもらいたい。木下は支配下では恐らく難しいかと思いますが、育成ドラフトで指名される可能性は十分あります。

 

 野手ではキャプテンの小林です。これまで先輩たちについて行くばかりでしたが、今季からキャプテンを務めたことで、彼には“自分が進んでやらないといけない”と自立心が芽生えたと思います。1年を通して、精神面で大きな成長を遂げました。技術に関しては、今季打点王を獲得したことからも分かるように、独立リーグの中ではパンチ力があります。しかし、プロに入れば小林レベルはザラにいるので、もっと頑張らないといけないでしょう。

 

 育成ドラフトは、ドラフト会議の流れで大きく変わります。狙い通りに支配下選手を獲得できた球団は、育成選手はいらないということもある。逆に獲得できなかった球団は、チームの補強ポイントとして育成選手を多く指名することもある。こればかりは、ドラフト会議の行方次第で変わるので、始まってみないと分かりません。

 

 去年は育成ドラフトで増田大輝(巨人)と吉田嵩(中日)がそれぞれ上位で指名され、NPB入りを果たしましたが、支配下での指名はありませんでした。今年こそ支配下で指名されることを祈って、明日のドラフト会議を見届けたいと思います。

 

中島輝士(なかしま・てるし)プロフィール>:徳島インディゴソックス監督
1962年7月27日、佐賀県出身。柳川高時代はエースとして3年春の甲子園に出場。プリンスホテルに進んで野手に転向する。87年のソウル五輪予選で日本代表に選ばれて活躍。本大会でも好成績を残し、チームの銀メダル獲得に貢献する。89年に日本ハムにドラフト1位で入団。1年目に史上2人目となるルーキーの開幕戦サヨナラ本塁打を放つ。92年はオールスターに出場し、打率.290、13本塁打をマークした。96年に近鉄に移籍後、98年限りで引退。その後は近鉄や日本ハムで打撃コーチ、スカウトを歴任。11年には台湾の統一セブンイレブンでコーチとなり、12年途中からは監督に昇格する。14年は徳島のコーチを務め、15年から監督に就任。


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