(写真:第17節、明徳義塾高校戦)

(写真:第17節、明徳義塾高校戦)

 愛媛FC U‐18が参戦している「高円宮杯U‐18サッカーリーグ2016・プリンスリーグ四国」は最終戦(第18節)まで優勝の行方が分からないという、大混戦のシーズンであった。

 

 昨年9月に行われたプリンスリーグ四国の第14節において勝利し、リーグ戦の首位に躍り出た愛媛FC U‐18。だが油断はできない。2位のチームとは、勝ち点が並んでおり、得失点差もわずか1点の差だ。3位チームとの勝ち点も2ポイント差という大接戦。優勝するためには、残り4試合行われる上位チームとの直接対決を全て制さなくてはならないという状況である。ひとつの負けが、命取りとなるのだ。

 

 2016年11月19日(土)、「愛フィールド梅津寺(松山市梅津寺町)」にて、第15節となる「愛媛FC U‐18対徳島ヴォルティスユース」の一戦が行われた。

 

 試合開始からボールを支配し、敵陣に侵入して攻撃を展開する愛媛。前半10分に田村勇士選手のアシストから、木田寿輝斗選手が先制ゴールを決める。23分、小倉貫太選手が追加点を決めると立て続けに木田選手が再びゴールを奪い、愛媛が3点差をつけて試合を折り返す。

 

 後半8分には、アシストを連発していた田村選手自身が得点を決めて勝負あり。4-0で愛媛FC U‐18がJリーグのクラブユース対決を制した。愛媛FW陣の活躍が目立った試合だったが、相手にシュートを2本しか打たせなかった守備陣の頑張りも素晴らしかった。

 

 翌週の26日(土)には、「Pikaraスタジアム(香川県丸亀市)」にて、第16節となる「四国学院大学香川西高校対愛媛FC U‐18」の一戦が行われた。普段Jリーグの公式戦が行われている大きなスタジアムが会場のため“選手たちに硬さが見られるのでは……”と心配したが、取り越し苦労だったようだ。

 

 試合の立ち上がりこそ、相手のミドルパスを織り交ぜる攻撃に戸惑ったが、すぐに落ち着きを取り戻した。軽快なパス回しから、攻撃を組み立てていく愛媛。前半7分、ペナルティーエリア内で相手GKのファウルを誘い、PKを獲得。これを木田選手が落ち着いて決め、愛媛が先制点を奪取した。この得点で試合の主導権を握ると2分後には、松岡昂哉選手が追加点を決める。

 

 後半19分にもPKを獲得し、清水敬士選手が決めた。この日は相手のシュートを3本に抑え、完封。3-0で愛媛FC U‐18が、リーグ戦再開後に連勝をマークし、首位の座を守った。

 

 次節はリーグ戦2位の明徳義塾高校との首位をかけた対戦が控えていた。試合終了後に選手たちと決戦に向けて気合を入れ直した。

 

 迎えた12月3日(土)の首位攻防戦。舞台は「徳島スポーツビレッジ(徳島県板野郡)」だった。両チームのベンチに緊張感が伺えた。

 

 愛媛は立ち上がりから積極的な攻撃を見せた。サイドのスペースを使い、細かいパスワークでボールを敵陣へと進める。それに対して、ロングフィードやカウンターを多用し、愛媛ゴールを脅かす明徳義塾。手に汗握る一進一退の攻防は、試合終盤まで続いた。このまま引き分けかと思われた後半37分。守備陣の一瞬の隙を突かれ、相手に先制点を献上した。

 

 その後、必死で反撃を試みる愛媛。決定機を迎えるが、得点には至らなかった。無情にも時間は過ぎ去りタイムアップ。0-1で、愛媛FC U‐18の惜敗となった。

 

 リーグ戦優勝のためにも、重要だった一戦を落とした代償は、余りにも大きいものだった。この結果を受け、順位は首位から3位へと転落。残り1試合での逆転は厳しく、「リーグ優勝」そして「プレミアリーグ参入戦進出」の夢は遠のいた。

 

(写真:最終節、徳島市立高校戦)

(写真:最終節、徳島市立高校戦)

 12月10日(土)、敵地に乗り込み、一縷の望みを託して臨んだ最終戦(第18節)。徳島市立高校を相手に派手な打ち合いを演じたが4-6で敗れた。前節の敗戦のショックを引きずっていたのか、1試合で6失点は今季ワースト。冷たい雨が降る中、ディフェンス力を発揮できなかった。

 

 そして、この日で愛媛FC U‐18チームの2016シーズンが終了した。プリンスリーグ四国での戦績は「11勝4敗3引き分け(勝ち点36)」で、リーグ戦3位という悔しい結果に終わった。

 

 試合後、肩を落とし涙ぐむ選手たちの姿が痛々しかった。チームを去る3年生にとっては、愛媛FC U‐18での公式戦出場は、この試合が最後であり、その寂しさがあったはずだ。下級生にとっても、卒業する先輩たちのために最終戦を勝利で飾ることができなかったという悔しさがあったのだと思う。

 

 長いシーズンを立派に戦い終えたのだから、落ち込む必要はないし、皆には胸を張って欲しい。そして、チームを卒業する選手たちには、ここで得た経験を多方面で活かしていただきたい。新チームの選手たちには、先輩たちの無念を晴らして欲しい。

 

 最後に愛媛FCのクラブ環境に身を置き、逞しく成長してくれた3年生へ感謝の気持ちを贈りたい。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja

Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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