今回で17回目を迎えた「大亀財団スポーツ賞」の表彰式が2月22日、DCMダイキ本社で行われた。2001年から始まったスポーツ賞はスポーツ界で優秀な成績を収めたり、育成・発展に貢献した個人や団体を称えるもの。今回は7人、3団体が受賞した。


 スポーツ大賞は「愛顔つなぐえひめ国体」で優れた成績を収め天皇杯・皇后杯2位の原動力となった愛媛県剣道連盟、同なぎなた連盟、同空手道連盟の3団体。各団体の地元国体に向けた強化策とその成果が大きく評価された。

 

 剣道連盟は2004年にえひめ国体開催の内々定を受けて、理事会で「何をなすべきか」と検討を重ね、09年から国体に向けた強化に取り組んだ。競技力を高め、選手層を広げる。この2つを柱とした強化策は昨年の国体で、成年男子、成年女子、少年男子、少年女子が全種目優勝の完全優勝という形で結実した。連盟では「これが一過性のものにならないように、次につないでいき、愛媛県を剣道王国にしたい」と総括している。

 

 愛媛県のなぎなたは常に全国ベスト8に入る強豪だったが、「試合は勝つが、演技で優勝できない」ことが長年の課題だった。国体に向けて全日本なぎなた連盟審判部に技術上の観点について指導を受け、それを指導者、選手に徹底周知。結果、"正しいなぎなた"が定着してきたという。国体では少年女子が演技で優勝、試合でも22年ぶり2度目の優勝で二冠を達成した。成年女子は演技で初の頂点を極め、試合も準優勝し総合優勝を果たした。決して多くない競技人口ながら、地元で育った指導者に育てられた地元選手たちの活躍について連盟では、「なぎなたのさらなる振興と発展につながることを期待したい」としている。

 

 空手は国体開催内定の12年から強化をスタートした。優秀選手の発掘、優秀指導者への協力依頼、強豪県との強化練習など年次ごとに強化策を更新。強化のハードルを上げていくことで、えひめ国体開催の3年前には強化選手は全国区レベルへと成長したという。国体本番では個人戦で4選手が優勝し、団体戦も優勝。代表10選手全員が入賞を果たして、初の総合優勝に輝いた。

 

 空手の代表10選手は約30人の候補選手の中から選ばれたが、代表漏れした選手たちも国体直前の最終練習日まで代表練習に協力。まさに愛媛チーム全員の熱い情熱とチーム一丸の取り組みによる快挙である。

 

 スポーツ大賞の他、選手育成に貢献のあった指導者に贈られる「菜の花賞」は、越智昇氏(弓道)、倉永忠氏(卓球)、酒井秀和氏(ソフトボール)、丹下隆之氏(銃剣道)へ。「ふるさとスポーツ賞」は愛媛県松前町で早朝ランニング指導に尽力した小笠原陽子氏に贈られている。また特別賞がスポーツ振興に功績のあった藤原惠氏と水沼ひかる氏に授与された。

 

 大亀スポーツ振興財団・大亀孝裕理事長はこう述べている。
「受賞された皆様の日頃の努力、精進に対しまして心より敬意を表しますとともに、お慶びを申し上げる次第でございます。周知のとおり平昌オリンピックでは、羽生結弦選手、小平奈緒選手らの金メダルが国民を熱狂させ、昨年、当財団でスポーツ大賞を受賞された郷亜里砂選手がスピードスケート女子500メートルで8位入賞、東温高校出身の片山来夢選手がスノーボードハーフパイプで7位入賞するなど、県民にスポーツの魅力を改めて見せてくれています。
 昨年開催されたえひめ国体は、天皇杯・皇后杯ともに2位という過去最高の成績を収め、県民に多くの感動と夢を与えるとともに、本県のスポーツ界に大きな足跡を残しました。当財団もえひめ国体の成功に向けて、微力ながら支援に努めて参りましたが、選手や指導者を始め関係者の方々の懸命の努力により、このような成果を挙げることが出来たことは、誠に素晴らしくご同慶に存ずる次第であります」

 

 大亀会長はさらに今後の愛媛県スポーツ界の強化、発展についても語った。
「それぞれの市町において開催された競技種目を中心に、おらが町の"ふるさとスポーツ"として定着させ、地域の活性化につなげていくことが重要であります。健康的で豊かな生活を送り、青少年の健全育成を図る面からも、スポーツの果たす役割は極めて大きい。スポーツの効果を改めて見直して、明るく活力ある社会を作っていかなければならないと思います」

 

 愛媛県スポーツ界全体で国体後も継続してスポーツ振興、強化に取り組んでいくことになる。


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