昨秋、地元のえひめ国体を成功させた愛媛県スポーツ界は、新年度を迎えて各競技団体が「アフター国体」に向け、新たな取り組みをスタートさせている。そんな中で大亀スポーツ振興財団(以下、財団)は今年度のスポーツ振興支援事業計画書を発表した。

 

 同財団が設立されたのは2000年のこと。県内スポーツの振興、普及、サポートを目的としたもので、創立者である大亀孝裕代表理事は、財団の理念についてこう述べている。

 

「近年、スポーツが心身ともに健康な生活を営む上で不可欠なものと認識されています。競技スポーツをはじめ、誰でもいつでもどこでも取り組める生涯スポーツ等、一層の振興を図るためには、一人一人が様々なスポーツ活動に親しめるよう各般にわたる環境を整えることが大切であり、行政、スポーツ団体、民間等それぞれが役割を分担し、相互に連携・協力を図りながら望ましいスポーツライフ実現のための支援を行っていくことが必要であります。こうした実情を踏まえ、その一助となることを念願して、当財団を設立いたしました。今後とも、愛媛におけるスポーツの向上発展に寄与したいと考えています」

 

 今年度、財団のスポーツ振興支援事業は、以下のような計画で行われる。

 

 大きな柱は2つあり、「スポーツ大会の開催支援等に関する事業」と「スポーツ選手及び指導者の育成支援に関する事業」だ。

 

 大会開催支援については各種スポーツ大会の開催支援、運営費助成などを実施し、さらに中学・高校の運動部の後援会や地域の後援会活動を充実、強化するために必要な経費の一部を助成する。その他、団体設立や運営に対する支援、スポーツ活動の紹介、広報活動に対する支援など、幅広く支援活動を行う計画になっている。

 

 また選手と指導者の育成支援については、世界大会、全国大会で活躍が期待される選手、コーチ、監督などを指定し、国内および海外遠征、強化合宿などの経費の一部を助成する計画だ。

 

 財団の支援計画とともに県内スポーツを支えるのが、えひめ国体で残された県内各地の競技施設や練習施設、いわゆるレガシーである。

 

 例えば西条市にある「石鎚クライミングパークSAIJO」は、国体の山岳競技会場として使用されたが、国体後は全国大会など大規模な競技会開催が計画されている。県内でハイレベルな競技会を開催することは、競技のレベルアップだけでなく、子供たちを含めた裾野の拡大にもつながることになる。

 

(写真:石鎚クライミングパークSAIJO。国体レガシーの活用で県内スポーツの強化、そして裾野拡大を狙う)

 こうした動きは西条市だけでなく、他の県内自治体にも広がっている。えひめ国体後、県内スポーツ界は「一町一技」の旗印を掲げて活動を始めている。また国体レガシーを使い、東京オリンピックに向けた参加国の合宿誘致という動きも各地で起きている。「わが町に根付くスポーツを、わが町が誇れるスポーツを」と、草の根から始まるスポーツ支援、強化活動が今後の国体や各全国大会、そして2020年東京オリンピック・パラリンピックでの愛媛県勢の活躍につながっていくことになる。


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