(写真:1アンダーでホールアウトした秋吉<左>。最終組、ヘンドリーがパーパットを外した瞬間、初優勝が決定。仲間からのドリンクシャワーで祝福された)

 

 27日、男子ゴルフ国内ツアー「~全英への道~ミズノオープンatザ・ロイヤル ゴルフクラブ」の最終ラウンドが行われ、3打差6位タイからスタートした秋吉翔太が5バーディ(3ボギー)で周り、トータル1アンダー(287)。プロ10年目でツアー初優勝を決めた。なお今大会は全英オープンのクオリファイリングトーナメントであり、優勝者の秋吉、2位タイの川村昌弘、小林正則、マイケル・ヘンドリーの4人が全英出場権を得た。

 

 最高気温20.9度、風速1.7mと大会期間中もっとも穏やかな気候になったこの日のザ・ロイヤル ゴルフクラブ。秋吉は1番ホールでボギーとなったものの、続く2番ホールでバーディを決めてリカバリー。その後はパー、バーディ、ボギーで前半を1アンダーで折り返した。後半は10番ホール、13番ホールでバーディを決め、1ボギーでイーブンとした秋吉は、全長705ヤードのザ・ロイヤルGC最大の難所、16番ホールでショットが冴えた。

 

(写真:先にホールアウトした秋吉。「プレーオフも覚悟していた」と語り、最終組を見守った)

 セカンドショットでフェアウェイをキープして残り171ヤードのサードショット。ここで秋吉は「10ヤードマイナスでいい」と、グリーンオーバーを嫌って9番アイアンを選択した。結果、ピン右ポール1本分につけるスーパーアプローチとなりバーディ。これで優勝争いに名乗りをあげた秋吉は17番、18番とパーでまとめてホールアウト。最終組のヘンドリーの結果を待つこととなった。

 

 単独トップの2アンダーでスタートしたヘンドリーは前半を2バーディ2ボギーでまとめたが、後半、ショートホールの11番でボギーを叩き、15番もボギー。だがショートホールの17番でロングパットを沈めてバーディ。秋吉とトップタイに並んだ。

 

(写真:最終ホール、パーパットを外したヘンドリー。「全英に行けるのは光栄。でも、今は優勝を逃した悔しさが……」と言葉少なだった)

 だが、迎えた最終ホール、ティーショットをバンカーに入れたヘンドリーはセカンドショットをグリーン手前に運ぶのがようやく。3オンしたものの、2段グリーン下段からという難しいパットとなった。慎重にラインをチェックしたヘンドリーのパット。沈めれば秋吉とプレーオフという局面だったが、無情にもボールはカップの右側へ。ヘンドリーが天を仰いだ瞬間、18番ホール近くの練習グラウンドから歓声があがった。プロ10年目、ツアー参戦8年目、秋吉の初優勝が決まった。

 

 秋吉はザ・ロイヤルGCで行われた初のミズノオープンをこう振り返った。
「タフなコースセッティングはわかっていたので楽じゃないと思っていました。まさかここで優勝できるとは考えていなくて、パーをキープしてとにかく耐えて耐えていただけでした。16番、バーディをとったのは自分でも信じられないくらい完璧な攻めができた。あのバーディパットを沈めれば優勝の目があるかもと、初めてそこで優勝を意識しました。とにかく優勝がうれしくて全英、そして全米はまだ実感がわかないですね」

 

(写真:左から全英オープン出場権獲得の秋吉、ヘンドリー、川村、小林)

 今回、全英出場権を得た秋吉は、21日にジャパンメモリアルGCで行われた全米オープンのセクショナルクォリファイにも参加し、36ホール、8アンダーで1位通過。全米オープンの出場権も得ている。1週間でふたつのメジャー出場権を獲得した秋吉は「長くて大変なこのコースで優勝できたことは自信になると思うので、自分の持ち味であるショット力をいかして戦いたい」と、全英、全米への抱負を述べた。

 

 モンスターコースと呼ばれるザ・ロイヤルGCを戦い抜いて全英出場権を得た秋吉、川村、小林、ヘンドリーの4人は、7月19日~22日、スコットランドのカーヌスティへと赴くことになる。

 


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