9日、日本卓球協会はJA全農世界卓球団体選手権東京大会の記者会見と壮行会を都内で行った。男女日本代表監督に加え、松平健太(ホリプロ)、岸川聖也(ファースト)、石川佳純(全農)、平野早矢香(ミキハウス)ら代表選手8名が出席し、大会の抱負などを語った。世界卓球は125カ国・地域が参加する卓球界最大規模のイベント。昨年9月に2020年東京五輪・パラリンピック開催決定後、初めて日本で行われる夏季五輪種目での世界大会だ。壮行会で大林剛郎会長は「卓球が2020年へのロードマップの幕開けとなる世界大会をホストする。ぜひ成功させたい」と力強く宣言した。大会は国立代々木競技場第一体育館と東京体育館の2会場で28日から5月5日までの8日間行われる。
(写真:大会のテーマソングを歌うREV.from DVLのメンバーと記念撮影に収まる松平<前列右>石川<同左>ら日本代表の選手たち)
 開幕まで、あと20日を切った世界卓球。日本で行われるのは、5年ぶり7度目で東京開催は31年ぶりだ。ホストカントリーとして、大会成功はもちろんのこと、結果も問われる大会になる。

 男子は1月下旬から国際大会を挟みながら、味の素ナショナルトレーニングセンターで合宿を行ってきた。代表の倉嶋洋介監督は「これまで順調に強化合宿を行ってきました。その中で代表選手の大会へ向けての強い意気込み、覚悟を練習や日々の生活から感じることができた。監督として、選手のたくましさを感じています」と充実した調整に手応えを感じているようだ。

 代表選手5人全員が、世界ランキング30位以内に入るなど、男子は近年では最強との呼び声もある。長年、国際大会の代表に名を連ねる岸川も「右の攻撃型が2人、左の攻撃型2人とカットマンが1人。色んな戦型がいるので、すごくいいチーム」と、バランスの良さを感じている。チーム最年長の塩野真人(東京アート)が「5人全員が負けず嫌い。勝ちにこだわる姿勢が強みです」と口にすれば、昨年から覚醒しつつある松平は「対応能力が高く、誰と戦っても大丈夫だと思います」と、チームメイトへの信頼を寄せた。

 松平は個人戦では5年前の横浜大会でベスト16、昨年のパリ大会ではベスト8入りを果たした。団体戦は2度目の出場。その時のモスクワ大会ではチームは銅メダルを獲得したが、自身はベンチが多かった。松平は「世界卓球の団体で強い自分を見せられていないので、今大会で強い自分を見せます」と、個人戦に続く活躍を誓った。

 3大会連続で銅メダルの男子が目指すのは決勝の舞台。過去3大会を上回るためには、順当にいけば上がってくるであろう中国かドイツに準決勝で勝たねばならない。それまでに「いい波で辿り着きたい」と指揮官が話すように、目の前の1戦1戦で勝利を積み重ねながら、勢いに乗って強豪国とぶつかりたい。

 一方の女子は、前回のロッテルダム大会で5大会連続の表彰台が途切れた。さらには福原愛(ANA)がケガで欠場が決まり、村上監督の見立てでは「日本はランキング2位だが実質6、7位」と不安も少なくない。エースの石川は「ドルトムントでの悔しさを東京でリベンジできるようにチーム一丸となって頑張ります」と抱負を語った。福原の代わりとなるメンバーはカットマンの石垣優香(日本生命)。石川は「(福原の欠場は)すごく大きな影響があり、残念です。でも石垣さんが新しく入り、色んなタイプのいる力強いチームだと思います」という。

 村上恭和監督は目標を「(前回大会の)ベスト8を上回るのは当然」と言い切った。そのためには予選リーグを全勝し、中国と反対のシードを確保する必要がある。村上監督は「勝負のヤマは準々決勝にあるかなと思っています」と話した。加えて、女子のコーチに現役を引退したばかりの藤井寛子が就いた。ロンドン五輪ではバックアップメンバーとして、団体戦銀メダル獲得に陰ながら貢献した。各選手が日本の強みとして口を揃えるのが、団結力。それを補うピースとして、経験豊富でかつ選手に近い目線でサポートができる藤井の存在は大きい。

 女子は1983年の東京大会以来、決勝に進めていない。団体戦ではよりチームワークが重要になる。ロンドン五輪での銀メダルをがそれを証明をしている。大きな個の力が抜けた今、それを補って余りあるチームの和をつくり、大会に臨む。

(文・写真/杉浦泰介)