（写真：トークショー、まもなくキックオフ！＜©吉田義人事務所＞）
二宮清純スペシャルトーク「ハッピーアワー@HUB」第３回が、12月２日、元ラグビー日本代表の吉田義人氏をゲストに迎えて行われた。ラグビーワールドカップ日本大会まで10カ月、そして大学ラグビー、トップリーグなどが佳境を迎えたラグビーシーズン真っ盛りということもあり当日、英国風パブ「HUB」新宿区役所通り店は60人近い参加者で埋まった。
世界選抜選手との親交
それぞれのテーブルには好みのビールやカクテル、ソフトドリンク、そしてHUB名物のフィッシュ＆チップスなどがズラリ。開演時間の12時30分になり、拍手の中、この日の主役・吉田氏が登場した。
吉田氏はネイビーのストライプスーツを着てステージに現れ、思わず二宮も「スーツ姿、キマッてますね」とひと言。吉田氏は「これはバーニーズ・ニューヨークのスーツで、このブランドとは社会人の伊勢丹在籍時からのお付き合いなんですよ」と。今もイベント出演や講演などで着用するいわば"勝負服"なのだとか。ちなみに伊勢丹在籍時は新宿の本店２階で「レディースのスカート、スラックス売り場に配属されましたよ」と吉田氏。当時のことを「練習に行くのに伊勢丹から新宿駅まで、歌舞伎町を横目に見ながら、誘惑を振り切って歩いたものです（笑）」と言って客席の笑いを誘った。
ワールドカップ・ワールドワイドパートナーのハイネケンを注いだグラスを手に、当トークショーお約束の「乾杯」ならぬ「かんしょー（完勝！）」の発声でイベントがスタート。ちなみにこの発声は第１回のゲスト・セルジオ越後氏の「乾杯は完敗につながるから、完勝＝カンショーにしましょう」という提案から始まったものだ。
話題はこの秋に行われたニュージーランド、イングランド、ロシアとの日本代表テストマッチに始まり、吉田氏が世界選抜としてニュージーランド相手に記録した伝説のダイビングトライについても話が及んだ。
1992年、ニュージランドラグビー協会100周年記念として行われた試合で、世界選抜に選ばれた吉田氏はジェレミー・ガスコット（イングランド代表）が蹴り上げたキックパスに素早く反応。全力でボールを追いかけてダイビングキャッチ！ 着地したところがポスト真下のインゴールというミラクルトライを決めたのだった。
吉田氏は感慨深げに振り返った。「世界選抜に選ばれて出場し、日本人として初めてニュージーランド代表、いわゆるオールブラックスと戦ったわけです。まさかあんなトライを決められるとは思ってもみなかった。あのときの世界選抜メンバーとは今も親交があって、もちろん彼らは来年、ワールドカップで日本に来ます。試合はもちろん、京都など日本の歴史に触れられる場所を訪れるのを楽しみにしていますよ」。
さて、来年に迫ったワールドカップ日本大会でジャパンはどこまで行けるのか。「絶対に決勝トーナメント出場。それしかありません」と明言し、その確率は「７割以上！」と言い切った。次の瞬間、客席から拍手が沸き起こった。続けて吉田氏は「でも、プールＡはどの国も油断ならないんですよ」とも。
観客も気合いを
「ニュージーランド代表に勝ち、現在世界最強との声も聞かれるアイルランド戦は厳しい戦いが予想されます。それを踏まえて初戦のロシア戦は絶対に勝たないと話にならない。秋のテストマッチで日本が勝ちましたが、ロシアも本番に向けて収穫があったことでしょう。さらにサモアも非常に不気味な存在。個々の力は世界クラスですからね。"日本よりも世界ランクが下でしょう"なんて、皆さんは思うかもしれないけど、ワールドカップになったらそれは関係ない。あの場所は、それまでに鍛錬したものを全部出す場所なんです。選手はそれこそ死ぬ覚悟を持って出ますから、間違いなく厳しい戦いになります。そして最大の山場はスコットランド戦。お互いに絶対に負けられない。スコットランドは日本戦の前にロシアと戦います。そこでは主力を温存して、日本戦はベストメンバー、ベストコンディションで臨むでしょう。いずれにしても最大の山場となるスコットランド戦。チケットを確保した方は、ものすごく気合いを入れて、スタンドから声援を送ってください」。吉田氏の言葉に、集まったサポーターたちは来秋の決戦に向けて気合いを入れ直し、さらにビールのグラスを傾けるのであった。
昼下がりのラグビートークは休憩を挟んで90分近く続いた。終了間際には質問コーナーがあり、そこで「この後、明治と早稲田の対抗戦があります。一般には早明戦と言いますが、明治OBとしては明早戦では？」と聞かれた吉田氏。「まあ、そこは早明戦でいいんじゃないですか。世間にもそう浸透していますし。それにラグビーは常に対戦相手を尊重、そして尊敬するスポーツだと教えられてきました。相手がいないと試合ができないから、向こうの名前が先にあってもまったく構いません」とサラリと受け流した。
質問コーナーが終わり、時計の針は13時55分。ここでHUB店内のモニターが早明戦の中継に切り替わった。ちょうど吉田氏の母校・明治の校歌が鳴り響く最高のタイミングで、トークショーはエンディングを迎えた。吉田氏は、そのまま通常営業に入ったHUBで早明戦を観戦。お客さんにとっては予期せぬサプライズとなった。
（写真：早明戦キックオフ前の校歌が流れる店内で記念撮影。過去最高の参加者数で吉田＆二宮も客席中央でニッコリ）
ゲストの吉田氏、そしてラグビー好きの参加者のおかげで今回のトークショーも盛況のうちに終了した。二宮清純スペシャルトーク「ハッピーアワー@HUB」、次回は19年２月下旬～３月初旬に開催予定。スポーツ界のレジェンドをゲストに迎えて、今度はどんな話が飛び出すかお楽しみに！
当トークショーは現場優先の"ここだけの話"が基本コンセプトなので、ダイジェストではなくフルに楽しみたい方は会場にまでぜひ足を運んで下さい。ライブならではの"秘話"満載です。
＜取材・まとめ／SC編集部・西崎 写真／SC編集部 監修／二宮清純＞
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