9月30日(日)、J2第43節の愛媛FC対徳島ヴォルティスが、ホームの愛媛県総合運動公園陸上競技場にて行われた。前節(第42節)、強敵のベガルタ仙台をアウェイで破り、勢いに乗っている愛媛FC。今季最後の“四国ダービー”を完全勝利で締めくくって欲しい。
(写真:両チームは中盤で激しくボールを奪い合う)
 約2週間前から試合当日まで、サポーター有志や行政、スポンサー等の支援者とともに、試合への集客活動を精力的に展開してきたことが実を結び、スタジアムには、6381人の観客が詰め掛け、大変な盛り上がりを見せている。この大観衆の期待に応えられるような熱戦を選手たちには是非とも展開して頂きたいものだ。

 午前中に降っていた雨もあがり、ピッチコンディションが回復に向かう中、時計が午後4時を回り、徳島のボールで今季最後の“四国ダービー”がスタートした。

 序盤、ライン裏を狙ったフィードの攻撃を展開する愛媛は、中盤でのボール支配でも相手を上回る。選手たちもダービーマッチということを意識しているのか、早い時間帯においても、反則行為ギリギリの激しいぶつかり合いが展開されている。

 前半9分、相手陣内の左サイド、ゴールまで30メートル以上の距離がある位置でルーズボールを拾ったMF赤井秀一選手が、自らがフリーであることを確認し、思い切り右足を振り抜いた。ボールはゴール右上隅に向かって、一直線に飛ぶ。相手GKが必死にジャンプして手を伸ばして、何とか指先でクリア。惜しくも得点には至らなかったが、明らかに流れは愛媛に傾いていた。

 前半32分、相手陣内でボールを奪ったFWジョジマール選手がDFを引き付けつつ、中央を駆け上がるMF宮原裕司選手にパス。ボールを受けた宮原選手がペナルティアークまでドリブルで持ち込み、ライン裏へ抜け出す構えを見せていたジョジマール選手の前方に、柔らかなスルーパスを供給。ペナルティエリア内でボールに追いついたジョジマール選手が、GKの動きを見ながら、落ち着いて流し込んだ。

 見事な先制ゴール! ゴールを決めたジョジマール選手にチームメートが駆け寄り、祝福を与える。大観衆を飲み込んだスタジアムは歓喜と歓声に包まれていった。サポーターは「オッオー! ウィ・アー・エヒメ!」とコールを繰り返し、喜びを爆発させた。前半は、1−0で愛媛がリードして終了した。

 後半の立ち上がりも、愛媛FCはボールを支配し、試合を優位に展開。対する徳島は先制されて焦りを感じたのか、愛媛の攻撃陣に対してファウルを連発する。愛媛イレブンは、そんなプレッシャーをモノともせず、追加点を狙って前進し続けた。

(写真:愛媛がセットプレーのチャンスを迎える) 後半18分、左サイドの高い位置までボールを運んだDF星野真悟選手が、ゴール前に低い弾道のアーリークロスを供給するが、相手DFに弾き返される。そこからのルーズボールをペナルティアークに陣取るMF大山俊輔選手が拾い、セカンドアタックが開始。ペナルティエリア内にて、ライン裏へと飛び出すタイミングを図っていたジョジマール選手に向けて、大山選手が絶妙のロビングボールを供給する。

 このボールを腿で上手くトラップしたジョジマール選手が、次の瞬間、右足で押し込む。スタンドから歓声が沸き起こり、「素晴らしい追加点」と喜んだのも束の間。ジョジマール選手のオフサイドでノーゴールという判定が下されて、惜しくも追加点とはならなかった。

 その後も何度か追加点を奪えるチャンスが訪れたが、決めきれず。時間は経過し、スコアは1−0のまま、試合終了。相手の反撃を巧みにかわし、ボールを終始支配し続けた愛媛が勝利をもぎ取った。

 リーグ戦順位において、愛媛は現時点で徳島よりも上位だが、直接対決では1分2敗と何故か相性が良くなかった。満足とはいかないまでも、その相手に一矢報いることができて良かったと感じている。来シーズンの“四国ダービー”こそは、是非とも愛媛の全勝といきたいところだ。

 支援者各位の尽力により、大勢の集客を得ることができた今節のホームゲーム。初めて愛媛の試合を観に来られた方も居たことと思うが、サッカーの面白さや醍醐味、応援の楽しさも感じてもらえたのではないだろうか。是非、次節以降もスタジアムに足を運んで頂き、愛媛のサッカー文化を、大いに楽しんでもらいたいものである。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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