「ミスターパーフェクトから肉体作りを学ぼう」
 ミスターパーフェクトといえば、K-1で活躍したアーネスト・ホースト選手を思い浮かべる方も多いかもしれない。ボディビル界においてのミスターパーフェクトは田代誠選手だ。

 田代選手は、かつて「ミスター日本」を4連覇し、完璧なまでにつくりこまれた肉体から、その異名をとっていた。42歳の田代選手は、昨年の10月に7年ぶりの復帰を果たし、そのブランクを感じさせない見事な筋肉を披露したのだった。

「ミスター日本」では前年の覇者である鈴木雅選手と競り合い、アメリカ・オハイオ州で行なわれた世界大会「アーノルド・クラシック」では、なんと6位入賞を果たした。これは日本人としては快挙である。

 僕と年齢や引退した時期がほとんど同じだけに、余計にそのすごさがわかる。どの競技であっても7年という歳月を埋めるのは並大抵のことではないだろう。僕も今月で引退してから丸7年が経つが、仮に今、新日本プロレスのトップ選手であるオカダ・カズチカ選手や棚橋弘至選手とガンガン対等に渡り合えるかと問われれば、絶対に「NO」である。ブランク以上に肉体が衰え始めるアラフォーなのだから、これは極々当然なことだ。

 だが、肉体美のみを競い合うボディビルの世界で、これだけの成績を勝ち取った田代選手を見ると自分の考えが間違いであったと思い直さなければならない。しかも、田代選手は復帰にあたり、トレーニングだけに専念していたわけではない。ゴールドジムの取締役という肩書きを持ち、日々激務に追われている田代選手は、むしろ他のビルダーより練習時間を捻出するのは厳しいのだ。

「睡眠時間は3時間」
 これが毎日というから驚きである。僕なんて7時間の睡眠がないとトレーニングの疲れが残り、翌日の生活に支障が出る。
「ビルダーのトップ選手で長く寝ている選手はいないはず。鈴木君(ミスター日本)だって、5時間ほどじゃないかな」

 しかし、それでは寝ている間に成長ホルモンが多く分泌され、筋肉が成長するという定説が、覆されることになる。もしや睡眠は量より質ということであろうか?
「就寝と起床時間を毎日同じにすることが何よりも大切」
 田代選手は、このことを強調していた。生活のリズムを崩さないことが、きっと睡眠の質を上げるのだろう。

 気になる食事についても、これまた驚きの言葉が返ってきた。
「昼におにぎり2個と、夜中の2時頃にサラダとサーモンなど魚だけ」
 この食生活がほとんど毎日だという。

 まず、メニューに肉が出ていないことが不思議であった。
「もちろん、一切食べないわけではなく、焼肉などに誘われれば拒まず行くよ」
 ビルダーといえば脂肪分の少ない鶏肉を食べるイメージが強いだけに、かなり衝撃的だった。それに深夜に食事を摂るなんてダイエットをするビルダーとしては“致命傷”にならないのだろうか?

 ビックリするような話はまだ続く。
「食事は必ずセブンイレブンで買うのも変わらない」
 田代選手は、こう言って笑うのだ。トップビルダーがコンビニ食とは想像もしていなかった。その生活ぶりは、僕の頭がどうにかなりそうなほどビルダーのイメージを根底から覆していく。

 もちろん、食事のみでは当然ながらタンパク質が足りないので、プロティン摂取を1日6回行なっているという。1回に30グラムのプロティンを摂るというのだから尋常な量ではない。
「ゴールドジムのミックスベリー味のプロティンが好きだから、ほとんどそればっかり」
 別にゴールドジムの商品を売ろうと思って、宣伝で言っているのでは決してない。

 たとえばゴールドジムのイチオシ商品であるダイエットサプリなどは名前すら覚えていないし、「僕自身は摂る必要もない」と言い切る。本当に自分が愛用している商品しかオススメはしないのである。彼のトレーニングセミナーを聞いていても、本音しか言っていないのがよくわかる。

 そんな田代選手にダイエットができない方に最適の方法を尋ねてみた。
「まず朝起きたら、着の身着のままで、有酸素運動をやること」
 朝食を摂らずにすぐに体を動かすと体脂肪を優先的に燃やしてくれるから良いそうだ。時間は1時間ぐらいがベストのようである。

「雨が降っても傘をさして歩けばいい」
 天候に関係なく、毎日続けることが大事だという。年齢やブランク、仕事……何事も言い訳にせず結果を出した選手のアドバイスだけに説得力が違う。

 深夜の食事や大量のサプリメント、短い睡眠時間などは絶対に真似できないが、ストイックにその生活を続け、体を磨き上げる強いメンタルは見習いたい。どんなジャンルであっても、トップに立つには人と同じことをやっていてはダメなのがよくわかった。

 ミスターパーフェクトから大きな刺激をもらったこともあり、近頃、どうも僕の肉体に変化が見られるようになった。先日、「ローカルヒーロー大全集」というフジテレビ系列の番組に出させてもらった時のことだ。

 ミヤマ☆仮面に変身しようと上半身裸になると、他のご当地ヒーローたちから賞賛の嵐をいただいた。あるヒーローは、「その肉体こそ、リアルヒーローですよ」とまで言ってくれた。

 僕は田代選手とは違い、プロティンなどのサプリメントは一切摂らないで肉体づくりを行なっている。近道ではないことはよく分かっているが、ミヤマ☆仮面はネイチャーヒーローだけにナチュラル主義でいきたいのだ。時間はかかっても、誰もが惚れ惚れする極上の肉体をつくり上げていこうと思っている。

 皆さんも夏に向けて、まずは早朝ウォーキングから始めてみませんか?

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