飲みたい(4)二宮: 今回のゲストは、自転車競技界のレジェンドの中野浩一さんです。今日はそば焼酎『雲海』Soba&Sodaを飲みながら、競輪を中心に自転車レースの話を伺いたいと思います。

中野: よろしくお願いします。僕の出身地である福岡県では、雲海さんのCMがよく流れていますよ。有名なお酒ですよね。

 

 

二宮: 早速ですが、お味はいかがでしょうか?

中野: ソーダで割っているので、すっきりしていて飲みやすいですね。これは女性が好きかも。どんどん行けそうだなァ。

 

二宮: 普段、焼酎はよく飲みますか?

中野: よく飲みますよ。最近は特に多いですね。ビールだとすぐにお腹いっぱいになってしまうので、途中から焼酎に切り換えます。

 

性格が表れるお酒の飲み方

 

二宮: 競輪選手はお酒に強いイメージがあります。

中野: 僕も弱い方ではないですね。現役時代もほとんど毎日飲んでいました。でも、外で皆と飲んでいても12時を過ぎると切り上げました。

 

二宮: さすがアスリートですね。

中野: 「俺、明日早いから帰るわ」と先に帰っていましたよ。その習慣が残っているせいか、今でも12時前になると徐々にペースが落ちてきて飲めなくなるんです。いちいち時間を気にしないんですが、飲めなくなってきたなぁと思ってパッと時計を見ると、大体12時なんですよ。

 

二宮: レース期間中は前日から選手宿舎に入ります。宿舎での飲酒は禁止されているのでしょうか?

中野: 部屋ではダメですが、食堂では飲めました。最近の選手はあんまり飲まないみたいですけどね。現役の頃に「昔の選手はよくビール1ケースを飲んでいた」という話を聞いて「俺らもやろうや!」と挑戦したことがあります。途中でどのくらい飲んだか分からなくなって終わってしまったんですけどね(笑)。

 

二宮: レース後はもっと飲んだでしょう?

中野: 負けたあとは沢山飲んでしまいましたね。

 

飲みたい(3)二宮: ハハハ。いわゆる“ヤケ酒”ですね。

中野: 記憶にあるのが、西宮のレースで失格になったときです。あの晩は、食堂で半分暴れ気味でガンガン飲みました。普段は21時になると食堂のおじちゃんに声をかけられて、部屋に戻らないといけないんですが、あの時は22時を過ぎても何も言われなかった。後輩たちとずっと飲んでいたら、いつの間にか食堂のおじちゃんも混じって飲んでいましたよ(笑)。

 

二宮: 競輪仲間では誰が強いですか?

中野: 吉岡稔真ですね。彼はもともと酒を飲まなかったんです。彼が言うには、僕と出会ってから飲むようになったらしい。今でも会うたびに「僕は酒を飲まなかったんですけど、中野さんに飲まされて、それで強くなったんです」と言ってくるんですよ。吉岡の他には、山田裕仁も強かった。基本的に体の大きい選手は強いですね。

 

二宮: 現役時代に九州ラインを一緒に組んでいた井上茂徳さんはどうでした?

中野: 彼は飲むと長いんですよ。ペースが遅いので延々と飲んでいる感じです。

 

二宮: 井上さんは競輪ではゴール直前に鋭い差し足で一気に先頭にいく選手でしたね。

中野: 僕はスプリンターなのでパッパッと飲んで、すぐ酔っぱらう飲み方です。一方、井上は最後までじっくりと飲んでいるタイプでしたね。

 

高校卒業時に訪れた“人生の転機”

 

二宮: 中野さんが競輪をはじめたきっかけは?

中野: 高校まではずっと陸上をやっていたんです。高校2年のとき、インターハイに出場して400メートルリレーで優勝したこともあります。おじいちゃんが中学校の校長先生をやっていたこともあって、将来は体育の先生になろうと考えていました。

 

二宮: 学校の先生ですか。それではなぜ、進学ではなく競輪学校の道へ?

中野: 大学進学の条件が色々あって、自分と父親と先生と大学の意見が噛み合わなかったんです。あの大学なら入学できるけど、自分はあまり行きたくないところだったりして、なかなか進学先が決まらなかった。実は大学進学を辞めようと思った極め付けは、先生の一言です。

 

二宮: なんと言われたのでしょう?

中野: 同級生がインターハイに出場して、短距離走で優勝したんです。その子は中央大学への入学が決まっていた。先生に「僕は関東の大学がいいです」と相談したら、「じゃ、オマエも中央にするか」と言ってきた。“オマエも”ということは、自分はオマケです。あとからその子に「オマエはオレのおかげで入学できた」みたいに言わると腹が立つので断りました。

 

二宮: “も”は余計でしたね。

中野: 「お前は中大がいいぞ」と言われたら、喜んで「ハイ!」と答えていたと思いますよ。先生のその一言にカチンときて、大学進学は辞めました。プライドが許さなかったんでしょうね。

 

二宮: モノの言い方は大事ですね。

中野: 僕が通っていたのは工業高校だったので、就職先もたくさんありました。しかし、その時はすでに9月だったので行きたい就職先はほとんど残っていなかった。最初はゴルフをやろうと思っていたんですが、競輪選手だった親父に「ゴルフはお金がかかるから、自転車にしなさい」と言われて、父親と同じ道を選びました。それが僕の競輪人生の始まりです。

 

二宮: “自分もいつかオヤジさんみたいに”という思いが少なからずあったんでしょうか。

中野: いや、それはないですね。競輪選手という職業がどういうものか全く分からなかったんです。でも、地元の久留米でレースがあった時、応援に行ったら、親父がぶっち切りで優勝しました。それがすごくかっこよかった。その光景が頭に残っていたので、自転車の道を勧められた時に抵抗はなかったですね。

 

飲みたい(1)親子で競輪選手の道へ

 

二宮: 試験に合格して、第35期生で競輪学校に入学しました。他に同期は?

中野: 松田隆文、井狩吉雄、佐野裕志、高村敦……。最初の頃は「35期は強い」と言われていたんですが、結局タイトルを獲ったのは僕だけでした。

 

二宮:  父親から直接指導は受けていたのですか?

中野: 親父からは教わらない方がいいと思っていたので、ほとんどありません。最初は言うことを聞いていても、途中から聞く耳を持たなくなってしまいそうだったので。

 

二宮: そうですか。しかし、スポーツ界では親子2代での成功例が多いですよね。

中野: 恐らく近くで見ているからでしょうね。親父が毎日練習していたので、“自分もやらなければいけない”という気持ちになるんですよ。僕の場合も一緒に練習したことがあります。やはり「親父の背中」を見て成長したのでしょうね。

 

二宮: まさしく“門前の小僧習わぬ経を読む”ですね。

中野: 最初の頃は親父が自転車のセッティングをしてくれていたので、親子で似たようなセッティングになるんです。当然、親子だから骨格も似ているので「自転車に乗った姿はそっくり」と周囲からよく言われましたね。

 

二宮: 父親が競輪選手だと、食卓に並ぶご飯も豪華だったでしょう。

中野: 当時、うちの家は魚屋さんからくじらのお刺身を頼んでいたんです。なので、くじらの刺身はよく食べていましたね。他には、キュウリ、セロリ、ニンジンなど生野菜が切って置いてあったので、それにマヨネーズを付けてバリバリと。これが美味しいんですよ。僕はこの食べ方で人参が食べられるようになりました。あとは必ずビフテキ1枚が食卓に並んでいました。

 

二宮: それは豪華ですね。当時、一般の家庭ではなかなか出てきませんよ。

中野: 親父の食事には、必ずビフテキが出ました。一緒に食べていると、親父が「男だからオマエが食え」と言って、いつも僕に食べさせてくれた。成長期に栄養あるものをたくさん食べさせてもらったお陰で、僕の体は丈夫なんだと思います。そういった面でも両親には非常に感謝していますよ。

 

二宮: 食は大事ですね。気が付けば、もうグラスは空っぽです。

中野 飲み比べをしたいので、次はそば焼酎『雲海 黒麹』のソーダ割りをお願いします。

 

(つづく)

 

飲みたいプロフ<中野浩一(なかの・こういち)>

1955年11月14日、福岡県出身。競輪選手の父親の勧めで競技を始める。72年に日本競輪学校第35期生試験に合格。75年に久留米競輪場で行われたデビュー戦で優勝する。国内戦ではデビュー戦以降18戦無敗の記録を樹立するなど、約1年で当時の最上位クラスA級1班に昇格。78年に競輪祭で初の特別競輪(現GI)優勝すると、80年には日本のプロスポーツ選手として初の年間賞金総額1億円を突破した。85年にはKEIRINグランプリを制し、初代王者に輝いた。国際レースでは76年に世界自転車選手権のプロ・スクラッチ(現スプリント)で4位入賞。翌年から86年まで同種目10連覇を達成した。92年に行われた高松宮杯(GI)を最後に引退。通算優勝回数は169、特別競輪12勝(KEIRINグランプリ1勝、GI11勝)、賞金王は史上最多の6回獲得した。06年春に競輪選手出身者として初の紫綬褒章受章。現在は、公益財団法人日本自転車競技連盟理事、競輪評論家、スポーツコメンテーターなど幅広く活躍中。

 

 今回、中野さんと楽しんだお酒は本格そば焼酎「雲海」。厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
提供/雲海酒造株式会社

 

<対談協力>

Mancy’s Tokyo
東京都港区麻布十番1−3−9 TBC麻布
TEL:03-5574-7007
 
カフェ  11:30~04:00(L.O.03:30) 
ランチ  11:30~18:00(L.O.18:00) 
ディナー 18:00~04:00(L.O.03:00)
 

飲みたいサイン(2)☆プレゼント☆

中野さんの直筆サイン色紙を本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらより、本文の最初に「中野浩一さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は1月15日(金)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

 

◎クイズ◎

 今回、中野浩一さんと楽しんだお酒の名前は?

 

 お酒は20歳になってから。

 お酒は楽しく適量を。

 飲酒運転は絶対にやめましょう。

 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成/安部晴奈、写真/杉浦泰介)


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