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(写真:FWが強い東芝にも押し勝ってトライを奪った)

 7日、ラグビーのトップリーグ第14節が行われた。東京・味の素スタジアムではサントリーサンゴリアスが東芝ブレイブルーパスを48-0で破り、府中ダービーを制した。前半サントリーは3トライを挙げ、24点のリード奪う。後半になっても4トライと突き放し、守っては東芝を完封した。サントリーは開幕14連勝。8日に2位のヤマハ発動機ジュビロが神戸製鋼コベルコスティーラーズに引き分け以下で、サントリーの4季ぶりの優勝が決まる。

 

 復活に懸けるサントリーが、同じ府中のライバルに完勝した。

 

 優勝に向け、ひた走るサントリーと、日本選手権出場の可能性も途絶えた東芝。府中を府本拠地とする名門は、対照的なチーム状況でダービーマッチを迎えた。前節、サントリーはヤマハ発動機との天王山を制して首位に立った。残り2節を連勝すれば、トップリーグ制覇だ。この試合に向けてもチームの姿勢は変わらない。キャプテンのSH流大は「優勝が見えたイメージではなく、東芝に勝つことだけを考えていました」と2週間の準備期間の思いを述べた。

 

 沢木啓介監督は「前半から自分たちが仕掛ける」というテーマで臨んだという。流によれば、「東芝はフィジカルの強いチーム。しっかり先手を取っていこう」との狙いがあった。持ち味であるアタッキングラグビーを存分に発揮した。前半8分、ハーフウェーライン付近のターンオーバーから逆襲。最後はチームのトライゲッターであるWTB中靏隆彰がスピードを生かしてトライを決めた。コンバージョンキックもSO小野晃征がきっちり決めて、7点のリードを奪う。

 

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(写真:昨季トライ王の江見<中央>らバックスリーがトライを量産)

 得点ランキングトップを走る小野は、正確なキックでチームを引っ張る。16分にはペナルティーゴールも入れて、10点差をつけた。小野が得点王ならばトライランキングを独走中なのが中靏だ。25分にはCTBスティーブン・ドナルドが大きくゲインすると、右サイドにいた中靏へ繋ぐ。快速ウイングはインゴール右隅に飛び込んだ。その4分後には中靏の逆サイドのWTB江見翔太がトライで得点を加える。いずれのコンバージョンも小野が決めて、前半を24-0と大きくリードした。

 

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(写真:コツコツと努力を積み重ねた結果が今季のブレイクに繋がった中靏<左>)

 後半に入っても、サントリーの猛攻は衰えない。7分に右サイドでCTBデレック・カーペンターが引き付けて、大外の中靏へパスを送る。中靏が縦にぶっち切ると勝負あり。そのまま抜け出して、悠々トライを決めた。これで中靏はシーズン17トライ目。2位の山下楽平(神戸製鋼)に4個差をつけた。沢木HCが「すごく成長した」と挙げる選手のひとり。流も「フリーな状態で渡せばトライを獲ってくれる」と信頼も厚い。

 

 サントリーはその後もFB塚本健太がトライ。途中から入ったHO中村駿太、WTB松島幸太朗にもトライが生まれた。特に中村のトライは敵陣深くのラインアウトから、東芝のお株奪うようなドライビングモールでインゴールに押し込んだ。ボールを散らし、ワイドに展開するアタッキングラグビーだけでなく、力勝負でも見せた。終わってみれば、7トライで48得点の完勝だった。

 

 光ったのは攻撃だけではない。守っては東芝を無得点に抑えた。東芝の冨岡鉄平HCは「サントリーさんのディフェンスが素晴らしかった」と脱帽。東芝のキャプテンSO森田佳寿は「サントリーの組織立ったディフェンスにプレッシャーを感じてしまった。少しずつプレーが狂ってしまったのかもしれない」と敗因を分析した。LO真壁伸弥、FLジョージ・スミスなどが身体を張って、ボールホルダーに襲い掛かる。攻守両面で充実していると言っていいだろう。

 

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(写真:今季から指揮を執るサントリーOBの沢木HC)

 サントリーは昨季、9位に終わって名門としてのプライドを傷付けられた。今季からHCとキャプテンが代わり、チームは生まれ変わった。日本を代表するハーフバックの2人はこう証言する。SH日和佐篤が「やることが明確になり、ラグビーの理解度が変わりました」と言えば、司令塔の小野は「(ボールへの反応を)厳しく言われているので、その分リアクションも速くなっているかなと思います。全員が一緒の画を見られるようになってきている」と変化を感じ取っている。

 

 4季ぶりの優勝まで、あと1勝と迫った。だが、キャプテンの流は「まだまだ満足できるレベルではない」と厳しい。沢木HCも「選手たちはラインアウト、ブレイクダウンのところに満足していない。来週に向けてハングリーに準備していきたい」と語った。次節は14日、神戸製鋼戦。やるべきことは変わらない。ボールを動かして、自分たちが試合をコントロールする。栄冠を手にして、やっとサントリーはプライドを取り戻す。

 

(文・写真/杉浦泰介)