18日、早稲田大学ラグビー蹴球部女子部が同大早稲田キャンパスで記者会見を行った。会見には早大ラグビー蹴球部の恩藏直人部長、女子部の栁澤眞ディレクター、横尾千里HCらが出席し、創部の経緯や意気込みを語った。

 

 15人制とセブンズ(7人制ラグビー)の元日本代表選手で、リオデジャネイロオリンピックに出場した横尾千里HCが指揮を執る。ジャージーのデザインは男子と同じ赤黒の横縞となる。現在部員は主将の千北佳英(ちぎた・かえ=3年)、寺谷芽生(てらや・めい=3年)、國谷蘭(くにたに・らん=3年)、岡本美優(おかもと・みゆ=2年)ら9人が在籍。この春の新入生が加われば、2ケタには届きそうだ。

 

 チームの目標は<高いレベルでの文武両道の実現><太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ総合優勝>を掲げ、まずはセブンズを中心に強化を図る方針という。横尾HCは「将来的には15人制の日本一も目指したい。まずは7人制で成果を出し、この女子部を女子部門にすることをターゲットにしています」と語り、「オリンピアンを輩出していきたい」とも口にした。5月に静岡で行われる太陽生命ウィメンズセブンズシリーズの入れ替え戦に出場し、2025シーズンの同シリーズ参戦を目指す。

「実際のところは厳しい戦いになると思っています。ただ優勝を目指さない理由がない」と横尾HC。部門への昇格については、活動実績を認められれば、大学に承認される。そのため、今後5年間をひとまず昇格の目標に定めている。

 

 女子部創部のきっかけは学生からの声だった。2年前の春に早大に入学した千北は「最初に出た疑問として、何で男子は入れるのに女子は入れないのか、というのが一番大きかったです」と言う。同期(寺谷、國谷)や先輩には香川メレ優愛ハヴィリ、弘津悠など数人の日本代表クラスがいた。千北らが入学時、“このメンバーで試合に出てみたい”という気持ちを抱くのは、自然な流れと言っていいだろう。しかし早大に女子部はなかった。

 

 そのため入学後は千北と寺谷は横河武蔵野アルテミ・スターズ、國谷と岡本はブレイブルーブとクラブチームで活動していた。4人は昨年5月に早大ラグビー部OBの栁澤ディレクターと出会い、チームの体制や運営などの準備を進めてきた。今年2月に創部が決定し、4人はクラブチームを離れ、早大ラグビー部女子部に専念する。早大OGでもある横尾HCは「大学に所属している時、私に限らず先輩方を含め門を叩いていた」というが選手として入部することは叶わなかった。

「やっと部になったことはうらやましいと思うと共に、ここまでの努力してきた4人を尊敬の念を抱いています」

 

 その4人のうちの1人が、女子部1期生の主将を任された千北は使命感に燃えている。

「クラブチームではなく、大学の部活動でやる意義は大きいと思っています。伝統ある早稲田で女子ラグビー部ができるということは、女子ラグビーの裾野を広げるという意味でもすごく大きな役割を担うと考えていたので、早稲田の大学ラグビーの部活でやりたかった」

 男子部は全国大学選手権優勝回数最多を誇る言わずと知れた名門だ。その早大に女子部ができた影響は大きいだろう。他大学への波及も期待したい。恩藏部長も「新たな取り組みによって、ラグビー蹴球部全体を活性化したい。女子部を作ることによって、もちろん男子についても活性化してほしい。さらに一大学にとどまらず、日本全体のラグビーの活性化、底上げをしていきたい」と意気込む。

 

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(文・写真/杉浦泰介)