「将来は日本代表のHCに」今季限りで引退発表の田中史朗、後輩のサプライズに涙

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 24日、「JAPAN RUGBY LEAGUEONE」ディビジョン2のNECグリーンロケッツ東葛のSH田中史朗が都内で記者会見を開き、今季限りでの引退を表明した。今後はグリーンロケッツのアカデミーコーチに就き、ラグビー普及に関わっていくという。会見終了後にはジャパンで共に戦ってきた後輩、FB松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)とSO松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)が駆け付け、プレゼントを渡して先輩を労った。

(写真:フォトセッション終了後、本人にはサプライズで松島幸<中央>と松田<右>が登場。田中も思わず涙をこぼした)

 ジャパン通算75キャップ、日本を代表するSHが引退を決断した。W杯は3大会連続出場。15年イングランド大会で“奇蹟”と呼ばれる金星を勝ち取り、19年日本大会で日本初のベスト8進出に貢献した。日本人初のスーパーラグビー(SR)挑戦を果たすなど道なき道を切り拓いてきた。

 

 午後4時に会見がスタートすると、グリーンロケッツの太田治GMの挨拶に続いてマイクを持つと、途中で声を詰まらせながらもこう語った。

「私、田中史朗は、今シーズンの終了をもちまして現役を引退することを決めましたので、皆様にご報告させていただきます。17年間という長い現役生活でしたが、最高に幸せな時間でした。本当にありがとうございます。この小さな体でここまでプレーできたこと、日本代表としてW杯に出て、新しい日本の歴史を築けたことは、私の誇りです。たくさんのチームメイト、チーム関係者、メディアの方々、そしてファンの皆様、何より家族のサポートがあってここまで続けることができました。本当に感謝しています」

 

(写真:「ラグビーは僕の人生そのもの。なければ生きていけないし、ラグビーのおかげで自分自身を成長させてもらえた」と思いを語った)

 続けて今後についても言及し、冒頭の挨拶を終えた。

「NECグリーンロケッツ東葛アカデミーのコーチとして、普及活動を続けていく予定です。幸運なことにエディー・ジョーンズ、ジェイミー・ジョセフ、トニー・ブラウンという素晴らしいコーチが周りにいるので彼らからコーチングを学び、将来的には日本代表のHCをやってみたいと思っています。グリーンロケッツはまだ4試合残っているので引き続き応援していただけると、うれしく思います。これからもNECグリーンロケッツ東葛、日本代表をよろしくお願いいたします」

 

 引退を決めたのは、2カ月ほど前だという。グリーンロケッツでは今季3試合の出場にとどまっていた。

「日本代表終わってから何年もプレーさせていただき、本当に体がきついというのがまずひとつです。下の世代からも、すごくいいプレーヤーが出てきてるというのも、本当に悲しくもあり、うれしくもあった。日本のラグビーがすごくレベルアップしていて、僕の今のパフォーマンスで現役を続けることが、“正直いいのかな”という思いもありました。それをずっと考えながらやってきて、限界というものを感じてこういう決断に至りました」

 

(写真:「2人は世界でトップクラスなので安心している。リーダーシップを持って日本ラグビーを引っ張ってくれたらうれしい」と後輩にエール)

 現役引退といっても「僕の人生そのもの」というラグビーから離れるわけではない。普及活動を続けながらコーチングを学んだ先に“桜の戦士たち”を率いる将になる――。

「選手として日本代表で試合に勝つことの喜び、ファンの皆様に喜んでいただける喜びをもう一度味わいたい。プレーヤーとして継続することはできないので、次はコーチになって、そういう部分を選手に味わってもらいたい。日本の皆様にまた感動を届けられるチームをつくりたい」

 

 HCとしては「厳しさが絶対に必要。特に日本では厳しさがないと世界で勝てない」と言い、こう続けた。

「その中で人間として、選手と一緒に戦っていける家族のような、何でも話せる間柄になっていきたいです。ただ綺麗事だけではなれない。これからコーチングを学び、周りの人との繋がりを大事にしながら将来的にやっていければいいと思っています」

 

 気持ちの強いプレーヤーである。素早いパス捌きのみならず、小さい身体に炎が灯ったような闘志溢れるプレーで、観る者を魅了した。時に忌憚のない意見も、ラグビー界の未来を思ってのこと。涙もろい情熱家。指導者としての帰還を楽しみに待ちたい。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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