四国アイランドリーグplusは開幕から約2週間が経過した。各球団の対戦も一回りして好調なのが勝率7割超で首位を走る高知ファイティングドッグスだ。今回の「野球西国巡り」は高知・駒田徳広監督に話を聞いた。海の向こうからやって来たスーパースターの加入など話題に事欠かない高知の強さの秘密とは?

 

マニーは見るだけで学べる

 今季の高知はシーズンオフから注目を集めていました。元メジャーリーガーのマニー・ラミレス(登録名マニー)の加入で開幕戦も大勢のお客さんが詰めかけましたし、選手、そして僕たちもやり甲斐のある環境で試合ができています。

 

 そのマニー、先日(12日)の試合中、走塁で足を痛めました。左太腿の肉離れということで大事をとって登録を抹消、復帰は1週間から10日の見込みです。ただ年齢も年齢(44歳)なので無理はさせられません。ケガの状態を見ながら大事に起用していきたいと思います。

 

 周囲から「マニーが入ると若い選手は勉強になりますね」という声が聞こえます。確かにマニー自身もチームメイトと積極的に話をしていますね。僕はそこで何を教えている、何を話しているかについては関知していません。でもああいう選手はチームにいるだけでいい教材になるんですよ。

 

 たとえばスイングなどの野球のプレーそのものも勉強になるだろうし、メジャーで頂点まで登り詰めた選手ですから道具の扱い、日常の過ごし方などすべてが学ぶ対象です。若い選手たちは教わるのではなく、積極的にマニーから盗む、学ぶ姿勢でいて欲しいですね。

 

 マニーが話題になって注目を集めるのはいいんですが、やはり監督としては日本人選手に頑張って欲しいという気持ちが第一です。現在、うちは首位を走っていますが、その要因をあげるとすれば投手陣の頑張りですね。特に丸山雄大、岡部峻大、2年目のこの2人が好調です。それで台湾から入った林逸翔(リン・イーシャン)など中継ぎ、抑えもいいから安定した戦いができています。

 

対NPB戦で輝け!

 特に岡部は元々、キレのいい球を投げていましたが、今季はスピードが上がってきました。将来有望な素材なので、今後は「ただ勝つ、ただ抑える」というのではなく、次につながるピッチングを心がけてもらいたいですね。例えば同じストレートでもより精度をアップするなど、それが上(NPB)でやることにもつながっていきますから。

 

 独立リーグは待遇も環境もNPBに比べたら、非常に厳しい。食事、トレーニング、練習などすべてにおいて比べものにならない位ですよ。岡部はいい環境を与えて、そうしたらどう成長するのかが見たいと思っているんです。ぜひNPBに行って、それで活躍するところを見たいですね。それだけのモノを持っているピッチャーですから。

 

 今シーズンもNPB球団との試合が組まれています。以前はNPB球団にはなかなか勝てませんでしたが、ここ最近は勝てるようになってきました。僕はNPBとの試合の前には、いつも選手にこう言っているんですよ。
「あそこにいるのは夢をつかんだ人たち。それでこっちにいるキミたちは夢を食われた人たちだ」と。ちょっとキツイ言葉ですが、「負けっぱなしでいいのか、夢を食われたままでいいのか? 自分の夢のために食い返してこいよ!」という気持ちを伝えているんです。

 

 元メジャーリーガーはもちろんですが、夢に向けてガムシャラに頑張っている高知の若手選手を応援しに、ぜひ球場に足を運んでください。よろしくお願いします!

 

<駒田徳広(こまだ・のりひろ)プロフィール>:高知ファイティングドッグス監督
 1962年9月14日、奈良県出身。桜井商高から80年にドラフト2位で巨人に入団。3年目の83年にNPB初のプロ初打席での満塁ホームランを放つ衝撃デビューを果たす。この年のリーグ優勝に貢献。89年には一塁手のゴールデングラブ賞を獲得(以降、一塁手では最多の10度受賞)。恐怖の7番打者として日本シリーズMVPに輝く。94年にはFA宣言をして横浜へ移籍。98年にはマシンガン打線の中軸を任され、ベストナインを受賞。チームは38年ぶりの日本一を達成する。チャンスに強く、満塁ホームランは歴代5位タイの13本を記録。00年に2000本安打を達成し、同年限りで引退。05年には新規参入した東北楽天の打撃コーチに。09年は横浜の打撃コーチ、12年からは常磐大の臨時コーチを務めた。16年より、高知の監督に就任。現役時代の通算成績は2063試合、2006安打、打率.289、195本塁打、953打点。

(このコーナーでは四国アイランドリーグplus各球団の監督・コーチが順番にチームの現状、期待の選手などを紹介します)


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