(写真:大盛況だった最終日のゲスト<前列左から山崎氏、大山氏、筆者、大江氏)
「やっぱ、絵になる男だ!」
『高山善廣チャリティー写真展』での作品を見て、僕は感嘆の声を上げた。
特にドン・フライ選手との一戦は、躍動感が凄まじい!
包み込まれるような大きな写真を凝視していたら、自分もあの壮絶な殴り合いを演じている気分となるから不思議だ。
被写体が良いのは勿論だが、カメラマンさんの力量に感服する。
UFCやK-1でオフィシャル・フォトグラファーを務めているだけあって長尾迪カメラマンの腕は超一級品なのだ。あのヒクソン・グレイシーが心を許している数少ないカメラマンなのも納得である。
そんな長尾カメラマンから直々にトークイベントの依頼をいただいたのは光栄でしかない。しかし、高山選手を応援したいレスラーや関係者は他にもたくさんいるだけに自分だけが独占するのも忍びない。それに何より集客面などで頼りない自分が写真展の足を引っ張ってはいけないと思い、高山選手と親交が深いメンバーに援軍を頼むことにした。
まず、トーク力で業界ナンバーワンの大江慎さんの顔が頭に浮かんだ。元シュートボクシング&キックボクサーである大江さんは、サムライTVで長年MCを務めている司会のスペシャリストでもある。それに高山選手へのお見舞いへ頻繁に行かれているため、最新情報も聞けるとあって、このイベントに適任だと思った。
声を掛けさせていただくと二つ返事。Uインターの絆は健在で嬉しい。
ちなみに『カッキーライド』では、僕のセコンドに付いてくれたり、ミヤマ☆仮面の昆虫イベントへ家族で遊びに来てくれたりと情が厚くフットワークの軽い方なのだ。
次に頭に浮かんだゲストは、元格闘家の大山峻護さんだ。彼は高山選手を心からリスペクトし、今年の3月にはDDTのリングで肌を合わせている。
「高山さんのことで、何か手伝えることがあればやらせてください」と熱いメッセージをいただいていたこともあり、今回甘えさせてもらったのである。僕は以前、がんの検査結果に不安を覚えていた時、彼の言葉で救われたことがあった。
大山選手は現役中、何度も逆境から立ち上がってきたスーパータフガイなので、その言葉一つ一つに説得力がある。ピュアな彼の言葉には嘘がなく、スッと心に浸み込んでくるのだ。僕は、そんな彼の言葉を高山選手の応援に集まったファンの皆さまにも伝えたかったのである。
これでメンバーは揃ったと思っていたら、なんと嬉しい誤算があった。
なんと山崎一夫さんが写真展の会場へ遊びに来てくれるというのだ。当日は、新日本プロレスの後楽園大会で解説のお仕事があるにも関わらず、タイトなスケジュールをぬって駆けつけてくれる男気に感謝である。これでシークレットゲストも決定。
チャリティー写真展の最終日となった12月17日は、豪華メンバーが揃ったこともあり、会場となったスタジオ内は人で溢れかえり、大盛況となった。
(写真:豪華メンバーが揃ったトークイベントはそれぞれの思いを語った)
トークイベントでは、展示の写真を見ながら、それぞれ思い思いの発言が交錯した。
僕は、ボブ・サップ戦やドン・フライ戦などゴングの開始と同時にラッシュを仕掛けるスタイルとなった原点の試合は、Uインターでのキモ戦ではないかと持論を展開した。
キモ戦では、Uインタールールだったため、グローブではなく掌底だったこともあり、殴り合いという試合内容ではないが、短いタイムで負けるという結果に終わった。
顔が血で染まり、1分ほどで絞め落とされた試合は衝撃だった。
戦いを芸術の域まで昇華させようと技術の攻防を重視したUインターでの身内同士の試合と異なり、対外試合は先手必勝だということをこの試合で叩き込まれたのではないかと推察する。
神宮球場で行なったこのキモとの一戦は、彼のターニングポイントの試合であったことは間違いない。
それにしてもプロレスと総合という二つのジャンルを股にかけて、ここまでファンの記憶に残る試合をした選手は過去にいただろうか?
Uインターの仲間の一人として、心から誇りに思う。
彼の功績を語りだすと時間がいくらあっても足りないので、司会の大江さんの口から近況報告がなされた。厳しいリハビリに取り込んでいる高山選手だが、良い方向に進んでいる旨の説明に場内は大いに沸いた。さすが我らの帝王である。
彼には、マット界でまだまだやらなければならない大きな役割が残っている。大江さんから提案があったプロレスや総合の解説の仕事は、そんなに遠くない未来に実現できそうである。個人的にはマット界の底上げのためにも選手育成のコーチなども是非ともやってもらいたい。
ファイターとして一流なのは皆さんが良く知っているが、ひとりの人間としても本当に素晴らしい男なので活躍の場は無限だと思う。
今回集まったファンや関係者の熱量は凄かっただけに一日も早く、人前に立つ帝王の姿も見てみたい。数々の偉業を成し遂げた帝王だけに必ず奇跡を起こすと確信している。
この想いは世界中のファンも同じだろう。
僕も病気に負けないで高い目標を次々と成し遂げ、大切な仲間へ希望の光を放っていきたいと思う。
(このコーナーは毎月第4金曜日に更新します)
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