(写真:11度目の対抗戦優勝を喜ぶ帝京大の選手、スタッフ、関係者)

 20日、ラグビーの関東大学対抗戦Aグループが東京・秩父宮ラグビー場で行われ、帝京大学が明治大学を29-12で下した。これで通算成績6戦全勝、勝ち点を30に積み上げた。2位の明大が5勝1敗で勝ち点24、1試合消化の少ない3位の早稲田大学が4勝1敗で勝ち点19。いずれも残り試合を全勝しても帝京大の勝ち点に届かない。帝京大は最終戦を待たずして2年連続11度目の優勝を決めた。

 

 昨季の大学王者・帝京大が、対抗戦連覇を達成した。春季大会で敗れた明大を破り、全国大学選手権連覇へ、弾みのつく快勝となった。

 

 PGで先制を許した直後の4分、敵陣深くに攻め込むと、SO高本幹也(4年)が大外右へ飛ばしパスを送った。このボールをキャッチしたWTB小村真也(2年)がインゴール右隅に飛び込んだ。高本がコンバージョンキックを成功し、7-3と逆転した。

 

(写真:両軍最多の14得点を挙げ、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた高本幹也<中央>)

 この日の東京は最高気温14度。今にも雨が降り出しそうな雲の下、両軍は激しい肉弾戦を展開した。7分以降、帝京大と明大が伝統的に得意とするスクラム合戦。帝京大が明大のペナルティーを何度も誘発した。22分、敵陣からのペナルティーを獲得すると、高本幹也がタップキックでリスタート。インゴール左中間にトライを挙げた。

 

 明大も意地を見せてスクラムでやり返す。26分、帝京大ボールのスクラムでコラプシングの反則を誘った。その後もスクラムでは優位に立った。40分に帝京大ボールのスクラムでコラプシング。CTB廣瀬雄也がPGを決め、6-12と6点差で前半を終えた。

 

 前半25分以降はセットプレーで劣勢となった帝京大だが、ノートライに抑えたことが大きかった。ゲームキャプテンを務めた高本幹也は「1人1人がディフェンスの時間帯だと認識できていたと思う。1人1人でディフェンスするのではなく全員がチームになってのディフェンス。“ハードに激しく”をこの1年取り組んできた」と振り返った。

 

(写真:小村は2トライを挙げるなど勝利に貢献した)

 ハーフタイムを終え、先にピッチに出てきた帝京大が先に点を取った。3分、小村が自陣で明大のパスをインターセプト。そのまま1人で60m以上を独走し、右中間に飛び込んだ。高本幹也がコンバージョンキックを決め、19-6とリードを広げる。

 

 帝京大は攻め手を緩めず、11分にはFL奥井章仁(3年)がトライ。インゴール目前まで迫ったCTB二村莞司(4年)をフォローし、インゴール右中間に押し込んだ。高本幹也のコンバージョンキック成功で26-6と20点差をつけた。

 

(写真:堅いディフェンスで明大のアタックを食い止める帝京大)

 その後は押されていたスクラムでも徐々に挽回していく。1トライ1ゴールを返されたものの、29-13で勝利した。3トライ差(帝京大=4、明大=1)のボーナスポイントも獲得し、勝ち点5を積み上げた。

 

 10度の大学選手権優勝に導いた岩出雅之氏から後を継いだ相馬朋和監督は就任1年目での初タイトルだ。元ジャパンのプロップは「4年生にとって大切な1年。その中でひとつひとつ勝ってきた成果として、区切りの試合に勝てたことは心からうれしい」と喜んだ。

 

(文・写真/杉浦泰介)