6月中旬、いつも御世話になっている愛媛サポートクラブの方から『愛媛フットサルパーク株式会社』なるものを立ち上げるとの連絡が入り、その事業に関する発表が行われる記者会見に私も出席させて頂いた。
(写真:記者会見の様子。左が愛媛フットサルパーク(株)代表取締役井手一隆氏。右が(株)三越松山店副店長市川明彦氏)
 6月22日(金)、松山市の中心街に位置する老舗デパート三越・松山店の8階に記者会見場が設営され、大勢のマスコミやサッカー関係者が詰めかけ、大変な賑わいをみせた。
 会場内に設置されたスクリーンに愛媛フットサルパーク松山三越という大きな文字が映し出され、「(株)三越・松山店の屋上にフットサルコートと、その関係施設を新設し、民間企業である愛媛フットサルパーク(株)が運営を行う。グランドオープンは、2007年8月12日(日)午前11時の予定」と内容が説明された。

 緩衝材入りロングパイル人工芝(日本サッカー協会公認)を敷き詰めたフットサルコートを2面とウォームアップ用ミニコート、それに男女用の更衣室、シャワールームと観覧席(応援席)なども完備した、松山市中心街としては初となる民間運営の本格的なフットサル施設なのである。

 もちろん屋上階の周囲には防護ネットが張り巡らされ、周辺環境にも配慮されている。また、照明設備も整っていることから夜間の使用も可能だそうだ。大都市圏やサッカーが盛んな地域では、今や当たり前のように駅ビルやデパートの屋上などに存在しているが、四国内では初めての大型商業施設屋上の常設フットサルコートである。

(写真:愛媛フットサルパークの完成予想図<全景>) 今年は日本フットサルリーグ(Fリーグ)も開幕を迎え、フットサルの競技人口もますます増えている。愛媛でも年々人気が高まっている様子だが、県内の施設は不足しているのが現状だった。設備的に十分なものが少ないというのもそうだが、あったとしても専用コートではなく、他競技との併用のためにコンスタントに利用できなかった。また、競技人口が多い地域から遠く離れた場所に設けられ、利便性に欠けるなどの問題も抱えていた。

 しかし、今回の取り組みは愛媛フットサルパークという名称からも専用コートであることが一目瞭然である。それに、何よりも競技人口が多いと思われる松山市中心街という立地の良さが際立って素晴しく感じられる。競技者が多く在籍しているであろう松山市内の大学や各種学校からも徒歩で行ける距離だし、学業や仕事が終わった後の夜間でも利用できることも魅力的だ。そして、都市のステータスとして、中心街の大型商業施設の屋上に常設フットサル場が存在するというのは、内外的にもアピールできるものだとも言えるだろう。

 愛媛フットサルパークでは愛媛FCと協力体制を築き、各種イベントの開催も予定している。愛媛FC選手たちによる幼稚園、小学生向けのサッカースクールやシニア向けのフットサル教室、現役選手やOB選手によるエキシビジョンマッチなどなど、幅広い年齢層の方々が楽しめる催しが計画されている模様だ。

(写真:愛媛フットサルパークの完成予想図<クローズアップ>) 中でも『愛媛のジダン』と呼ばれ、四国リーグやJFL時代に愛媛FCを支えてくれたクラブOBの黒田一則さんによる「成人向けのフットサル教室」には注目したい。毎週開かれることが既に決定しており、機会があれば私も参加してみたいと思っている。また、各種サービスなども設けられており、愛媛FCのファンクラブに入会していれば、コート利用料割引などの特典もあるそうだ。

 ブラジル代表のロナウジーニョなど、世界的に有名なサッカー選手の中には幼少時代にフットサルを通じて技術を磨き、サッカーへとシフトして成功を収めた選手もいると聞いている。このような施設が設けられ、フットサルがより身近なものになり、競技を通じサッカーへの興味を抱いてもらえるようになれば、地域の方からの愛媛FCへの理解も深くなると思う。さらには「フットサルパークで競技した子供たちの中から愛媛FCの将来のスター選手が生まれるかもしれない」と私たちの夢も膨らんでいくのだ。

 行政主導によるスポーツのインフラ整備が進みにくくなった時代に、この施設を企画し、提供してくれたのは愛媛FCを愛し、応援し、支援する人々である。彼らが生み出したサッカー文化普及への礎を私も大切に育んでいきたいと考えている。

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松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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