2007シーズンのJ2リーグは、第3クールに突入し、厳しい夏の本番に向かって体力的に過酷なサバイバル戦が続いている。7月は天候が不順で、公式戦が延期になったり、練習も十分な形や時間を取れなかった。試合の間隔も中2日や中3日と厳しい日程が続き、愛媛FCも満身創痍となりつつある。
(写真:7月にオープンした北条スポーツセンター球技場。人工芝が整備されている)
 ここにきて、選手たちの中にもケガ人が出てきている。個々の警告の累積数も気になるところだ。選手のケガに関して、状況を聞いてみると、地元でのケガが多いように思われる。断言はできないが、県内の会場施設や練習施設の不備が選手たちのケガや疲労の原因につながっているように思えて仕方がない。

 J2公式戦のメイン会場となっている愛媛県総合運動公園陸上競技場は、現況、ピッチの芝は夏枯れし、土が見えている部分も存在している。プロスポーツのイベント会場と言える環境ではない。

 7月6日(金)には、大雨という最悪のコンディションの中、徳島ヴォルティス戦(J2第26節)が同会場にて行われたのだが、水はけが悪すぎて、ピッチ上に雨水が浮き上がり、浅めのプールの中で試合をしているかのような酷い状況だった。選手たちが走り、ボールを挟んで敵味方が交錯するたび、背丈ほどの水しぶきが立ち上り、遠目からは、球際で何が起きているのか分からないほどだった。

 審判員たちにとっても災難だったと思う。間近で展開されるプレーにも関わらず、水しぶきが邪魔で視認が困難となり、正確なジャッジが行える状況ではなかったからだ。救われるのは、この試合でケガ人が出なかったことだろうか……。つまりは中止になったとしても、おかしくない状況下にて、試合が行われていたということである。

 細かなパスワークを得意とする愛媛FCにとっては、まさに「地獄の様な環境」での試合とも言えた。案の定、十分な力発揮する間もなく、敗戦を喫することになってしまった。正々堂々と戦って、相手に負けるならばともかく、ホームの劣悪なピッチに足をすくわれて敗れたかのような後味の悪い試合だった。

 相手チームにアウェーの洗礼を浴びせるようなスタジアムなら納得できるが、味方のホームチームのプレーを邪魔するかのような環境には、本当に納得できない。選手たちが気の毒で仕方がない。

(写真:愛媛県総合運動公園球技場は芝剥げが目立つ) メイン会場がある愛媛県総合運動公園内の球技場にも同じことが言える。愛媛FCが練習場として頻繁に使用するグラウンドなのだが、ゴール前やセンターサークル付近の芝剥げは、一段と酷くなっている。雨が降ろうものなら、ぬかるんで田んぼの様な状況になってしまう。おもいきり走ったり、ボールを蹴ったりできる環境とは言い難いものだ。

 この梅雨の時期もケガに気を使いながら、恐る恐るの練習となっていたかもしれない。このような状況を目にしたサッカー経験者からも「プロの選手たちが練習する施設とは思えない」という声が聞こえてくる。

 しかし、ここに来て、練習施設改善への足掛かりとも思える喜ばしい情報も伝わってきている。7月15日(日)には、ロングパイル人工芝(日本サッカー協会公認)が全面整備されている北条スポーツセンター球技場(松山市大浦)がオープンを迎えた。早速、選手たちも同施設にて練習を開始している。

 また、愛媛FC事務局がある南海放送サンパーク内のグラウンドでも、同じロングパイルの人工芝を敷き詰める工事が進んでいる。松山市内におけるサッカー練習施設の整備は、徐々に進展しつつあるようにも思われる。

 これにより、各カテゴリーにおける練習の質の向上が期待される。だが、一方でJリーグ公式戦のメイン会場となる愛媛県総合運動公園陸上競技場や付属する施設が、現在の様な状況では対外的に胸を張ることなどできはしない。

 10年後の愛媛国体に向けて、行政により、どのような施設整備が行われるのかは、分からないが、私たち自身がサッカー競技やその他のスポーツのため、将来的にも有効な施設確保について真剣に考えていかなければならない時期に来ているのかもしれない。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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