第84回「ゆりかご」 〜J2第21節、対コンサドーレ札幌〜

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 6月2日(土)に行われたJ2第19節において、愛媛FCは5連勝中の東京ヴェルディ1969をアウェイながら見事撃破し、調子が上向きつつある。休みを挟んで迎える次のホームゲームでも、愛媛イレブンの活躍が期待できそうである。
(写真:札幌ゴール前での激しい攻防)
 6月13日(水)、J2第21節・愛媛FC対コンサドーレ札幌がホーム(愛媛県総合運動公園陸上競技場)にて行われた。札幌は、第2クール負けなしの7連勝(第20節終了時点)で首位を独走中の強敵だ。

 しかしながら、現在(第20節終了時点)12位の愛媛FCにとっては、星勘定などを気にせず、無心でぶち当たることができる相手とも言える。愛媛持ち前の若さ溢れるプレーが発揮できれば、金星も夢ではない。サポーターも今季初の連勝を信じ、試合前から気合のこもった応援コールをスタジアムに響かせていた。

 雨雲が深く垂れ込み、時折小雨が降る中、時計が19:00を回り、札幌のボールで試合がスタートした。序盤、敵のプレッシャーが厳しく、なかなか前線にボールを運ぶことができない。さらには、相手にサイドを突かれ、セットプレーのチャンスを与えてしまう。それでもDF陣とGK佐藤昭大選手の踏ん張りで、失点は許さない。

 やり過ぎとも思える相手チームが繰り出す危険なタックルに耐えつつ、前半30分過ぎまで、反撃の時をうかがってきた愛媛。前半36分、中盤でルーズボールを拾ったMF青野大介選手が、前線のMF江後賢一選手へとパスを送る。ボールを受けた江後選手が、左サイドのスペースへ開きながら、敵陣深い位置までドリブルで駆け上がる。

 その江後選手がペナルティエリア前で相手DFに倒され、絶好の位置でのフリーキックのチャンスを得た。フリーキックを蹴るのはMF赤井秀一選手。長い助走から右足を豪快に振り抜くと、ボールはイン側に曲がりながら、相手ゴール目がけて飛んで行く。これを阻むべく相手GKもジャンプして手を伸ばすが、わずかに届かず、ファーサイドのポストに当たり、そのままゴールイン。前半38分、見事な先制弾が決まった。

「敵の猛攻を耐えてきた甲斐があった」。チームメートたちが赤井選手に抱きつき、手荒な祝福を送る。サポーターも久しぶりのホームでの得点に喜びを爆発させる。
 その後、札幌も速攻で反撃を試みるが、愛媛DF陣が踏ん張り、前半戦は1−0とリードして折り返した。このスコアに満足せず、追加点を奪い、着実に勝利へとたどり着きたい。

(写真:両チームの選手の危険な接触が目立った) 後半の序盤、愛媛FCの攻撃にリズムが出てきた。両サイドにボールを展開しつつ、積極的に攻め立てる。首位の意地というものなのか、相手もカウンター攻撃を駆使して、少ないチャンスをものにしようと激しいプレッシャーをかけてくる。一進一退の攻防は、終盤まで続いた。

 後半41分、相手の最終ライン間でのパスをうまくカットした青野選手が、そのまま中央をドリブルで駆け上がり、ペナルティエリアまでボールを持ち込む。そして、相手GKの動きを見つつ、落ち着いてゴール左中段にシュートを叩き込んだ。欲しかった追加点を手にし、歓喜の愛媛FCベンチ。青野選手を中心に選手たちが集まり「ゆりかごダンス」が始まった。

 これは、青野選手の妹さんに、お子さんが誕生したことを祝ってのダンスである。選手たちの楽しげなダンスにつられ、スタジアムの興奮も最高潮に達した。相手のパスコースを読んでボールを奪い取り、その後のシュートも見事だった青野選手。2試合連続の決勝点で今後の活躍にも期待が持てそうだ。

 あまりの喜びに気が抜けたのか、その直後、相手に1点を献上してしまったが、長いロスタイムも無難に費やし、ついにタイムアップ。2−1で愛媛FCが劇勝! 7連勝中だった首位札幌を、若き愛媛イレブンが見事に下してみせたのだ。

 そして、この勝利で今季初の連勝をマーク。東京V、札幌と難敵を破っての連勝は、選手たちにとって自信につながるし、サポーターやファンにも勇気を与えてくれる結果となった。この勢いを持続させ、体力消耗の激しい夏場の連戦においても、思う存分、チカラを発揮して欲しい。まだまだ進化し続ける2007シーズンの「望月サッカー」。彼らから目が離せない。

※お知らせ
 6月23日(土)13:00より、J2第23節・愛媛FC対ベガルタ仙台がアウェイ(ユアテックスタジアム仙台)にて行われますが、同時刻にパブリック・ビューイングのイベントが松山市の中心街である「銀天街」と「大街道」を結んで、大々的に行われます。

 それぞれの商店街アーケードに設置された大型ビジョンにアウェイ戦の試合中継を映し出し、「皆で愛媛FCを応援しよう!」という企画です。仙台には行けないけれど、愛媛FCを応援したいという方、私たちと一緒に松山市中央商店街へ集まって思う存分、応援を楽しみましょう。

 第1会場となる銀天街入口(いよてつ島屋前・坊ちゃん広場)では、283インチのギャラクシービジョンに、第2会場となる大街道(一番町側)入口付近では、243インチのキャッスルビジョンに、それぞれ生中継の画像が映し出されます。

 この機会に是非、街頭パブリック・ビューイングをお楽しみ下さい。各会場とも座席が用意されていますが、利用には事前申込みが必要となります。イベントの詳細や事前申込みについては、「愛媛FC×松山中央商店街 パブリック・ビューイング」ホームページ をご覧下さい。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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