5月、サッカーくじ「totoBIG」の高額キャリーオーバーが日本中で空前の話題となり、システムがパンクするほどの人気を呼んだ。「6億円という記録的な1等当選額が出るか!?」と期待されていたが、その額には届かなかった。
(写真:「totoBIG」の1等賞金5臆6313万円が1本出たサッカープロショップ「いわさき」の店長・岩崎桂介さん)
 それでも5億6313万円という、とてつもない額の1等賞金が7本も出たという話題が新聞やニュースで大きく取り上げられた。そんな報道を横目で見ながら「当選された方が実に羨ましいなぁ」と遠い国での出来事の如く、ぼんやり考えていたが、その7本の中の1本がごく身近な店で出ていたことが判明し、ビックリしている。

 そのお店は、松山市清水町1丁目にあるサッカープロショップ「いわさき」さん(サッカーに関わる用品・備品の販売店)である。愛媛FCのサポーター組織の立ち上げ以前から、とてもお世話になっているお店で店長の岩崎桂介さん(いわさきのおっちゃん)には日頃、いろいろと親切にして頂いている。

 愛媛FCが四国リーグで活動していた時代には、私たちサポーター手作りの愛媛FCアピールポスターを店頭に飾ってくれたり、チラシの配布などにも快く協力して下さった。JFL時代にも、サポーターのためにレプリカユニフォームを調達してくれたり、署名活動にも参加して頂き、数多くの署名を集めて下さったのだ。

 そんな岩崎さんこそ、愛媛FCのJリーグ昇格の影の立役者と言えるのかもしれない。普段から市内の少年サッカーチームや学校への備品の納入等を通じて、地域の少年たちの面倒を見たり、相談に乗っている。少なくとも、松山のサッカーを牽引して来たお店であることは間違いないと思う。

 また、石橋智之さん(元愛媛FC総監督)や大西貴さん(元愛媛FC選手兼監督)、友近聡朗さん(元愛媛FC選手)など愛媛FCに縁のある選手やスタッフも数多く、この店を訪れていて、名のあるサッカー選手たちから信頼されているお店のひとつでもあるのだ。

(写真:「いわさき」の店頭の看板には、1等の文字が輝く)
 岩崎さんに、今回のtoto騒動についてうかがってみた。
「高額キャリーオーバーが発生した直後は、普段来ないような中年女性などが店に詰めかけ、狭い店内に行列ができました。1等を出した店舗が発表された時には、全国放送のニュース番組でウチの店が取りあげられた。正直ビックリしています。
 私が当選した訳でもないのに、お客さんから握手を求められたりもしました。インターネット上にお店のサイトを開いていますが、1日のアクセス数が、今までは多い時で200件くらいでしたが、お店が報道で紹介された日には5000件にまで増えました。とにかく大変な騒ぎでしたね。でも、めでたい話題として、うちの店が取り上げられるのは、嬉しいことです」

 今回の一件で、県内だけでなく全国においても一躍有名店となったサッカープロショップ「いわさき」さん。地域の小さな店舗が、ましてや自分が良く知っているお店が全国区で有名になってくれるのは実に嬉しいことである。実際に高額当選金を手にされた方が、どなたかはわからないが、1人がこの店で幸せを掴んだことは確かな事実である。この御利益に授かりたい方は是非、岩崎さんのお店でtotoの購入や買い物をして頂きたい。さすれば、あなたにも幸運が訪れるかもしれない。

 騒動を巻き起こした今回の「totoBIG」というサッカーくじは、購入者が勝敗を予想するのではなく「コンピューターがランダムに予想を出す」というシステムである。松山市の端末が判断したのか、中央のコンピューターが判断したのかは知らないが、「愛媛FC勝利」と予想したことに関しては「良くやった!偉い!」と機械ながら褒めてあげたい気持ちだ。(J2第16節、愛媛FCが2−0でセレッソ大阪に快勝)

 まぁ、どのくらいの確率で愛媛FC勝利を予想してくれていたのかは怪しいところだが……。「totoBIG」を外して悔しい思いをされた方は今まで大勢いることと思う。提案だが、次はコンピューター任せにせず、自分で勝敗やゴール数を予想する「toto」や「totoGOAL」の方に挑戦してみてはいかがだろうか? 

 サッカーのことやチームのことを詳しく知れば、面白味も増すし、興奮の度合いも尋常じゃない。慣れてくれば、当選確率だってコンピューターより上がるかもしれない……。どうでしょう。

「totoBIG」の人気沸騰で大きな収益を上げた「toto」だが、その収益の一部は助成金として、全国のスポーツ振興に役立てられている。地域スポーツの環境整備や選手の育成など、私たちが愛して止まないスポーツの発展を担っている存在なのだ。その上で、助成金が実際に役に立っているのかどうかを判断する責任が私たちにはあると感じている。

 まだまだ、愛媛県では芝生グラウンド等の環境整備が進んでいない状況だ。今後も興味を持って、スポーツに関わる振興事業を見守っていく必要があるだろう。現在、運営面やシステム整備等の問題を抱えつつも、販売開始から7年目を迎えている「toto」。それが魅せてくれるスポーツの素敵な未来に私たちは期待を寄せているのだ。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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