ラグビーW杯フランス大会まで、3週間を切った。日本ラグビー協会は、大会の目標を「ベスト8以上」に置いている。

 

 

 抽選の結果、日本が入ったのはD組。イングランド(世界ランキング6位=8月21日時点)、アルゼンチン(同7位)、サモア(同10位)、日本(同14位)、チリ(同22位)の5カ国・地域で構成される。決勝トーナメントに進出できるのは、このうち上位2チームだ。

 

 さる7月22日、札幌で日本は同組のサモアとテストマッチを行った。前半30分、この日、ナンバーエイトで出場していたリーチマイケルが退場処分を受け、それ以降の50分を14人で戦う羽目に。それがネックとなって22対24で敗れたものの、日本にとってはいい経験になったのではないか。

 

 リーチの退場は、タックルの際、肩が相手選手の側頭部付近に当たったことによるもの。自身初のレッドカードとあって、「ハーフタイムの間、頭は真っ白だった」と語っていた。

 

 もちろん、故意によるものではない。審判団がTMO(ビデオ判定)でスロー映像を見直した末のペナルティだけに、リーチも、「そう(危険に)見えてしまう」と観念した様子だった。

 

 先に「日本にとっていい経験になったのではないか」と述べたのは、本番でも、こうしたことが起こる可能性がゼロとは言えないからだ。

 

 いい例えかどうかはともかく、これは本番前の“予防接種”だったと考えるべきだろう。むしろ今起きておいて、よかったのだ。

 

 14人での戦いを余儀なくされながら、「あと一歩まで追い詰めたことはプラスに考えたい」とジェイミー・ジョセフHC。その通りだ。

 

 プロップの稲垣啓太は、「ひとりひとりが10%ずつ仕事量を増やせば、(ひとり少なくても)カバーできると思った」と、敗戦を前向きにとらえていた。

 

 サモアとの本番は9月29日(日本時間)、1次リーグ3戦目としてトゥールーズで行われる。札幌の借りを返したい。

 

<この原稿は『週刊漫画ゴラク』2023年8月21-28日号に掲載された原稿です>

 


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