(写真:この日プレースキックをすべて成功させた松田 ©JRFU)

 9日、ラグビーW杯フランス大会のプールD・世界ランキング14位の日本代表(ジャパン)が同22位のチリ代表を42-12で破った。前半6分に先制されたジャパンだったが、8分にLOアマト・ファカタヴァのトライ、SO松田力也のゴールで追いついた。29分にスクラムからWTBジョネ・ナイカブラのトライで勝ち越すと、計6トライを奪っての快勝。ボーナスポイント(4トライ以上)を加え、勝ち点5を獲得した。次戦は現地時間17日(日本時間18日)、世界ランキング8位のイングランド代表と対戦する。

 

 エベレストの頂上に向け、好発進だ。W杯初出場のチリを相手にボーナスポイントを獲得しての勝利を挙げた。

 

 スタジアム・ド・トゥールーズでのデーゲーム。ジャパンは2日前の練習に参加せず、コンディションが不安視されていたキャプテンNo.8の姫野和樹がケガにより直前で欠場となった。代わりにサウマキアマナキがLOに入り、スタメンのLOジャック・コーネルセンがNo.8にポジションを替えた。

 

 シンプルに縦を突いてくるチリの圧力を受けた。序盤はほぼ自陣で時間を過ごした。6分にジャパンの左サイドを突かれ、大きくゲインを許した。こぼれたボールをSOロドリゴ・フェルナンデスに拾われ、そのままインゴールに運ばれた。WTBサンティアゴ・ビデラにコンバージョンキックを決められ、7点を先制された。

 

 直後のキックオフをチリがキャッチミスをした。そのままアタックを継続し、フェーズを重ねた。SH流大のパスから抜け出したファカタヴァがインゴール右中間に飛び込んだ。松田がコンバージョンキックを真ん中を通し、7-7と追いついた。

 

 徐々にジャパンのペースで試合は進むがスコアできない。敵陣でペナルティーを獲得すると、ショットを狙わずラインアウトを選択した。しかし、インゴールまで届かない。

 

 嫌な流れを断ち切ったのは30分。敵陣深くでスクラムを獲得し、流のパスからWTBジョネ・ナイカブラが2人のディフェンスをモノともせず、インゴール左隅にボールをグラウンディングした。さらにファカタヴァが前半終了間際にラインアウトモールからトライを挙げた。また松田はいずれもコンバージョンキックを成功。直前のテストマッチで2本のコンバージョンを外していた背番号10は、本番できっちり修正してみせた。

 

 21-7とリードしてハーフタイムを迎えたジャパン。6分にCTBディラン・ライリーがシンビン(10分間の一時退場)で数的不利となると、1トライを返された。それでも13分、FLリーチマイケルがゴールポスト真下に飛び込んだ。

 

 徐々にチリはガス欠の様相を呈す。プレーが切れた時に肩で息をする選手も目立ち始める。31分にはスクラムで押し込み、SH齋藤直人のパスからCTB中村亮土が左中間にトライを挙げた。終了間際にもLOワーナー・ディアンズがトライを奪い、42-12で勝利した。

 

(写真:ギネス認定を喜ぶ<左から畠山氏、タレントの高山一実、勝俣邦和 ©SPORTS COMMUNICATIONS)

 トゥールーズが約1万km離れ、日本からもジャパンの選手たちを後押しした。全国各地でパブリックビューイングが開催。東京・秩父宮ラグビー場では、元ジャパンの五郎丸歩氏、畠山健介氏らが会場を盛り上げた。特別協賛のアサヒスーパードライ。試合前には「オンラインと単一会場で同時に乾杯をした最多人数」のギネス記録に挑戦。従来の717人を大きく更新する1026人として認定された。

 

 試合が始まると、約1万人が詰め掛けた秩父宮ラグビー場は、好プレーに大きく沸いた。中継映像から聞こえてくるジャパンコールやリーチコールに呼応。時に手拍子で選手たちにエールを送り、初戦勝利を喜んだ。

 

(文/杉浦泰介)