第81回「気迫」 〜J2第10節、京都サンガF.C.戦〜

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 4月21日(土)、J2リーグ戦・第10節となる「愛媛FC対京都サンガF.C.」の一戦が愛媛のホーム(愛媛県総合運動公園陸上競技場)にて行われた。開幕戦からは、既に一ヶ月以上が経過しているにも関わらず、ホームでの勝利は未だにつかめず(4月20日時点)。サポーターたちも待ちくたびれ、痺れをきらしている様子だ。
(写真:愛媛FC、ゴール前でフリーキックのチャンス)
 今シーズン開幕前のオープニングフェスタでは、中村時広氏(松山市市長)が選手たちへの激励の言葉として「ホームゲームでの勝ち数を昨シーズンよりも多くして欲しい」と述べていた。この調子では、その目標への到達も難しいと思われても仕方がない状況になりつつある。

 しかしながら、チーム自体は、選手間のコンビネーションの完成度が高まっており、攻撃のコツをつかんできているようだ。徐々にだが、良い状態になりつつあるように思える。また、望月一仁監督も戦術システムの強化ポイントや選手個々の特長、性格等を把握しつつあり、自信あるコメントがマスコミを通じて聞こえてはきている。

 私個人としては、状態が悪かろうが、技術的に劣っていようが、最後は気力の問題とも思える。対戦相手に気持ちで負けないプレーを是非とも、このホームゲームで見せて欲しいと考えている。

 16:00、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。序盤、サイドから積極的に攻撃を組み立てる愛媛FC。相手も中央突破から強力なFW陣がゴールを狙ってくるが、愛媛DF陣が踏ん張り、一進一退の攻防が続く。

 前半15分、センターサークル手前でボールをキープしたMF青野大介選手から、右サイド高い位置へオーバーラップを仕掛けるDF森脇良太選手へとロングフィードが送られる。ボールに追いついた森脇選手が、すかさずゴール前へ絶妙のアーリークロスを供給。敵DFと競り合いつつ、ペナルティエリアに攻め上がってきたFW田中俊也選手が、上半身を乗り出し、このボールをヘディングで敵ゴールに叩き込んだ。見事な先制弾! 喉から手が出るほど欲しかった先取点に、チームもサポーターも大喜びだ。

 その後も、愛媛FCは攻撃の手を緩めない。後半3分、DF金守智哉選手のクリアボールをセンターサークル付近のMF江後賢一選手がキープ。そのままドリブルで中央を駆け上がり、その前方でライン裏へと飛び出す構えを見せていた田中選手を確認し、スルーパスを送る。このボールを足元で受けた田中選手が、一気にペナルティエリアまで持ちこみ、GKの動きを見ながら、狙い澄ましてグラウンダーのシュート。ボールは敵GKの脇を擦り抜け、見事ゴールイン。流れるような攻撃で、愛媛FCが追加点を奪取した。この日、2ゴールと大活躍の田中選手。エースストライカーとしての面目躍如である。

 愛媛FCによる怒涛の攻撃は、まだまだ続く。後半39分、相手のパスをカットした青野選手が、フリーのMF大山俊輔選手へとボールを送る。これを受けた大山選手が中央をドリブルで駆け上がり、右サイドをオーバーラップして追い越して行く森脇選手へとパスを送る。

 ペナルティエリアに陣取るMF内村圭宏選手へ一旦ボールを預け、ペナルティアークに攻め上がる森脇選手。戻って来たボールを足元にキープし、左サイドにシフトしながら敵DFをかわしつつ、ペナルティエリアに侵入。次の瞬間、森脇選手が左足を豪快に振り抜くと、弾丸シュートが敵GKも反応できないまま、ゴールマウスに突き刺さった。愛媛FCが、試合を決定付ける3点目をゲット。ゴール後、森脇選手は「俺の得点だ!」とばかり、サポーターが陣取る観客席の前まで走り込んでアピールする。サポーターとともに喜びを爆発させる中、連鎖するようにスタジアム全体が大興奮に包まれていった。

 結局、3−0で愛媛FCの快勝。2007シーズンにおけるホームゲームでの嬉しい初勝利である。待ちに待った勝利の瞬間をスタジアム全体が歓喜で出迎え、サポーターたちも「WE ARE EHIME!」の勝どきを繰り返した。それに対し、選手たちも満面の笑みを送り返してくれた。

 この試合、愛媛FCは先制点を奪い、さらにリードを広げ、相手の猛攻も見事に無失点に抑えてみせた。途中、相手ベンチや選手たちと審判員との間で揉め事が起こり、集中力が途切れかねない場面もあったが、コンセントレーションを崩すことなく、しっかりと試合終了まで戦えたことで、若い選手たちの成長の跡がうかがえた。

 今回対戦した京都サンガF.C.は、技術力の高い選手も多く、決して簡単に勝てる相手ではなかった。試合時のプレッシャーも強かったと思われるのだが、その相手選手の気持ちを遥かに上回る気迫が愛媛FCの選手たちのプレーからは感じられ、そのことが何よりの勝因とも思えるのだ。たかが1勝と言われるかもしれないが、この勝利はチームにとっても、サポーターにとっても、今後に向けての自信につながる「大きな勝利」と言えるのではないだろうか。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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