天気図風にいえば“パ高セ低”だな。
 6月9日現在、交流戦は53勝43敗とパ・リーグがセ・リーグに10も勝ち越している。今季も最終的にパ・リーグが勝ち越せば、交流戦がスタートして以来、4年連続だ。

 かつてオールスターゲームはパ・リーグが圧倒的に強く「人気のセ、実力のパ」と呼ばれたものだが、その傾向は今も変わっていない。いや近年は人気の面でもパ・リーグの追い上げが目立つ。そう遠くない将来「実力のパ、人気もパ」となるかもしれない。
 そういえば日本シリーズも、ここ5年間は4勝1敗とパ・リーグがセ・リーグを圧倒している。FAではセからパよりも、パからセに移る選手が多いというのに。

 その理由は何か。

 第一に考えられるのが球場のサイズである。総じてパ・リーグの球場はセ・リーグ球団の本拠地よりも広く、ホームランが出にくい。つまり選手には足、肩、パワーが要求される。野球がダイナミックなのはそのためだ。
 球場は選手を育てる。あの頃、オリックスが広いグリーンスタジアム神戸(現スカイマークスタジアム)を本拠地にしていなかったらイチロー(マリナーズ)はあれ程の選手になっていなかったかもしれない。

 二つ目の理由として移動時間と移動距離があげられる。88年にダイエー(現ソフトバンク)が南海を買収し、大阪から福岡に移転、04年には日本ハムが東京から札幌に本拠地を移した。そして05年には楽天が仙台を本拠地にして新規参入を果たした。これにより文字通りパシフィック(太平洋)・リーグとなったのだ。

 一方、セ・リーグは未だに関東地区に3球団がひしめいている。一番遠くて広島だ。移動距離が長くなれば、必然的に選手たちはタフになる。タフな選手じゃなければ使い物にならない、と言い換えることもできる。

 セ・リーグとパ・リーグのリーグ間格差は広がる一方である。

<この原稿は2008年6月30日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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