24日に閉幕した北京五輪。男子ボート軽量級ダブルスカルでのメダル獲得を目指した武田大作(ダイキ)・浦和重(NTT東日本東京)組は、予選、敗者復活戦を通過することができず、順位決定戦にまわり、13位という結果に終わった。
 女子ビーチバレーでは、シドニー五輪4位の佐伯美香(ダイキ)がアテネ五輪代表の楠原千秋(湘南ベルマーレ)とのペアでメダル獲得に挑んだが、第1次リーグ3戦3敗で決勝トーナメント進出はならなかった。
(写真:14日の順位決定準備戦は大雨と落雷で順延。応援席に姿を見せ、電話で試合順延を確認する武田選手と次女・京子ちゃん。/写真提供:ダイキ)
「4度の五輪で一番悔しい結果」
〜ボート・武田大作選手〜


 シドニー、アテネと2大会連続で6位入賞を果たし、北京に向け「出ることに意義はない。メダルを目指す」と意気込んでいた武田・浦組だったが、英国やギリシャなど強豪国と同じ組になった予選で4着となり、準決勝進出を目指して挑んだ敗者復活戦で3着、準決勝に進出できる上位2チームに入ることができず、13位以降の順位決定戦にまわることになった。
 五輪2大会連続入賞、昨年の世界選手権でも6位と、世界の舞台では決勝の常連。目標は、その先のメダル獲得だっただけに、武田・浦にとっては無念の結果となった。しかし、そこから気持ちを切り替え、16日に行われた13-18位決定戦では、妻、4人の子どもたちが見守る中、6分23分02秒でトップゴールを果たし、13位を確定させた。

<競技結果>
ボート男子軽量級ダブルスカル
★8月10日(予選第1組)
4着 武田・浦 6分24秒21 ※敗者復活戦へ

★8月12日(敗者復活戦)
3着 武田・浦 6分43秒03 ※順位決定戦へ

★8月16日(13〜18位順位決定戦)
1着  武田・浦 6分23秒02 ※13位確定

武田大作選手のコメント
「予選は厳しい組になったが、『この組で戦えればメダルが獲れる』と思ったので、自分の中では悪い組合せだとは思っていなかった。500メートルを過ぎたところでスピードが出ない、おかしい、と感じていた。出発前の国内合宿では状態は良かったが、北京入り後、3〜4日前から艇との一体感があまり良くないなと。春先から『大きく漕ぐ』ということを目標に技術の改良に取り組んできた。国内の最終合宿では良い感じだったので『いける』と思ったが、完全にモノにしていたわけではなかった分、北京入りしてからズレが生じてしまい、修正することができなかった。敗者復活戦も、全力で挑んだが、結果に結び付けることができなかった。順位決定戦では、3レースの中で一番良いレースができたが、最後まで納得のレースはできなかった。
 技術を改良しないと勝てないと思って踏み切ったが、未完成のまま北京に挑んでしまったのが敗因。実力が足りなかったということ。4年間、やってきて、『こんなはずじゃなかった』という思いが強い。アトランタ(シングルスカルで出場)、シドニー、アテネ、北京と出場したが、4大会で1番悔しい大会となった。やはりメダルが欲しかった。

 この借りを返したいという思いもあるが、世界も強くなっている。気持ちがあっても、強くなれないのなら選手として寿命だと思っている。これから自分が今よりも強くなっていけると確信できたら、ロンドンを目指したい。来月の全日本選手権、10月の国体には出場する予定。体力測定の予定もあるので、それらの結果によって、今後のことも考えたい」
(写真:出発前日、壮行会での武田選手(右)と浦選手)


「息子にプレーしている姿を見せられて嬉しい」
〜ビーチバレー・佐伯美香選手〜


 女子ビーチバレーの佐伯・楠原組は、1次リーグで米国、キューバら強豪国と同じB組に入る。総当り戦で上位2チームが決勝トーナメントに進出できるが、初戦の米国戦では、格上の相手に12-21、15-21、0−2のストレートで敗れた。ノルウェー戦では第1セット8-21、第2セットでは粘りを見せるも18-21で落とし、0−2。最終3戦のキューバ戦、18-21、17-21と健闘したものの、1セットも奪うことができず、やはり0−2のストレート負け。佐伯・楠原組は3戦全敗でB組4位となり、1次リーグで敗退した。
 高橋有紀子とペアを組んだシドニー五輪ではメダルまであと一歩の4位となった佐伯選手。その後、結婚、出産を経て、北京五輪を目指し現役復帰。元同僚の楠原とのコンビで再び五輪出場切符を手にした。
 世界の壁の厚さを痛感する結果となったが、スタンドで見守った夫、6歳になる息子の健太君の前で、全力で戦い切った。

<競技結果>
女子ビーチバレー
1次リーグ
★8月10日(第1戦)
佐伯・楠原
 0−2(12-21、15-21)
米国(ケリー・ウォルシュ、ミスティ・メイトレーナー)

★8月12日(第2戦)
佐伯・楠原
 0−2(8-21、18-21)
ノルウェー(ニラ・ホーケダル、イングリッド・トルレン)

★8月14日(第3戦)
佐伯・楠原
 0−2(18-21、17-21)
キューバ(ダリシア・フェルナンデス、タマラ・ラレア)

佐伯美香選手のコメント
「長いようで、あっという間の北京オリンピックが閉幕しました。私にとっての3度目のオリンピック。あらためて、このオリンピックという一握りしか出場できない、大舞台でプレーできたこと、息子の健太にプレーしている姿を見せてあげることができたことを、心から嬉しく思います。
(写真:北京五輪前の最終戦、マーメイドカップにて。佐伯選手(左)と楠原選手)
 またこれまで私を支えてくれた家族、スポンサー様、そして多くのファンの皆様に心から感謝申し上げます。皆様の温かいご支援、ご声援が私をこの地に導いてくれました。本当にありがとうございます。
 シドニー後、結婚、出産を経て、家族と共に望んだ北京オリンピック。シドニーでは果たせなかったメダルという目標を持って戦ってきた6年。本当にたくさんのことを経験し、たくさんのことを学びました。
 今回この北京オリンピックでは、結果を出すことはできませんでしたが、この北京の地で学んだこと、そしてこの6年経験してきたことを、これから育っていく選手達、そして日本のビーチバレー界、スポーツ界に、伝えていくことが、私のこれからの使命だと考えています。
 今回出せなかった結果は必ず次に繋がると信じています。どういう形になるかは、まだまだ頭の中でも整理されていませんが、私にしかできないことをじっくり模索して、これからのことを決めていきたいと思います。これからもまだまだ頑張っていきたいと思いますので、ご指導、ご声援よろしくお願いします」


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