身長171センチ、体重115キロ。
 このサイズを見て思い出すのは「ドカベン」こと香川伸行である。
 名門・浪商(現大阪体育大学浪商)の主砲として甲子園で活躍し、南海にドラフト2位で入団したのが1980年。10年間のプロ生活で通算460安打、78本塁打を記録した。

 バッティングは見た目以上に器用で83年には首位打者争いを繰り広げた。
 プロでの通算打率は2割5分5厘。キャッチャーというポジションを考えれば上々だ。
 香川のサイズは身長170センチ、体重130キロ。
「ボールが怖くなった」と言って27歳でユニフォームを脱いだが、よく関取なみの体で10年間もプレーできたものだ。

 冒頭のサイズは亜細亜大学の主砲・中田亮二のもの。埼玉西武がドラフト上位での指名候補にリストアップしているといわれる。
 右と左の違いはあるが、中田も香川並みにバッティングは器用だ。明徳義塾2年生の時に夏の甲子園に出場し、今では西武のエースに成長した涌井秀章からレフトスタンドにホームランを叩き込んだ。「懐の深い左打者だなァ」と感心したものだ。

 亜大に進学し、1年春からクリーンアップを担った。2年時からは大学日本代表に選ばれ、昨夏の世界大学選手権では「JAPAN」の4番に座り、銀メダル獲得に貢献した。
 バッティングには随分、こだわりがあるようだ。
「構えている時はバットを握っているか握っていないかわからないくらい力を入れない。余計な力が入ると、ヘッドが遅れてしまいますから。インパクトの瞬間にだけ力を集中する。このことをいつも心がけて打席に立つようにはしています」
 仮に西武に入団すれば、“おかわり君”こと“中村剛也2世”と呼ばれること請け合いだ。
 ちなみに中村のサイズは身長175センチ、102キロ。中田に比べれば、すっきりしている。

 昨季は46本、今季は48本と2年連続でホームランキングに輝いた中村だが、意外にも二塁打が多い。今シーズンの37本は稲葉篤紀(北海道日本ハム)と並んでリーグ2位だ(7日現在)。
 これまた意外なことに中田も二塁打の多い選手なのだ。4年春までの5シーズンで23本。つまり“打って走れる”選手なのだ。
 守備も軽快でグラブさばきも悪くない。それが証拠にレベルの高い東都大学リーグにおいて一塁手としてベストナインを4度も受賞している。

 そういえば昨季、中村を指導したデーブ大久保(現編成部プロ担当)がこんなことを言っていた。
「これからは動けるデブの時代だ」
 中村に続いて中田もプロで活躍すれば、プロのスカウトのデブ(いや失礼)、肥満体の選手を見る目もかわってくるだろう。
 ちなみに彼のニックネームは「ブー」。高校時代から、ずっとそのままだ。どうやら憎めないキャラクターのようだ。

<この原稿は2009年10月25日号『サンデー毎日』に掲載されたものです>

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