第279回 消えたオリパラ合同パレード
パリ五輪で、日本勢は海外大会では史上最多となるメダル総数(45)と金メダル数(20)を記録した。
8月28日(現地時間)から始まったパラリンピックでも、メダル量産が期待される。JPC(日本パラリンピック委員会)は、「過去最多のアテネ大会の52個以上のメダル獲得」をパリ大会での目標に定めている。
五輪とパラリンピックを合わせると100人近いメダリストが誕生しそうな見通し。彼らを祝福したい国民は少なくないはずだが、なぜか今回、合同パレードは計画されなかった。
メダリストの凱旋パレードは2012年ロンドン大会後、銀座の中央通りを舞台に五輪選手だけで行なわれた。71人の選手がオープンカーや屋根のない2階建てバスに分乗し、50万人のファンの大歓声に応えた。
4年後のリオデジャネイロ大会後は五輪メダリストに加え、パラのメダリストも銀座でのパレードに参加した。計87人(五輪から50名、パラから37名)の選手が屋根のないバスなどに乗り込み、詰めかけた80万人のファンに手を振った。この合同パレードは、参加したオリパラ双方の選手たちにも好評だった。
「普段交流できない選手たちと同じチームジャパンとしてパレードができることを大変うれしく思っている」(女子レスリング・吉田沙保里)
「五輪の選手たちと一緒にパレードに参加させていただき、とてもうれしく、またすごくワクワクして、この日を迎えることができた」(女子車いすテニス・上地結衣)
パレードを通じて、五輪選手とパラ選手が融合し、相互理解が深まる――。これこそは、この国が目指す包括性(インクルージョン)と多様性(ダイバーシティ)の、あるべき姿ではないか。
だが東京大会後はコロナ禍もあり、パレードは実施されなかった。これは仕方がない。
コロナも一段落した今、合同パレードを復活させてもよかったのではないか。国民的慶事となったはずだが……。
<この原稿は『週刊大衆』2024年9月16日号に掲載された原稿です>