二宮: 柔道、総合格闘技とずっと勝負の世界に身を置いてきて、引退後はそういった目標がないのは、どんな気持ちですか?
吉田: 今は駐車場の「タイムズ」を運営している「パーク24」で実業団の柔道チームをつくりあげているところで選手時代より大変です。自分がいくら頑張ったところで、いつ答えが出るってわけじゃないので。


 焼酎ではそばと芋が好き

二宮: まだ実業団では一番下のカテゴリーの3部だとか。吉田さんが現役復帰しても、そこそこやれるのでは?
吉田: いやいや、もう練習していないので選手はできません(苦笑)。かなり力は落ちていますよ。

二宮: 強くするためには選手集めも吉田さんの大事な仕事になりますね。
吉田: 基本的には大卒が中心なのですが、有力選手はだいたい他の強豪チームに行ってしまいます。これは当たり前の話です。だから、こちらは柔道を辞めても仕事を続けられるとか、そういった環境面もアピールしています。ただ入った選手たちには、やるからにはまず柔道で結果を出してほしい。柔道を一生懸命やる人間なら仕事もできる。中途半端なヤツは何をやっても中途半端です。

二宮: 目標はやはり「オリンピック選手を育てる」ことですか?
吉田: もちろんです。会社の士気を高めるために実業団で結果を残しながら、その中からいい選手が出てくるのが一番ですね。そのためにはきちんとした体制をこの2、3年で整えることが大切です。そうすれば、自ずから有望な若手も入ってくる。まぁ、この土台づくりが難しいんですけど。

二宮: 指導者は現状、吉田さんひとり?
吉田: えぇ。道場は東京にありますし、当面はひとりでも何とかなるかなと思っています。幸い、社長が学生時代に柔道や剣道をやっていて理解がある方なので、会社からのサポートは問題ありません。それだけに強い選手、チームをつくらないといけないですね。

二宮: 吉田さんはもともと吉田道場を立ち上げて、ジュニアの育成にも力を入れていますね。
吉田: もう道場を開いて10年近くになります。2016年のリオデジャネイロ五輪あたりでは、道場で教えていた中学生や高校生がそろそろ出られるんじゃないかと楽しみにしてるんですよ。実際に中学生で全中(全国中学体育大会)で優勝したり、国士舘や桐蔭学園といった強豪に進学する高校生も増えてきていますから。

二宮: 前回、焼酎はよく飲まれると聞きましたが普段の飲み方は?
吉田: 水割りですね。ウチの家系はオヤジも飲まないし、もともとお酒に強いタイプではない。だから最初は苦労しました(苦笑)。

二宮: 今回の「そば雲海 黒麹」のようなそば焼酎はいかがでしょう?
吉田: 焼酎ではそばと芋が僕は好きですね。すっきりと落ち着いた香りで、まろやかなコクのあるタイプがいい。この「そば雲海 黒麹」もそば独特の香りがすごくいいですね。飲んでいてスッキリとした感じが気に入りました。

 柔道界はスター不在

二宮: 今年の柔道界はロンドン五輪の出場権をかけた争いが激しくなりそうです。今回から五輪に出るためには、各国際大会で成績を残してポイントを獲得し、ランキングの上位に入らなくてはいけない。以前のように一発勝負の国内選考会で勝てば、実績を評価されて代表入りできるという時代は終わりました。
吉田: せっかく獲得したポイントも1年経つと半分になる。ちょっと休むとポイントが減ってしまうので、選手はコンスタントに大会に出なくてはいけない。これは大変ですよ。

二宮: かつて吉田さんが主戦場にしていた90キロ級は小野卓志がランキング1位ですね。
吉田: でも昨年の世界柔道はギリシャのイリアス・イリアディスに負けましたからね。その後のグランドスラム東京でも小野は準々決勝で一本負けして、優勝したのはランキングでは一番下だった西山将士。混沌としてきて横一線になりつつあるのではないでしょうか?

二宮: それは日本のレベルが底上げされたとみるべきですか?
吉田: うーん……。厳しい言い方をすると、パッとした選手がいない。安定して勝っているのは100kg級の穴井隆将くらいじゃないですか。スターが不在ですよね。古賀(稔彦)先輩、ヤワラちゃん(谷亮子)、(井上)康生……。その後を継ぐ存在が出てこない。

二宮: 一昨年の世界柔道で日本男子は初めて金メダル0個に終わり、お家芸の危機が叫ばれました。昨年の世界柔道は地元開催のアドバンテージがあったとはいえ、金が4つ。一時期の低迷は脱して希望の光は見えているのでは?
吉田: 代表監督の篠原(信一)が情熱を持ってやっていますよ。口は悪いですけど(笑)。彼は僕の4つ下で、現役時代はいつも怒られながら強くなってきた。でも同じやり方を今の選手に採用したらついてこない。大変な時期に監督になったなと思います。

二宮: 女子に目を転じると、ヤワラちゃんが引退した48キロ級が大激戦です。福見友子、浅見八瑠奈、山岸絵美とランキングの1〜3位を日本勢が独占しています。
吉田:この階級はまさに戦国時代です。来年の代表決定まで目が離せません。

二宮: 日本勢が盛り返した要因のひとつにはルール変更もあります。組み合わずにいきなり足を取りにいく“タックル”が規制され、しっかり組んで戦う日本人には有利に働きました。
吉田: 技があっても力が強ければ勝てる時代ではなくなりましたね。僕らの時代に今のルールだったら、もっと僕も結果を残せただろうなと感じます。

 遼君は賢い!

二宮: 吉田さんはバルセロナ五輪で金メダルを獲った78キロ級から86キロ級、90キロ級と徐々に階級を上げていきましたね。総合格闘技に参戦後もどんどん体を大きくしていった印象を受けます。自分の中ではどのくらいの体重が適正だったのでしょう?
吉田: 95キロくらいがベストでしたね。総合格闘技の時はミドル級に出たり、無差別級に出たりと大変でしたよ。確かに体重はあったほうが有利ですけど、あまり太り過ぎても腹がつかえて腰が回らなくなる。やはり自分にあった体型をつくらないといけないので、その点は苦労しました。

二宮: 曙なんかリングに上がるなら、もうちょっと動ける体に絞らないとダメでしたよね。
吉田: あの体でパンチを打てというほうが無理ですよ(笑)。

二宮: 先日は石川遼君たちとテレビの企画でゴルフをしていましたね。一緒にラウンドした感想は?
吉田: 一言で言うと賢い子ですね。本当にちゃんとしている。僕が逆の立場だったら、あそこまではできないと思います。現状だと彼はほとんど自分の時間がないでしょう? 19歳でちょうど今が一番、遊びたい時期のはずなのに。

二宮: ちなみに柔道界でゴルフがうまいのは?
吉田: 誰もいないですね(苦笑)。柔道をしていると腕や胸の筋肉がつきすぎてクラブを振る時に邪魔になる。しかも中にはケガをしていてヒジがまっすぐ伸びない人間もいます。あとは年齢を重ねるとお腹も出てくるので……。まぁ、僕らは楽しくコースを回って、適度に汗をかいて、後でおいしくお酒を飲めれば、それでいいんですよ(笑)。

>>前編はこちら

<吉田秀彦(よしだ・ひでひこ)プロフィール>
1969年9月3日、愛知県出身。小学校4年生から柔道を始める。講堂学舎で腕を磨き、世田谷学園高校3年時にはインターハイを制覇。明治大学では世界選手権2連覇を達成する。92年のバルセロナ五輪78キロ級ではオール一本勝ちで金メダル。以降、アトランタ、シドニーと3度の五輪を経験する。99年、世界選手権90キロ級優勝。02年に総合格闘技に柔道家として参戦。ホイス・グレイシー、ヴァンダレイ・シウバら世界の強豪と激闘を演じる。09年の「Dynamite!!」では石井慧との柔道金メダル対決で判定勝ち。10年4月の引退興行〜ASTRA〜をもって第一線を退いた。引退後は、柔道解説などの傍ら、後進の育成にも力を注いでいる。吉田道場名誉師範。




★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

本格焼酎「そば雲海」に黒麹仕込みの「そば雲海 黒麹」が登場。伝統の黒麹と九州山地の清冽な水で丹精込めて造り上げた、爽やかさの中に、すっきりと落ち着いた香り。そしてまろやかでコクのある味わいが特徴です。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
芝大門 金太郎
東京都港区芝大門2−3−6 大門アーバニストB1階
TEL:03-6459-0018
営業時間:
月〜木  11:30〜23:00(L.O.22:00)
金・祝前 11:30〜23:30(L.O.22:30)
※土・日・祝は休み

☆プレゼント☆
吉田秀彦さんの直筆サイン色紙を本格焼酎「そば雲海 黒麹」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「吉田さんのサイン色紙希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選は発表をもってかえさせていただきます。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、吉田秀彦さんと楽しんだお酒の名前は?


 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)
◎バックナンバーはこちらから