初キャップの2人がウェールズ戦を振り返る 中楠「ここがゴールじゃない」紙森「これからの伸びしろ」

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 10日、ラグビー日本代表(ジャパン)が12日に兵庫・ノエビアスタジアム神戸で行われる「リポビタンDチャレンジマッチ」ウェールズ戦の出場登録メンバー23人を発表した。5日のウェールズ代表戦で初キャップを記録したFB中楠一期とPR紙森陽太らがスタメン入り。中楠と紙森は7日、オンライン会見に応じ、代表デビューを振り返った。

 

 24-19で勝利したウェールズ戦。中楠は前半19分、負傷したFB松永拓朗に代わってピッチに立った。昨年秋は欧州遠征に帯同しながら試合出場がなかった。
「去年、悔しい思いをして“今年こそ”と思って、初戦でテストマッチに出場するチャンスをもらえた。本当に夢が叶った瞬間でした。これまで人生で味わったことのない感情。大学、高校の同期から連絡がきました。家族は会場に来てくれて、スタンドで会い、本当に忘れられない瞬間になりました」

 

 24-25シーズンのリーグワン、国内合宿、ジャパンフィフティーンとしての強化試合で指揮官にアピールし、ようやく初キャップのチャンスを掴んだ。だが、先述したように出番は突然だった。

「リザーブとして登録されている以上はスクランブル、カバーするのは10番、15番と聞いていたので、準備はしていました。マオリ・オールブラックス戦でも(前半23分に)スクランブルで出ましたから」

 

 その理路整然とした話しぶり同様、プレーも冷静沈着に映る。交代直後にイエローカードで10分間の一時退場を余儀なくされたが、気持ちは再出場後のプレーに向いていた。

「チームとしてテリトリーのところで、前半うまくいってなかった。その試合展開も踏まえ、相手の得点圏で自分たちがボールを持ち、ミスするということがないようなプレー選択をすべきだと考えていました。そこをピッチに入った時にしっかりゲームドライバーに対し、コミュニケーションを取って、自分もその意思決定にひと役買えればいいと思っていました」

 

 後半19分には追撃のトライを挙げた。スコアは7-19。「スンシン(SO李承信)がキャリーした際、自分はディラン(CTBディラン・ライリー)が持った時のオプションになるために動いていました。いつボールが来てもいいように準備はしていました」。結果、ライリーを挟まず李からパスを受け取った。パスダミーで相手の意識を外に散らし、そのスキを突いた。

 

 ジャパンがウェールズから奪った3本のトライのうち、2本はラインアウトが起点となった。要所でスクラムに勝ったことが大きかった。マイボームスクラムは100%の成功率。この日両チーム合わせて15本あったが、そのうち4本でジャパンが相手の反則を誘った(そのうち1本はアドバンテージで笛は吹かれず)。前半22分もレフリーがペナルティーを取りかけるジェスチャーを見せるなど圧倒していたのは明らかだった。

 

 その立役者はフル出場した紙森、HO原田衛、PR竹内柊平のフロントローだろう。エディー・ジョーンズHCも試合後の会見で「ドミネートし、相手を圧倒している選手を代えるでしょうか」と語っていた。紙森は「正直暑さ、初めての試合というのもあり、試合直後はうれしさもあって疲れは感じなかったが、宿舎に帰ってから疲れがきました」と振り返った。

 

「ヒザ」を合言葉に低さにこだわってきたジャパンのスクラム。紙森によれば「ファーストスクラムで結構いけそうな感触があった」という。「レフリーに『どう感じてますか?』と聞きました。フロントローをはじめFWともうまくコミュニケーションを取っていけました」

 

 2人を含め、この日のウェールズ戦で6人が代表デビューを果たした。「小さい頃から着たかったジャージーで試合に出て、達成感はすごくあったが、ここがゴールじゃない。常に成長し続けたい」と中楠。紙森は「初キャップの選手がたくさん出て勝ったので、まだ伸びしろがあると思う。これから経験を積み、もっと日本代表が強くなっていくと感じました」と述べた。

 

 12日のウェールズ戦は、中楠が15番(FB)、紙森が1番(PR)でメンバー入り。冷静なゲームコントロールと強固なスクラムで貢献できるか。アピールの場は続く。

 

(文/杉浦泰介、写真/©JRFU)

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