第823回 虎の石井大智は「独立リーグの星」

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 ぶっち切りの強さで、2リーグ分立以降、2年ぶり7度目のリーグ優勝を果たした阪神。MVPは本塁打と打点の2冠が濃厚な佐藤輝明が最有力だが、優勝を決めた9月7日の広島戦で、自身の持つ連続無失点記録を48試合にまで伸ばした石井大智の“縁の下の力持ち”ぶりも捨て難い。

 

 防御率は驚異の0.17。失点は4月4日の巨人戦での、わずか1。それから約6カ月、点を取られていないのだ。藤川球児監督はリリーフ陣を「チームの心臓」と位置付けるが、その中心にいるのが石井である。

 

 この石井、国立高等専門学校(秋田工業高等専門学校=5年制)出身の変わり種。卒業後は大手石油会社への就職が内定していた。

 

 しかし、彼は密かな夢を抱いていた。プロ野球選手である。トライアウトを受けて四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスに入団。四国の地で腕を磨き、2020年のドラフト会議で阪神から8巡目指名を受けた。

 

 

 国内には現在、7つの独立リーグがある。その中で最も古い歴史を持つのが05年に誕生した四国だ。

 

 西武やダイエーで活躍し、オリックスの監督も務めた創設者の石毛宏典は、松山での開幕戦で、こうスピーチした。

 

「花壇ができました。100名のタネを持った若者が花を咲かせようと今日から努力します。皆さま方の水と肥料が必要です」

 

 あれから20年。石毛の目に石井の姿はどう映っているのか。

 

「おそらく彼には自分の可能性を信じるとともに、悔いを残したくないという思いもあったのでしょう。伸びる選手は思慮深い。彼は理系で数々のデータと照らし合わせながら技術を磨き、課題に向き合っていると聞く。こういう選手のためのステージとして用意したのがアイランドリーグ。苦労が少しは報われた気がします」

 

 高専のヒーローは、独立リーグの星でもある。

 

<この原稿は2025年10月6日号『週刊大衆』に掲載されたものを一部再構成しました>

 

 

 

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