第340回 「バランス」 ~愛媛FCの2025シーズンについて~

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 「Jリーグ昇格20周年」のメモリアルイヤーを高らかに宣言し、J1リーグ昇格へと意気込み挑んだ愛媛FCの2025シーズン。しかし、理想と現実には残酷とも思える程のギャップがあり、目指した先とは真逆の方角へと進んでしまった。

 

 2025明治安田J2リーグにおける愛媛FCの戦績は「3勝22敗13引き分け(勝ち点22)」で20チーム中最下位。この結果、2021年以来の2度目となるJ3リーグに降格した。我々にとって屈辱的なシーズンとなったのである。

 

 リーグ戦3勝のうち、ホームゲームでの勝利は僅か1勝のみ。試合後のニンジニアスタジアムには、失望感と虚しさが漂っていた印象の1年間だった。

 

 14戦無敗を記録し、3試合を残しJ3優勝を成し遂げた2023年のチームは何処へやら……。過去の栄光に縋りつきたいきょうこの頃なのである。

 

 2023シーズン最終節(対FC大阪戦)の試合後、(アウェイ)万博記念競技場からの帰り道、「君たちは強い! もうJ3には帰って来るなよ!!」とFC大阪サポーターから励ましの言葉をいただいた。その言葉が脳裏に浮かぶたび、2024シーズンや2025シーズンの戦績を振り返ると、期待に応えることができず、申し訳ないような面目ない気持ちになってしまう。

 

 そんな気持ちを、ひとりで抱えきれず最近は『現チームが不調なのは何故なのか。どうすれば良いのか』と、サポーター仲間と議論することもたまにある。

 

「圧倒的な存在感のあるエースストライカーが必要なのでは?」

「この選手が出てきたら雰囲気が一気に変わるようなスーパーサブが欲しい」

「フィールドプレイヤーという立場からチーム全体を見通し、選手たちを鼓舞し、指揮が執れるような説得力に優れたベテラン選手がいてくれたらな」

 

 などなど、愚痴とも取れるような意見が飛び交い、解決策を見いだせないまま唯々、時間ばかり過ぎていくのみ。

 

 個人的に思っていることを言わせていただくと、現チームには、潜在能力の高い選手が多く来てくれていると感じており、平均年齢が若いとは言え、悪いチームとは思えないし、

決して人材不足とは思っていない。

 

 また金銭的な問題(運営費不足)を指摘されることも多いが、運営規模が比較的近い「水戸ホーリーホック」が2025シーズンのJ2チャンピオン(優勝チーム)になっていることを考えれば、一概にお金の問題だけとは思えない。そのため、愛媛FCも、やり様によっては良い成績を導き出せるのではと考えている。

 

『要はバランスの問題なのでは?』

 

 例えば、良い部品を集めて、急場で電車を作ったとしても形状的には電車だけれども、いざ線路の上では故障したり、上手く走ってくれないこともあるそう。

 

 状況に応じて設計の変更をしたり、部品を組み替えたり、何度もテストを繰り返しバランスを整えることで完成へと近付けるのが工業製品。

 

 チームも試行錯誤しながら戦術を練り、足りない所を皆で補いつつ、何度も練習を繰り返すことで修正を積み重ね、一定のバランスを生み出し、シーズンを通して、そのバランスを保つことが重要なのではないのかと考える。バランスと言えば、選手個々の精神面での安定性もチーム力の維持に通じるような気がする。

 

 あとはクラブスタッフやサポーター、ファンや支援者の力で、上手くレールの上に乗せてあげれば、ちょっとした切っ掛けが動力となり、惰性でドンドン加速し、望む方角へと進んでくれるような感覚がある。そして結果的に「強い」と言われるようなチームを創り上げたということになるのではないだろうか。

 

 各クラブに与えられている新シーズン開幕までの時間は平等である。故に他チームに勝るためには、如何にして時間を有効活用し、新チームを構築できるかに掛かってくる。クラブとして最高のバランスへと近付ける工夫と努力は不可欠になってくるのだろう。

 

 2025年12月7日(日)、大木武さんがトップチームの監督に就任することが、愛媛FC事務局より発表された。日本代表コーチを務めるなど、数々の実績を持ったベテラン監督が就任したことにより、どのような変化がクラブへともたらされ、どんなチームを構築してくれるのか、今から楽しみである。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。

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