第318回 日本を「最高の景色」に導く守護神
サッカーW杯北中米大会の開幕が迫ってきた。
日本は、本番前の総仕上げとなる3月末から4月にかけての英国遠征で、スコットランド(FIFAランキング38位)とイングランド(同4位)に連勝。本大会に向け弾みをつけた。
スコアはともに1対0。今や森保ジャパンの絶対的な守護神ともいえるGK鈴木彩艶の堅守が光った。
ゴール前の攻防は、ほんの一瞬の判断ミスが命取りとなる。GKが逆を突かれたら、次の瞬間には、もうゴールネットが揺れている。
彩艶が素晴らしいのは、先に動かないことだ。ぎりぎりまで相手の動きを凝視し、一度ゴール前でピタッと止まる。これなら逆を突かれることもないし、フェイントに引っかかることもない。本人は「GKは常に真ん中にいるイメージだと思う」と語っている。
GKの能力が最大限に発揮されるのがPK戦だ。
W杯で、日本は過去に2度PK戦を経験し、いずれも涙を飲んでいる。最初は2010年南アフリカ大会決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦、2度目は22年カタール大会同1回戦のクロアチア戦。いずれもFIFAの公式記録では「引き分け」だが、あれほど明暗がくっきり分かれるものは他にない。
ちなみにカタール大会で3回目の優勝を果たしたアルゼンチンは、準々決勝(オランダ)と決勝(フランス)で2度のPK戦を乗り切りった。
準々決勝と決勝で、計3本のPKを止めたGKエミリアーノ・マルティネスは、大会最優秀GK賞(ゴールデングローブ賞)を受賞した。
表彰式ではトロフィーを股間にあてるゼスチュアを披露し、「わいせつだ」との批判を浴びたが、本田圭佑は「このぐらいふざけたヤツじゃないとPKを止められない」と弁護していた。
いずれにしろ、森保一監督が口にする「最高の景色」を見るためには、PK戦を避けては通れない。彩艶の存在が妙に頼もしく感じられる。
<この原稿は『週刊大衆』2026年5月4日号に掲載されました>