日本プロ野球独立リーグの草分けである「四国アイランドリーグplus」に対する注目が高まっている。昨季のパ・リーグ首位打者にしてWBC日本代表・角中勝也(千葉ロッテ)の出身母体だからだ。

 今から8年前、プレーする場のない若者たちの受け皿としてこのリーグを創設した元オリックス監督の石毛宏典は角中代表入りの報に接し、感激の面持ちで、こう語った。
「いつか日の丸をつけられる選手が出てくれればとは思っていましたが、まさか、こんなに早く実現するとは。彼は恵まれない環境でプレーしている選手にとって、まさに希望の星です」

 長引く不況の影響もあり、これまで高校生や大学生の受け皿となってきた企業チームは大幅に減少している。最盛期には250近くもあったチームが、現在(1月末時点)は89と約3分の1だ。
 これにより独立リーグの果たすべき役割は、さらに大きくなっている。かつてアマチュアの指導者の中には「いつ潰れるかわからない独立リーグに選手を預けるわけにはいかない」と言う者が少なくなかった。だが最近は「独立リーグで腕を磨いてからプロを狙ってみてはどうか」とアドバイスする指導者が増えてきたという。

 現在、このリーグを運営する鍵山誠CEOは、新たなる試みとして全国から共同オーナーを募集している。
「オーナーになれば、経営以外にも、運営や監督人事、戦力補強にも携われます。今まで独立リーグは若者の夢をかなえる存在でしたが、今後は少しお金に余裕のある大人にとっても夢を与えられる場所になればいい」

 競馬の一口馬主ならぬ一口オーナーというわけだ。
 NPBで球団を保有するとなれば3ケタの億が必要だが、こちら独立リーグは3ケタの万で夢を実現することができる。

 世には、自分がオーナーならこんなチームをつくりたいと考えている野球好きがたくさんいる。独立リーグ発展の新機軸として期待したい。

<この原稿は2013年3月25日号の『週刊大衆』に掲載されたものです>

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