二宮: 今日はそば焼酎「雲海」を飲みながらの対談ということで、よろしくお願いします。
魔裟斗: 焼酎は好きですが、これまでそば焼酎はあまり飲んだことがなかったので、今日は楽しみにしてきました。

二宮: 特に暑いこの時期はそば焼酎「雲海」のSoba&Sodaがおススメです。
魔裟斗: 実は僕、焼酎の飲み方で一番好きなのがソーダ割りなんです。焼酎をソーダで割って、そこにレモンを絞る。これが僕の定番の飲み方なんです。

二宮: なるほど。レモンを加えると、スッキリ感が増していいですね。
魔裟斗: あっ、でも、このそば焼酎「雲海」は、そのまま純粋にそばの香りを楽しむ方がいいかもしれませんね。飲みやすくて、とても美味しい。そば焼酎のソーダ割り、すごくいいですね。もう気に入りましたよ。

 最初で最後の“ゾーン”体験

二宮: K-1で人気を博した魔裟斗さんが引退したのは、2009年12月31日。06、07年と判定負けを喫していたアンディ・サワーとの対決に勝って、有終の美を飾りました。理想的な終わり方でしたよね。魔裟斗さんとしても、最高のかたちで引退できたのでは?
魔裟斗: 自分でもそう思いますね。いろいろな意味で、一番いい時期に辞めたなと。でも、あそこでスパッと引退を決意できたのは、やっぱり前年に2度目のチャンピオンになれたからなんです。ずっと「もう一度、チャンピオンに返り咲く」ということを目標にしてやっていましたから、もしあそこで優勝できなければ、自分の中で納得できずにズルズルと続けていたと思いますよ。

二宮: 最後が宿敵のアンディ・サワーだったというのが、良かったでね。
魔裟斗: 本当はその年にアンディ・サワーを破ってチャンピオンとなったジョルジオ・ペトロシアンとやるつもりだったのですが、ペトロシアンは拳を骨折していたんです。それでアンディ・サワーとやることになったのですが、結果的には最後にふさわしい相手だったなと思いますね。

二宮: 魔裟斗さんが活躍していた頃は、K-1ブームの真っただ中。日本のキックボクシング界で言えば、1970年代に活躍した沢村忠さん以来のカリスマとして、人気を博しました。通算成績は63戦55勝6敗。一番印象に残っている試合は?
魔裟斗: やっぱりタイトルマッチですね。K-1で初めてチャンピオンになった03年のアルバート・クラウスとの決勝戦、それと04年のブアカーオ・ポー・プラムックとの決勝戦です。特にクラウスとの試合では、初めて“ゾーン”というものを経験しました。

二宮: 無我の境地だったと?
魔裟斗 はい。試合前から雑念もなかったですし、力みもなかった。まさに“無”の状態でしたね。控え室で待っている時も、「時間ですよ」と呼ばれてからも、まったく緊張感を感じませんでした。「じゃあ、行こうか」と、何も考えずにリングへと向かって行ったんです。ただ、その時、花道を歩いているシーンを後でビデオで観たら、ものすごい顔をしていましたね。

二宮: 怖い顔をしていた?
魔裟斗 ある意味、危ない顔でした。すごい目をしていましたから。ただ、虚勢をはってつくっている顔ではないんです。何も考えていない。まさに“無”でしたね。

二宮: 本当にゾーンに入り込んでいたんですね。
魔裟斗: はい。ただ、絶対に勝てる自信だけはありました。やる前から「この試合は勝ったな」と思っていましたから。

二宮: 大会前のトレーニングがうまくいっていたからこその自信だったと?
魔裟斗: とにかく追い込みましたからね。当時は1日6時間くらいトレーニングをしていました。朝走って、ジムワークをやって、ウエイトトレーニングをやって……。若かったからできましたね(笑)。

二宮: 結果は2ラウンドKO勝ち。最後、決めたのは左フックでしたね。
魔裟斗: そうです。あれは練習通りでした。当時のトレーナーから「ボクシング技術ではクラウスには勝てない」と言われていたんです。「ただし、このパンチなら」と練習したのが、相手の右フックをブロックして、左フックを返すということだったんです。シミュレーション通りに決まりましたね。

 ローキックNo.1は武田幸三

二宮: 魔裟斗さんは、日本人選手には滅法強かったですよね。
魔裟斗: 実際にやった人にしかわからないと思いますが、やっぱり日本人と外国人のフィジカルって違うんです。外国人とは同じ階級のはずなのに、向かい合っているだけで重さを感じるんですよ。

二宮: 日本人で強さを感じたのは誰ですか?
魔裟斗: 03年のK-1日本代表決定トーナメント決勝で対戦した武田幸三は、63戦戦った中で、一番痛いローキックを持っていましたね。

二宮: ムチみたいな感じですか?
魔裟斗: いや、金属バットで叩かれたような……。とにかく痛かったですよ。ただ、ローキックでは倒れるか倒れないかというのは、気持ちの問題なんです。何百発くらっても、痛いとは思うけど、骨までは折れませんから。当時の僕はハングリーでしたから、痛いだけでは絶対に倒れませんでした。

二宮: 武田は本場のタイでチャンピオンになったこともある実力者。それだけのキックを持っているわけですから、試合後は相当腫れたのでは?
魔裟斗: もう試合中から腫れていました。彼は何が強いかというと、筋力が高いんです。もともとラグビー選手でしたから、ウエイトトレーニングもやっていたみたいで、パワーがありましたね。

二宮: 山本KID徳郁はどうでしたか? 04年の対戦では、1ラウンドにダウンを奪われましたよね。
魔裟斗 あれはダウンというよりも、タイミングの問題でしたね。全く効いていませんでしたから。見ている側にしてみたら、あの試合はギリギリの勝負だったと思っていたかもしれませんが、やっている本人たちは全然違っていた。僕自身はKIDをボコボコにしたと思っていましたし、おそらくKIDも僕にボコボコにされたと思っていたと思いますよ。

 気づかされたディフェンスの重要性

二宮 63戦もして、魔裟斗さんは顔に傷ひとつない。
魔裟斗: ボクシングを指導してもらった飯田裕トレーナーから、一番最初に教わったのがディフェンスだったんです。それまでは、打つことしか考えていなくて、ディフェンスは何もしていませんでした。飯田さんにも「オマエは赤が来ても白が来ても、とにかく打つことしか考えていないな」と呆れられたくらいだったんです(笑)。でも、飯田さんは選手が壊れていない状態で引退することをとても重視する人で、指導してもらうようになってからは試合中に顔が腫れなくなりましたね。

二宮: でも、キックボクシングの場合はパンチだけでなく、キックもあるわけで、ディフェンスをするのも普通のボクシング以上に大変では? 
魔裟斗: 06年の準決勝でアンディ・サワーに負けた時、足の内側を100発くらい蹴られたんです。最初は何でもないと思っていましたが、さすがに100発もくらうと、やっぱり痛いんだなと思いましたね(笑)。だからそれ以降、ローキックは一発も蹴らせないようにしました。

二宮: どうやって?
魔裟斗: 全部、脛でブロックして、カットするようにしたんです。

二宮: 相手の蹴りを脛で止めると。相当、痛そうですが……。
魔裟斗: それが、そのうち骨も鍛えられるのか、痛くなくなるんです。神経が麻痺してしまうんでしょうね。試合の翌日も、平気で蹴ることができましたから。

二宮: パンチへのディフェンスのコツは?
魔裟斗: パンチが当たる瞬間、ちょっと顔を逃がすんです。

二宮: 踏ん張るとカウンターになる。
魔裟斗: パンチが思い切り入っちゃいますからね。そうではなくて、打たれた方向に動かして、力を逃がしてあげるんです。

二宮: そのためにはパンチを予測して、相手の動きを見切らないといけない。
魔裟斗: はい、パンチが見えていないとダメですね。これはもう教えられたというよりも、スパーリングを何度も経験して、あとは実戦で自然と覚えていきました。

二宮: 故障がほとんどなかったのは、恵まれた肉体をしていたからでしょうね。
魔裟斗: 3歳からずっと水泳をやっていましたし、中学に入ってからはウエイトトレーニングもしていましたから、身体はずっと鍛えていましたね。とにかく幼少時代から筋肉オタクだったんですよ。

二宮: どんな人に憧れていたんですか?
魔裟斗: (アーノルド・)シュワルツェネッガーや(シルベスター・)スタローンが好きでした。幼稚園の時、「大きくなったら何になりたい?」という項目に、「ターザンになりたい」って書いたんですよ(笑)。

二宮: アハハハ。それは面白い。でも、ある意味、夢がかなっていますよね。
魔裟斗: そうなんです(笑)。筋肉オタクはその時からずっと変わらないですね。

(後編につづく)

魔裟斗(まさと)
1979年3月10日、千葉県生まれ。本名・小林雅人。3歳から水泳を始め、中学時代は空手道、15歳からはボクシングジムに通った。17歳でキックボクシングを始め、97年にプロデビューし、2000年にISKA世界ウェルター級王座を獲得。02年からK-1に参戦。03年には日本人として初めてK-1世界王者となる。04、07年には準優勝。08年には再び世界王者に返り咲いた。09年12月31日の引退試合でアンディ・サワーと対戦、判定勝ちでフィナーレを飾る。現在は、テレビ、雑誌などで幅広く活躍している。

★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

日本初の本格そば焼酎「雲海」。時代とともに歩み続ける「雲海」は、厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
味街道 五十三次
東京都港区高輪4−10−30 品川プリンスホテル メインタワー38階
TEL:03-5421-1114
営業時間:
昼食 11:30〜15:30(L.O.15:00)
軽食 15:00〜17:00(L.O.16:30)  
夕食 17:00〜22:00(L.O.21:30)

☆プレゼント☆
 魔裟斗の直筆サイン色紙を本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「魔裟斗さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は8月14日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、魔裟斗さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:斎藤寿子)


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