21日、サッカー日本代表の岡田武史監督が東京都杉並区のセシオン杉並ホールで講演会を行った。講演の話題の大部分は監督就任前から取り組んでいた環境問題だったが、現在指揮を執る日本代表についても触れた。
 岡田監督が自分の考えを力強く語った。
「(世界の強豪国を)本気で追い抜くことができる気がしている」
 日本には他の国にない走力や繊細な技術があることを指摘し、「『日本人はボールに寄り過ぎる』と言われるが、ボールに寄ることがどうしていけないのか。それは欧州人の常識。日本人は欧州人より走力がある。ボールに寄って、パスで逃げられたら、再び、その方向に詰めればいい。他の国と同じことをやっていても駄目だ」と持論を展開した。

 そのような考えを持った理由は1998年フランス大会にあるという。同大会で率いた日本代表は1次リーグで3連敗して敗退したものの、現地に残って決勝まで観戦した。
「(道が混雑して)大変なことになるので、決勝の終了直前に会場を出て、タクシーに乗った。でも、フランスの優勝が決まると、10分間でシャンゼリゼ通りに10万人が集まった。それで、タクシーを降りて歩かざるを得なかった。その時に『世界一ってすごいことだな』と感じた。それ以来ずっと『世界をあっと驚かしたい』という夢がある」

 また、今回の監督就任について、急な打診にも関わらず「実は翌日に就任を決めた」と明かした。フランス大会の前後には、FW三浦知良(現横浜FC)を本大会登録メンバーから外したことで脅迫状や脅迫の電話が止まらず、家の周囲を24時間、パトカーが警備していたという。それゆえ、監督就任の話を受けた際には、家族もさすがに驚きを隠せなかったようだ。

 千葉での短期合宿(18、19日)に臨時コーチとして参加した前甲府監督の大木武氏についても熱く語った。「スタッフを新しく入れるつもりなんてなかった。だけど、(大木氏に)一度会って、サッカー談議をしたら面白かった。僕の常識を覆すことを言う。僕にないものを持っていると思った。その時に『(大木を)スタッフに入れたら面白いな』と思った。そのことをスタッフに伝えると、皆が賛成してくれた」と絶賛した。
 大木氏は2008年より、代表のコーチに正式に就任する。
 
 08年2月より始まる南アフリカW杯3次予選の対戦国に関して質問が飛んだが、それは「全チーム、気になる」と多くを語らなかった。
 岡田監督は22日、同予選初戦(2月6日、埼玉スタジアム)で戦うタイが出場するキングス杯を視察するべく、タイのバンコクへと出発する。