巨人からボルチモア・オリオールズにFA移籍した上原浩治が日本時間9日、ニューヨーク・ヤンキース戦でメジャー初登板を果たした。先発のマウンドに上がった上原は5回を86球5安打1失点に抑え、降板。チームは7−5でオリオールズが逃げ切り、上原がメジャー初勝利をおさめた。ヤンキース松井秀喜との対決も3打数無安打で、こちらも上原に軍配が上がった。
 10年越しで叶えた夢の舞台で、持ち味を十分に出した。強力打線のヤンキースを相手に失ったのは1点のみ。日本からやってきた背番号19がオリオールズの開幕連勝に貢献した。

 緊張からか、初回は先頭打者に四球を与える立ち上がり。しかし、続くジョニー・デイモンを低めのボールで外野フライに打ち取ると、3番マーク・テシェイラもアウトコースで内野フライに仕留める。迎えた松井との元巨人対決もアウトローのボールをひっかけさせてセカンドゴロ。コーナーを突く投球で無難に1回を切り抜けた。

 2回は味方のミスもあって、2死1、3塁のピンチを迎えたものの、冷静に9番ブレット・ガートナーを外角低めのコースでライトフライを打たせる。3回に2死2塁でめぐってきた松井との第2打席もカウント2−2から、外のボールで力ないショートライナーに打ち取った。

 唯一の失点は4回。2死無走者からゼイビア・ネイディ、コディ・ランサムに連打を浴びた。しかし、後続を断ち、最小失点で流れをヤンキースに渡さない。逆にオリオールズは右腕の好投を打線がしっかりと援護。初回にヤンキース先発の王建民から2点をあげると、4回裏にはニック・マーカキスの2ランなどで一挙5点。計7点を日本人ルーキーにプレゼントした。

 上原は5回も2死2塁から松井をレフトフライに仕留め、勝利投手の権利を得て初登板を終了。三振はなかったが、直球とフォークを軸に打たせてとる投球で期待通りの働きをみせた。ヤンキースにレッドソックス、レイズと強豪がひしめくア・リーグ東地区で、オリオールズは昨季最下位。今季も先発投手のコマ数が不足し、苦戦が予想されている。上原がチームを救う柱となるには、慣れない中4日の登板でいかにフル回転できるかが課題となる。夢はまだ始まったばかりだ。