◇6月2日 味の素スタジアム 4,885人
 愛媛FC 1−0 東京ヴェルディ1969
【得点】
[愛媛] 青野(49分)

「点が取れてラッキー。(勝因は)運の部分が大きかった」
 決勝ゴールをあげたMF・青野大介はそう試合を振り返った。東京Vのシュートが19本に対して、愛媛のシュートはわずかに5本。危ないシーンも何度もあった。内容も決してほめられたものではない。しかし、運を引き寄せ、モノにするだけの力が愛媛に備わりつつあることを感じさせるゲームだった。

 前半はほとんどの時間を守りに費やした。フッキ、ディエゴの両外国人が中央を突破すれば、左サイドの服部年宏がクロスを入れる。一方の愛媛は望月一仁監督が「3−5−2(のシステム)でサイドにスペースがあるのに、狭いところで展開してしまった」と語るように、ボールを相手エリアに運べない状況が続いた。

 ただ、東京VもFW・廣山望のシュートがバーを叩くなど決めきれない。前半は0−0。結果的に苦しい時間帯をしのいだことが試合の流れを変えた。ハーフタイム、望月監督はボールを持ったときの判断をはやくすること、そしてパス&ゴーの徹底を指示した。

 それは的確に選手たちの動きを変えた。後半の立ち上がりから、ピッチ上にオレンジ色が躍動し始める。ペースをつかみ始めた矢先、待望のゴールが生まれた。
 後半4分、右サイドバックからあがった森脇良太が前線にいたFW・藤井貴にパスを出す。藤井はくさびになってボールをキープ。「シュートを意識したが、(青野)大介さんがいいところにきた」と左45度の角度から前に詰めてきたボランチの青野へボールを送る。

「最近、ふかすことが多かったので、最後までボールをよく見て蹴った」
 青野が左足を一振りすると、ボールはヴェルディDF陣の間とダイビングしたGKの先を抜け、ゴール右隅へ。「くさびを入れて、シュートに持ち込む練習はいつもやっている。枠に入れば結果が出ると思っていた」(望月監督)。得点力不足に悩む中、やってきたトレーニングがようやく実を結んだ。青野にとっては前所属のアルビレックス新潟時代にもなかったうれしいJ初ゴール。愛媛は貴重な先制点をあげる。

 初の4連勝を狙う東京Vも黙ってはいない。前線に切り込んではコーナーやセットプレーの場面を何度も作り、愛媛ゴールを脅かす。
 しかし、スター軍団の猛攻が90分間、ネットを揺らすことはなかった。「外国人は中からしかけてくることが多かったので、中を固めてしっかり守れた。ミスは多かったが、試合中に修正できた」。慣れない左サイドを守った星野真悟はそう胸を張った。

 ラスト15分でGK佐藤昭大の負傷退場というアクシデントはあったものの、代わって守護神・羽田敬介が今季初出場。「佐藤がいいプレーで必死にゴールを守っていた。自分が受け継いで流れに入っていけるように心がけた」。ケイスケコールに後押しを受けた羽田はベテランらしい堅実な守備をみせる。突然の出場にも動きはよく、最後までゴールを守り通した。

「これまでは守備にかかわっていない選手が多かった。トレーニングの中でそれは改善できている」。望月監督もリーグ屈指の得点力を誇る相手を零封した守りに手ごたえを口にした。愛媛の持ち味だった粘りの全員サッカーが選手たちの間で浸透し、形になりつつある。

 これで連敗は2でストップ。1勝しては4連敗が2度続いた悪い流れを断ち切った。「今日もいいサッカーとは言えないが、続けて結果を出すことが大事」。殊勲の青野はチーム全員の気持ちを代弁する。今季の愛媛はまだ連勝がない。しかもホームは4連敗中だ。 次節は試合がなく、13日(水)に首位のコンサドーレ札幌を愛媛に迎える。名門相手の1勝が単なる「運」ではなかったことを示すためにも、見え始めた浮上のきっかけを手放さないためにも、「結果」がほしい。

<両チームメンバー>
愛媛FC
GK 21 佐藤昭大 → 1 羽田敬介(75分)
DF 15 森脇良太 
   10 金守智哉
    3 近藤徹志
    5 星野真悟    
MF  6 井上秀人
   27 青野大介 → 17 大山俊輔(58分)
   16 赤井秀一
   18 江後賢一 → FW 9 三木良太(63分)
FW 14 藤井貴
   11 田中俊也   

東京ヴェルディ1969
GK  1 吉原慎也
DF 17 土屋征夫
    2 萩村滋則
   14 富澤清太郎 
MF  3 藤田泰成
    6 菅原智 → 13 佐藤悠介(84分)
    7 名波浩 → 8 永井秀樹(70分)
   22 服部年宏
   10 ディエゴ
FW 20 廣山望 → 16 飯尾一慶(76分)
    9 フッキ


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