前節(19日)の2位イースタン戦は1-4の敗戦。ロスタイムに一矢を報いるゴールをPKで決めたものの、個人的には0-2で迎えた後半の得点機を決め切れなかったことのほうが悔しいです。

 左からのクロスに、ゴール前で他の選手たちがジャンプして競り合うも、ボールに届かず、僕のところにやってきたチャンスでした。逆サイドのネットめがけて頭で叩きつけてシュート。しかし、相手GKとタイミングが合ってしまい、セーブされてしまいました。

 1点を返しておけば1点差に詰め寄り、試合はどうなっていたかわかりません。結局、0-2のままで試合は進み、相手にダメ押し点を決められてしまいました。もう少しシュートをワンテンポずらしたり、フェイントをかけていれば……と反省しています。

 これまでのサッカー人生で数えきれないほどゴールをあげてきましたが、得点が入る時には目に見えない力が働きます。それは“奇跡”と呼べるものかもしれません。

 ボールがほんのわずか浮いたことで、ジャストミートできる位置に来たり、相手に押されてヘディングの打点がずれたことで、かえっていいコースに飛んだり……。“奇跡”の結晶ともいえるゴールに、同じものはまたとありません。

 では、その“奇跡”をどうやって起こすのか。これは日頃の積み重ねしかないと感じます。準備ができていない人間に“奇跡”は起きません。

 現在、個人的には5試合ゴールが続いています。3月22日のレンジャーズ戦では、スルーパスで抜け出し、左サイドから左足で逆サイドに突き刺しました。4月4日の太陽ペガサス戦は、右サイドからのクロスに、相手のDFをうまくかいくぐってジャンプし、ヘッドでゴールネットを揺らしました。

 続く11日のカップ戦準々決勝、ユァンロン戦では1-0とリードした後半立ち上がりに追加点をあげることができました。右サイドをサイドバックの選手が駆け上がってダイレクトで折り返したボールに頭で合わせたもの。結果は3-1の勝利で準決勝進出を果たしました。

 リーグ戦でも5位以上を確保し、AFCカップ出場権をかけたプレーオフへの切符を手にしました。リーグ戦は残り2試合ですが、プレーオフの戦いがその後に控えています。

 過去2シーズン、残留争いに生き残ることで精一杯でしたから、今は非常にやりがいのある日々です。カップ戦も勝ち残り、頂点を目指せる位置にいる幸せも久々に感じながらサッカーをしています。

 ここからの1カ月は今季の集大成です。より一層、勝利だけを追い求める戦いと言っていいでしょう。5試合連続ゴールといっても、すべて1試合に1点ずつ。1点を獲ったら、もう1点、もう1点と貪欲に得点を狙い、チームの勝利を確実なものにしたいと考えています。

 25日にはカップ戦準決勝でリーグ戦首位のキッチーと激突します。キッチーはスペイン人監督の下、組織立ったサッカーを構築し、大崩れしません。ボール支配率が高く、奪われてからのリアクションの速さは、香港の他クラブにはない武器です。もちろん、個々の能力も秀でており、客観的にみれば、相手の方が上でしょう。

 しかし、キッチーは並行して行われている、もうひとつのカップ戦で決勝に進み、中2日での試合になります。1週間、準備できる僕たちのほうが日程は有利です。

 先制点を許すと相手ペースになりますから、最低でも前半は0-0で我慢し、後半勝負に持ち込む。そして中2日の疲労がキッチーに出てきたところで勝負をかける。こんな展開になれば、勝利の可能性はグッと高まるでしょう。

 ぜひ、そのゲームプランを現実のものにしたいですね。クラブの歴史が浅い僕たちにとって、カップ戦で決勝進出となれば、初の快挙。新たな扉をどうにかにしてこじ開けたい。今は、その気持ちでいっぱいです。

 僕自身、シーズン前半にゴールが生まれず、試行錯誤しながら引き出しを増やしたことで、幅が広がったと実感しています。その手応えを残り試合、ピッチで爆発させるだけです。

 このコーナーで毎回、1か月間のプレーを振り返ることで考えが整理され、次に向かうモチベーションが生まれています。ここで活躍を誓うことで有言実行しようと強く思えるのです。

 次回も、いい報告をします。楽しみに待っていてください。

(このコーナーは今月から第4木曜更新となります)  
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