4月6日のシチズン戦は3-2で勝利。前半41分には先制ゴールをあげることができました。

 相手のバックパスミスに乗じて、ボールを奪い、相手ゴールキーパーをかわして奪ったもの。今季はヘディングでの得点が多かっただけに、珍しい足でのゴールです(笑)。

 この先制点が生まれたのも、味方がしっかりプレスをかけ、相手にバックパスをせざるを得ない状況に追い込んでくれたから。その意味で、この試合は、どの選手も、いいポジション取りをして役割を果たせたことが勝因と言えるでしょう。

 試合前の時点で、シチズンは9位、横浜FC香港は10位といずれも低迷していました。事実上の最下位争いで、かつ僕たちにとってはホームでの今季最終戦。絶対に勝たなくてはいけない試合でした。

 その前のスンヘイ戦(3月31日)はいいところなく1-3で敗れただけに、選手たちにも危機感があったのでしょう。練習からいつも以上に緊張感を持って臨めていました。結果が求められている一戦を勝ち切ったことは来季へひとつの手応えがつかめたように感じます。

 これで個人的には今季13ゴール目。得点ランキングトップのブラジル人とは3点差の3位につけています。横浜FC香港は残りがリーグ戦の2試合のみですから、逆転するにはゴールを量産しなくてはならない状況です。
 
 しかも、相手は2位の太陽ペガサス、優勝を決めているキッチーと上位クラブが続きます。厳しい戦いになるでしょうが、むしろ、燃えてくるものがありますね。

 サッカーの世界は何が起こるか分かりません。僕が1点でも多くゴールを決めれば、番狂わせや逆転得点王の可能性があるわけですから、とにかく万全の状態で2試合を戦い抜きたいと思っています。

 そのためには試合に向けて、今までやってきたことをやり続けるだけ。チームにとっても、自身にとってもいいかたちでシーズンを締めくくりたいものです。

 日本では今季からJ3が誕生し、FW高原直泰がSC相模原に電撃移籍したことが話題になっているようですね。30代も半ばになり、プレーするカテゴリーよりも、自分がいかに試合に出て存在価値を示せるかを彼も考えたのでしょう。

 その気持ちは僕もよくわかります。この年齢になると、自分がプレーするだけでなく、これまでの経験を次世代に伝えたいとの思いが年々、強くなります。指導者ではなく、選手として一緒にボールを蹴りながら、その作業ができるのは、とても貴重な時間です。

 僕も香港に来て、一回り下の若い選手と同じチームで過ごしていると、何とか彼らには世界で通用する選手になってほしいと強く思います。香港リーグは、得点ランキングで見ても、1位が先述したようにブラジル人、2位がセルビア人、3位が僕と外国人が上位を占めています。資金力で助っ人を集められるとはいえ、やはりリーグ戦を盛り上げるには香港のスターを自前でつくらないといけないでしょう。

 その点、横浜FC香港は将来が期待される若手を多く集め、育成にも力を入れたクラブづくりを進めています。縁あって、香港に呼んでいただいた以上、僕も彼らを引っ張って高いレベルに押し上げることが使命だと感じています。

 今季は非常にふがいないチーム成績に終わってしまいましたが、まだまだ、このクラブにはポテンシャルがあると信じています。少しでも、年長者として、その力を引きだせれば、との思いで今はいっぱいです。来季もクラブから契約してもらえる限りは、香港で引き続きプレーすることになるでしょう。

 来季にいいかたちでつなげる上でも、やはり残り2試合はとても重要です。次の太陽ペガサス戦は19日、最終戦のキッチー戦は5月10日頃と、日程の間隔も空きます。香港はもう湿度90%以上で蒸し暑くなってきました。体調管理をきっちりして、100%の力を試合で出せるようコンディションを整えたいと思います。

 香港での生活も2年目を迎え、今季はいい状態をずっとキープできています。引き続き、トレーニングと栄養、睡眠のバランスをしっかりとって、とにかく1試合1試合、1プレー1プレーに全力を出し切ります。
 
 次回、またここでいい報告ができるのを楽しみにしていてください。

(このコーナーは第3木曜更新です)
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