前節(5日)の松本山雅FC戦では、今季初めて先発出場することができました。試合に向けた紅白戦では主力組に入り、チャンスと感じていただけに前日にスタメン入りが分かった時には本当に気合が入りました。

 先発で出るのは昨年10月以来、本当に久しぶり。まず試合の流れをつくれる役割を果たせるよう心がけました。スキあらばシュートを狙うのはもちろん、相手の布陣が3バックだったため、空いたサイドのスペースでボールを受け、なるべくラインを押し上げるようにしました。そしてルーズボールは必ずマイボールにする気持ちで向かっていきました。

 そんななか、34分に内田健太の先制ゴールが決まります。PAの外から放ったミドルシュートは本当に素晴らしいコースでゴールに吸い込まれましたが、もしキーパーが弾いた時は必ず決めてやろうと詰めていました。ひとつのプレーも絶対おろそかにしない。この一心でピッチに立っていました。

 それだけにMF前野貴徳のクロスにヘッドで合わせた場面は是が非でも決めたいところでした。確かにややファーサイドに流れたボールとはいえ、うまくポジションをとれば、もう少しうまくヒットできたはず。ストライカーである以上、ワンチャンスをもらったら、得点を決めなくてはなりません。この点は力不足を感じました。

 最初から90分出ることを考えず、フルスロットルで走り抜いたため、最後は足がつってしまいましたが、スタメンで出るのは気持ちがいいと改めて感じています。試合に出られない時期は、正直、精神的にツライ部分もありました。でも、そこでメゲずにトレーニングを重ねてきたからこそ、こういった機会が巡ってきたと思っています。

 試合を外から見ていた時間が長い分、今のチームに何が必要なのかも、よく理解しているつもりです。今後もくらいついて出番を増やせるよう、さらに頑張っていきます。

 奇しくも、松本戦は故・松田直樹さんの1周忌メモリアルゲームでした。記帳や黙祷など、さまざまなセレモニーが行われましたが、僕たち選手はピッチで元気なプレーを見せることが一番の供養になると考えています。志半ばでボールを蹴られなくなった松田さんの思いを胸に、これからも感謝の気持ちでサッカーをしようと改めて誓いました。

 その松田さんの命日にあたる8月4日(現地時間)には、ロンドンでU-23代表がベスト4入りを果たしました。これは決勝に進出したなでしこジャパンともども素晴らしい成績です。この快進撃を見て、サッカーを志す子供たちがきっと増えることでしょう。

 その意味でもぜひ女子に続き、男子にもメダルを日本に持ち帰ってほしいものです。やはりメダルが獲れるか獲れないかでは、その後の印象は大きく変わります。選手たちには、今後10年、20年先の日本サッカーを左右する一戦という自覚をもって結果にこだわってほしいと思っています。

 なでしこの決勝、男子の3位決定戦が終われば、12日はホームでの四国ダービー(対徳島ヴォルティス)です。このところ愛媛は6試合勝てていないだけに、選手たちは全員、「ここで勝つ」という強い思いで、この1週間、練習をしています。

 1つの勝利、1つのゴールで流れを変えられる。そう僕は信じています。サポーターのみなさんも信じて応援していただければうれしいです。

(この連載は毎月第2、4木曜更新です)


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