当HP編集長の二宮清純がインタビュアーを務めるBS朝日の番組「勝負の瞬間(とき)」で12月27日に放送された元女子プロテニスプレーヤー・杉山愛編が、好評につき再放送が決まりました。6日(土)、15:30より放送です。この番組では毎回、各スポーツの一流たちをお招きし、トップを極めたテクニックと、その思考法に迫ります。今までのスポーツ番組とは一味違ったインタビュードキュメントです。
(写真:笑顔の引退につながったテニス人生の分岐点とは?)
 番組内では、杉山さんとの次のようなインタビューが展開されています。

二宮: お母さんが杉山さんにとってなくてはならない存在になったわけですが、お母さんはテニスの経験はない。それでもコーチを依頼しようと思ったきっかけは?
杉山: それは2000年のことです。ダブルスの世界ランキングがナンバーワンですごく調子が良かった。その一方でシングルスがボロボロになってしまっていて、「フォアハンドってどう打つんだっけ」と思うくらいの状態だったんです。
 ダブルスは展開が速いですし、当時の私はサーブ&ボレーをしていたので、シングルスのプレースタイルと全然違っていました。シングルスはラリーがあって、その中からどのくらい勝負できるかが大事なので、ショットに対してのクオリティが求められます。それでショットがわからなくなって自分のテニスを見失い、自分を見失い、初めて「テニスをやめたい」と思ったんです。テニスのラケットを持ったのが4歳だったんですけど、それから20年、24歳の時ですよね。初めて「辞めたい」と。
 母に相談したら「ここでやめたら何やってもうまくいかないわよ。やりきっていないし、自分のやるべきことをやっていないから」と言われました。でも、自分にはまったく先が見えなくて、どうしたらいいかわからない。「ママには見えるの?」と聞いたら、「私には見えるわよ」と言葉が返ってきたんです。

二宮: へぇー。それは暗闇の中に光を差し込むような一言ですね。  
杉山: 本当にそうです。真っ暗なトンネルの中に、ポンと光を照らしてくれました。その時に私はこの人についていくしかないと思いましたね。そこから母との二人三脚が始まって、今まで現役を続けられたんです。

二宮: 「私には見えるわよ」と言ったお母さんの根拠はどこにあったのでしょう?
杉山: それまでは速い展開で、16歳の頃と同じようにリズムよくフットワークを生かしていくのが自分のテニスでした。ただ、自分のポジションがベースライン上より後ろに立つ感じになってしまって、相手に時間の余裕を与えていました。その上、ショットのクオリティもない。海外の選手はパワーがありますから、そこで真っ向勝負しても勝ち目がありません。違う部分で自分のよさを出して戦っていかないといけないのですが、それができていなかった。ここを母は見えていたのではないかと思います。

二宮: 確かに当時は世界のテニスが変わってきた時期でしたよね。女子選手でもドカーンとショットを打って、昔ほどラリーが続かなくなってきた。よく言えばダイナミックだけど、悪く言えば乱暴なテニスです。一方で杉山さんのテニスはリズムとコンビネーションで勝負するタイプ。そこのところでパワーに圧倒されている印象を受けました。
杉山: そうですね。自分のよさは何なのか、どうやったら世界と戦えるのかを理解してプレーできていなかったんだと思います。振り返ってみると、24歳ごろまではフィーリングでテニスをやってきました。あまり打ち方とか細かいことを気にせずに、その日のフィーリングでアジャストしていた。
 だからこそ1度、自分のテニスと向き合う作業がないと、その先に進めなかったんだと思います。これは与えられるべくして与えられた時間だったし、自分にとってのターニングポイントでした。ここを乗り越えたからこそ、2003年にシングルスのトップ10も達成できたし、ダブルスもナンバーワンにもなれた。与えられて良かった試練だったと思います。
>>この続きは番組をお楽しみ下さい。

「もう燃え尽きてしまったので、頼まれても(現役復帰は)無理ですね」
 番組では杉山さんの17年間に及ぶプロ生活をじっくりと振り返っていきます。世界をまたにかけて飛びまわるツアー生活の裏話から印象に残る試合など、今だからできる話がたくさん飛びだします。「忘れる力が大事」。その言葉の中からは、4大大会のシングルスに62回も連続出場できた秘訣がうかがえるはずです。

 さらには4大大会で4度(混合含む)ダブルスを制した理由も迫ります。パートナーとはどのようなコミュニケーションをとってきたのか。どうすれば良好なパートナーシップを継続することができるのか。「ところで、人生のパートナー探しは?」。突然の“フェイント”に、杉山さんがどんな答えを返すのかも注目です。第一線を走り続けてきたプレッシャーから解放され、終始、笑顔でトークのラリーを楽しんだ杉山さん。彼女の魅力を再発見できる番組になっています。

 この『勝負の瞬間』は月1回ペースで2010年3月まで全12回シリーズでお届けしています。2月14日(日)21:00〜の放送では東北楽天の岩隈久志投手が登場。その後もスピードスケートの清水宏保選手など、ビッグゲストをお招きする予定です。また1月31日の放送で出演いただいた諸見里しのぶ選手からのプレゼント応募も番組HPで受付中。ぜひアクセスしてみてください。

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