当HP編集長の二宮清純がインタビュアーを務めるBS朝日の番組『勝負の瞬間(とき)』が2月14日(日)、21:00より放送されます。この番組では毎回、各スポーツから一流たちをお招きし、トップを極めたテクニックと、その思考法に迫ります。これまでのスポーツ番組とは一味違ったインタビュードキュメントです。今回は昨季、WBCで日本代表としてMVP級の活躍をみせ、球団初のクライマックスシリーズ出場にも貢献した東北楽天の岩隈久志投手をお招きします。
(写真:今だから言える野村前監督への本音を激白!)
 当サイトでは番組に先駆けて、岩隈投手とのインタビューの一部を紹介します。

二宮: 2009年の楽天イーグルスは2位。クライマックスシリーズに出場することができました。あと一歩でリーグチャンピオンは逃しましたが、チームとして、まずひとつハードルをクリアした気持ちはあるのでは?
岩隈: クライマックスシリーズまで出られたというのは、ひとつの成長でした。ここまでチームとしては苦しい時期もあったので、5年間で成長できたというのは大きかったと思います。

二宮: 去年の楽天は、それまでの楽天とどこが違っていたんでしょう?
岩隈: 一昨年は、後半に成績が落ちていったので、その悔しさがみんなあったと思うんですよ。だから去年は「8月からが勝負だ。あきらめずにがんばろう」という気持ちが出ていた。そうこうしているうちにサヨナラ勝ちや大逆転勝ちで、チームに勢いがついてきた。これでさらに「まだ行ける。絶対3位いくぞ」とみんなが同じ方向を向いたんですよね。結果、最後にシーズン2位という形で終われたんだと思います。

二宮: そしてクライマックスシリーズではソフトバンク戦に連勝。これで楽天は勢いに乗っていくなと思いました。ところが日本ハムとの第2ステージ初戦、まさかの9回大逆転負けです。あんな負け方をくらうとは思ってもみませんでした。
岩隈: いやー、僕も思わなかったですね(苦笑)。でもそれが野球なんだろうし、クライマックスシリーズという短期決戦で勝つ難しさなんでしょう。特に(クライマックスシリーズの)第1ステージは、僕と田中(将大)が2人とも完投して突破したので、中継ぎの人が投げていなかった。独特の雰囲気で力を出す難しさが出てしまいましたね。まぁ、まさか負けるとは思わなかったですけど……。

二宮: 最後の試合(第2ステージ第4戦)では、リードされていた8回のピンチでリリーフ登板しました。あれはご自身で「投げたい」と志願したんですか?
岩隈: もう負けたら終わりでしたから、どんな場面でも行けるように、前日からコーチには「僕、ベンチに入りますから。いつでもいける準備はしときます」と伝えていました。当日は「(接戦で)勝っていたらいくぞ」と言われたんで、もちろん肩はつくっていました。最終的には負けている展開だったのですが、「スレッジひとりいけるか」と言われて出ていったんですけどね。

二宮: また最後もスレッジにホームランを打たれて、やられてしまいました。打たれたのは、まっすぐ?
岩隈: はい。そうです。あれで終わってしまいました。

二宮: 結果論ですが、野村(克也)さんは「あそこはまっすぐやないやろ〜」と言っていましたよ。
岩隈: そうかもしれないですね。まず初球の入り方が間違ったのかもしれない。バッターとしては、あのコースのまっすぐしか待っていない打ち方でしたから。

二宮: ただ逆にいえば、次のシーズンへの課題が残ったことはモチベーションの意味でよかったのかもしれませんね。
岩隈: 僕はそう思っています。最初は「クライマックスシリーズに出れてよかった。楽しめればいいや」という気持ちでしたけど、終わってみると、すごく悔しさが残ったんです。今シーズン、上にいくには、この悔しさを持って持って戦っていかなくてはいけない。いい経験をしたことで、今年に繋がるじゃないかなと感じています。
>>この続きは番組をお楽しみ下さい。

 一昨年は21勝、昨年も13勝。楽天のエースとして安定感のある投球をみせてきた岩隈投手ですが、野村克也前監督はエースに厳しい言葉を与えていました。肩、ひじの状態を考慮して早い回での降板を申し出ると「球数制限のエース」と称したり、「オレについてこい、という気概が欲しい」とボヤいたり。さらには完投の少ない楽天先発陣に対して、「“岩隈病”が蔓延しとる」と発言するなど、何かとやり玉にあがっていました。それは期待の裏返しだとわかっていながらも、岩隈投手の心は揺れていました。そしてシーズン中に表した“小さな反抗”……。インタビューでは前監督に対する率直な思いが語られていきます。
(写真:目の前に現れる辛辣な野村語録への反応は?)

 さらには、番組ではこれまでの野球人生も振り返っていきます。黄金時代の西武に憧れた少年時代、男女交際禁止の校則に驚き、逃げ出したくなった高校時代、プロ入り後、近鉄のエースに成長した矢先の球団合併騒動、そして新球団での記念すべき初勝利……。2008年にシーズン3本しかなかった被本塁打が、昨季は15本に急増した理由もズバッと切り込みます。度重なる苦悩や挫折も前へ進むエネルギーに変える岩隈投手の芯の強さがうかがえる内容です。

 インタビューのラストに二宮はこんな質問をしています。
「“エースとは”、と一言で言うとすればどうなりますか?」
 果たして、岩隈投手はどんな答えを返すのでしょうか。最後の最後までテレビから目は離せません。

 この『勝負の瞬間』は月1回ペースでお届けしています。2月28日(日)は今季限りで第一線を退くことを表明したスピードスケートの清水宏保選手が登場。100分の1秒を競う、研ぎ澄まされた肉体感覚に迫ります。続く3月もビッグゲストをお招きする予定です。どうぞお楽しみに!

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