ピッツバーグ・パイレーツの岩村明憲が現地時間16日付でメジャーリーグの40人枠から外され、事実上の戦力外となった。球団はトレードを模索しており、成立しない場合は傘下のマイナーリーグへ降格となる見込みだ。今季、タンパベイ・レイズから移籍した岩村は、ここまで54試合の出場で打率.182、2本塁打、9打点と成績が低迷。セカンドのレギュラーとして期待されながら、最近は代打での登場が多くなっていた。
 新天地での航海はシーズン半ばで暗礁に乗り上げた。レイズに在籍していた昨年の岩村は5月25日のフロリダ・マーリンズ戦で二塁守備中に、一塁走者から激しいスライディングを受けて負傷。左ひざ前十字靱帯部分断裂などで約3カ月間、戦列を離れた。パイレーツに移った今季は、ケガからの完全復活を期したシーズンでもあった。

 球団側も岩村への期待値は高かった。年俸はレイズ時代のオプションを引き継ぐ年俸485万ドル(約4億4000万円)。昨季までナショナルリーグ中地区で3年連続最下位のチームにとって、弱小球団レイズの08年リーグVに貢献したセカンドは最適な人材だった。

 だが、開幕から岩村は不振にあえいだ。春先から四球こそコンスタントに選ぶが、ヒットが出ない。5月には40打席連続ノーヒットと快音がまったく聞かれない時期もあった。パイレーツは今季も中地区最下位に沈んでおり、結果の出ない主力選手への我慢も限界だった。

 今季の日本人内野手では松井稼頭央も成績不振で5月にヒューストン・アストロズから戦力外を受け、コロラド・ロッキーズとマイナー契約を結んでいる。5月末からレギュラー剥奪を首脳陣から告げられた時点で岩村自身にも覚悟はあった。シーズン中、かつ高年俸のため、トレード相手を探すのは難航しそうだ。マイナーで昇格のチャンスをうかがうか、それとも新たなプレーの場を求めるか。いずれにしても「何苦楚魂」でこの試練を乗り切らなくてはならない。