当HP編集長・二宮清純が出演するニッポン放送ラジオのレギュラー番組「ファンケルプレゼンツ 二宮清純のスポーツレジェンド」(月曜19:30〜)が現在、好評放送中です。この番組ではスポーツに情熱をかけているアスリートの方々をゲストにお招きし、インタビューを展開します。前回までの放送では、卓球界のジャンヌ・ダルク、四元奈生美選手が登場。ミニスカートやノースリーブなど、斬新なユニホームで常に観客の視線をとりこにする彼女に、コスチュームへのこだわり、卓球の魅力をたっぷりと語っていただきました。
(写真:「卓球はコンコンとボールがリズムカルに弾む音が心地よい」と語る)
 当サイトでは8月30日、9月6日に放送された番組の中から一部を紹介します。

二宮: 四元さんといえば、そのファッショナブルなウェアが人気です。衣装にこだわり始めたのはいつごろから?
四元: 中学校2年生からですね。その時、初めてウェアのデザインをしたんです。それは自分で1からデザインできるわけではなくて、もともとあった既製品の色を変えられる形のもので、チームのみんなで「ここはピンクにしよう」とか、「下はスコートで」とか話し合いながら決めてつくっていきました。

二宮: 初めてお会いしましたが、それほど身長は高くないですよね? でも、試合になると存在感がある。そう言われませんか?
四元: はい。実際は150センチなんですけど、よく言われます。衣装が奇抜だからですね(笑)。

二宮: そこまでファッションにこだわるのは、卓球をもっとメジャーにしたいという気持ちが強いと?
四元: そうです。やっぱり「卓球=暗い」ってイメージが強い。プロになって自分でスポンサー営業をした時に、企業に直接電話をして、「卓球をやっているんですけど、スポンサーになっていただけませんか?」とお願いすると、「卓球って暗いから……」と言われて断られちゃうことが多かったんですよ。このイメージをなんとか変えたいなと思い付いたのが、昔、中学校の頃にやった「ユニホームのデザイン」だったんです。

二宮: これまで、さまざまな衣装で試合に出られていますが、僕が一番、印象に残っているのは、2007年の全日本選手権。マーガレットの髪飾りを付けて登場したら審判から注意されてしまいましたね。
四元: 実は卓球にはユニホームに関する細かい規定はないんですよ。それなのに、マーガレットは注意されてしまった。なぜだろうと私なりに理由を考えてみたんですが、たぶんマーガレット自体は問題なくて、ただサイズが大きすぎたんでしょうね。審判の方には「これじゃ相手が(ボールを)見にくいから」と言われました。でも相手選手から直接クレームが来たわけではない。だから、その試合は外さずにそのまま続けました。

二宮: 卓球協会のルール審判委員長(当時)の大野寿一さんとは翌年もラメのハチマキを巡って“バトル”を繰り広げました。四元さんにとっては“天敵”といっていいかもしれません(笑)。
四元: 衣装を考える時には、「これ付けたら委員長に何か言われるかな」と悩むこともありますよ。でも、あの時のマーガレットも、ハチマキもトータルコーディネートの中で絶対欠かせない要素。外すわけにはいかないんですね。自分は「卓球をメジャーにしたい」という強い思いがあってやっているわけだし、ルール上も問題はない。だから、絶対に引き下がるわけにはいかない、引き下がったら私じゃないと思っています。

二宮: なんか学校の生活指導の先生と戦ってる感じですね(笑)
四元: そういう感覚はあります。今年の全日本選手権でも事前に書面で「もうちょっと衣装を控えるように」ってニュアンスの文章をいただきました。「あぁ、来ちゃったか。でも毎年の話だからなぁ」と、そのまま押しとおしたんですけど。ここまでくると、審判との戦いが、ある意味、楽しみになってきたかもしれません(苦笑)。

二宮: この話だけ聞いていると、四元さんを問題児っぽく感じる方もいるでしょうが、実は国際卓球連盟の会長は「美しいウェアだ」と絶賛されていたそうですね。
四元: すごく褒めてくださいました。「素晴らしい。卓球界には、今、ウェアの改革がすごく大切だ」と。

二宮: 日本ではスポーツをまだ鍛錬の一環と捉えているところがある。一方、欧米ではスポーツは基本的に楽しむもの。その差が受け止め方の違いになっているのでしょう。
四元: 私もそこまで褒めていただいて、正直、驚きました。ウェアの改革を始めた時には賛否両論ありましたからね。「あんなの着て、負けたらどうするんだ」とか、すごく言われました。でも私は5年後、10年後、必ず今のウェアが受け入れられる時期がくると信じています。とにかく継続して続けていくことが、後になってみれば卓球界への恩返しになると思っています。

二宮: 信念を貫き続けた結果、流れは少しずつ変わってきているのではないでしょうか? 四元さんのファッションを楽しみにいしているファンも増えています。
四元: ありがたいことですね。でも今後は私だけじゃなく、いろんな選手にもっとかわいいユニフォームを着て欲しい。東京モード学園に夜間、練習後に通い始めたのもそのためです。デザインのしっかり勉強をして、いろんなユニホームをつくれたらいいですね。

二宮: 今も新作のデザインをされているとか? どうやってイメージを形にしていくのですか?
四元: 毎回、テーマを決めて、常に頭の中に思い描いていると、ある時、ポンとデザインが降りてくる。それをバーッと描きとめて形にしていきます。生地もイメージにあったものを選ぶんです。今、考えている新しいユニホームは、来年にはお披露目したいなと思っています。
(おわり)

 次回から(13日、27日放送)は、バレーボールの元日本代表・高橋みゆきさんが登場! テレビでは分からないコート上での壮絶なバトルや、日本代表でのエピソード、高橋さんの意外な一面など、おもしろトークが満載です。どうぞ、お楽しみに!