日本サッカー協会は4日、札幌ドームで10日に行われるU-22国際親善試合(対エジプト代表)に臨む日本代表メンバーを発表し、愛媛FCのFW齋藤学が関塚隆体制になって初の代表入りを果たした。愛媛から五輪出場を目指すカテゴリーの日本代表に選ばれるのは、06年アジア大会でU-21代表に入った高萩洋次郎(現広島)以来。今季、横浜F・マリノスから期限付き移籍で加入した齋藤は、ここまでリーグ戦18試合に出場し、2位タイとなる7ゴールを決めている。
 愛媛のメッシが、いよいよジャパンブルーのユニホームを身にまとう。
 今季の齋藤は切れ味鋭いドリブルと、ここぞという時の決定力で開幕からゴールを量産。一時はクラブが昇格圏内の3位に浮上する原動力となった。試合の流れを変えるプレーも多く、5月の湘南ベルマーレ戦では終了間際に同点ゴールを叩き込むと、6月のガイナーレ鳥取戦では2点ビハインドの展開から追撃弾を決め、大逆転勝ちにつなげた。夏場に入って愛媛はチーム状態が下降しているが、7月24日の東京ヴェルディ戦では今季初の2ゴールをあげ、6試合ぶりの勝利に導いている。

 関塚監督は5月の湘南戦をちょうど視察に訪れており、この日の会見では「(6月の)2次予選前から注目してきた選手」と明かした。今回のU-22代表は大学生が中国で開催されるユニバーシア―ドを優先するため、Jリーガーのみのメンバー構成。さらに主力のFW山崎亮平(磐田)が甲状腺機能亢進症(バセドー病)を再発し、9月にスタートする五輪最終予選へ代表入りが難しい状況になっている。そこで代役として齋藤に白羽の矢が立った形だ。「サイドからのアタックができ、タフなプレーができる」と指揮官も大いに期待を寄せている。

 齋藤にとっては09年8月に韓国で開催されたU−20水原国際ユーストーナメントの代表入り。2年ぶりに日の丸を背負う。
「(関塚監督になって)代表に参加するのは初めてなので、まずはチームの雰囲気に慣れたい。そこでできることを見つけてアピールしたい。これからも続けて招集されるようなプレーをしたいと思います」
 久々に巡ってきたチャンスに落ち着いた口調ながらも決意をにじませた。

 この日は朗報とともに、つらい知らせも飛び込んできた。横浜時代の先輩である松田直樹選手(松本山雅FC)が死去したのだ。厳しくも面倒見のよい兄貴分だっただけにショックは大きい。
「戦う姿勢を常日頃から言われていた。その背中をずっと見て、追いかけてきました。その魂を受け継いでいきたいと思っています」
 その声は涙で震えていた。クラブ、そして日本代表には欠かせない存在だった松田選手。そんな亡き先輩に自らの成長を見せるためにも、悲しみを乗り越え、まずは次節(6日)のカターレ富山戦、そして代表のピッチで躍動する。