8月11日(木)
◇2回戦
 主将で4番の渡辺、全3打点に絡む活躍
九州国際大付(福岡)   2 = 000100001000
関西(岡山)         3 = 000100010001× (延長12回)
【本塁打】
(関)渡辺
 4回表、九州国際大付は1死満塁から6番・花田駿(2年)がフルカウントから四球を選び、押し出しで先制した。その裏、関西は1死から4番・渡辺雄貴(3年)が真ん中甘めに入ったスライダーをレフトスタンドへ。キャプテンが放ったチーム初安打が貴重な同点弾となった。

 再び試合が動いたのは8回裏。関西は1死二塁から4番・渡辺が外角高めの直球をライトへうまく弾き返すと、二塁ランナーが一気にホームへ。キャプテンの一打で関西が貴重な勝ち越し点を挙げた。1点を追う九州国際大付は9回表、先頭の3番・三好匠(3年)が強烈な打球を三塁線へ飛ばした。これを三塁手・渡辺が大きく弾き、三好は一気に二塁へ到達する。1死後、5番・龍幸之介(2年)が初球、内角高めにすっぽ抜けたスライダーを鋭く振り抜くと、打球はライト線を破った。二塁ランナーが返り、土壇場で追いつく。

 12回裏、九州国際大付はエース三好をから、2番手・サウスポーの大江遥(2年)にスイッチした。その大江は先頭の1番・小倉貴大(3年)を四球で出し、2番・妹島正明(3年)に送りバントを決められて1死二塁とサヨナラのランナーをスコアリングポジションに置いた。3番・佐藤翔也(2年)を四球で出し、さらに暴投で小倉を三塁に進めてしまう。ここで打席には全2打点を挙げている4番・渡辺。渡辺は見送ればボールの高めに浮いた直球を思いっきり叩きつけると、高いバウンドとなる。これを二塁手・平原優太(2年)が素早くバックホームし、クロスプレーとなる。甲子園の全視線が球審へと注がれた。そして次の瞬間、球審は両手を広げ、「セーフ」のジャッジ。タイミング的にはアウトだったが、小倉がうまくまわりこみ、左手でホームを突いていたのだ。主将で4番の渡辺が全3打点に絡む活躍を見せ、投げてはエース水原が12回を投げきり、強打の九州国際大付打線を5安打2失点に抑える好投で完投。投打がかみ合い、優勝候補の一角破った関西は、夏は2005年以来、11年ぶりに初戦突破を果たした。

 少ないチャンスをモノにし、初戦突破
海星(長崎)        0 = 000000000
東洋大姫路(兵庫)   4 = 00010003×
【本塁打】
(東)後藤田

 序盤、優位に試合を進めたのは海星だった。初回から毎回のようにランナーを出し、得点のチャンスをつくる。しかし、あと1本が出ず。なかなか先取点を奪うことができなかった。一方の東洋大姫路は海星のエース牧瀬凌都(3年)をとらえることができず、3回まで無安打と完璧に封じられる。

 ところが4回裏、海星にアクシデントが起こった。先頭打者から空振り三振を取ったところで牧瀬凌都(3年)が左ヒザを痛めた。急遽、ショートを守っていた永江恭平(3年)がマウンドへ上がる。ほとんど投球練習をせず、突然の登板となった永江に対し、それまで無安打に封じられていた東洋大姫路打線が攻め立てた。4番・増田隆治(3年)が初球を狙って二塁打を放つと、永江の暴投で三進する。続く5番・妻鹿亮介(3年)のヒットで増田が生還。東洋大姫路に待望の先取点が入った。

 7回裏、1死から打席に立った東洋大姫路のエース原樹理(3年)が頭に死球を受け、治療のためにベンチに下がる。その原に代走が送られ、原はここで降板となった。8回表、その原の後を継いだ岩谷力良(3年)は2死三塁とピンチを迎える。打席には原から三塁打を放っている好打者の3番・永江。その永江にフルカウントまで粘られた後の6球目、緩い変化球で空振り三振に取り、岩谷はピンチを凌いだ。
 8回裏、東洋大姫路は1死一、二塁から後藤田将矢(3年)に一発が出て、一挙3点を追加した。大きな援護をもらった岩谷は9回表、三者凡退に切ってとり、東洋大姫路が初戦突破を決めた。

 主将・川上、2発含む3安打7打点
光星学院(青森)   16 = 005017102
専大玉名(熊本)   1 = 000010000
【本塁打】
(光)川上2

 3回表、専大玉名に守備のミスが続き、自らピンチを招いた。先頭打者を四球で出すと、次打者の送りバントの打球を捕手・田中将平(3年)がお手玉し、一塁もセーフとなる。さらに送りバントを試みた1番・沢辰寿の打球をエース江藤秀樹(3年)と三塁手・藤岡弘大(3年)がお互いに躊躇し、内野安打となって、無死満塁としてしまう。この絶好のチャンスに光星学院打線が攻め立てた。まずは2番・天久翔斗(2年)のタイムリーで先制した。さらに3番・川上竜平(3年)が初球、甘く真ん中に入ったスライダーを迷わずフルスイングすると、打球は勢いよくレフトスタンドへ。主将の一発で一挙4点を追加した光星学院は試合の主導権握った。

 5回表、再び専大玉名に痛恨のミスが出た。1死後、打席には3回に満塁ホームランを放った川上。川上は同じように甘く入ったスライダーを振り抜くと、打球は左中間へ。これを捕球しようとした左翼手と中堅手がぶつかり、ボールを見失ってしまう。この間に川上はダイヤモンドを一周し、ランニングホームランとなった。その裏、専大玉名は7番・平原勝尋(3年)の犠牲フライで1点を返した。しかし、6回表、光星学院は4本の長打を含む5安打、打者12人の猛攻で一挙7得点を挙げた。

 8回裏、専大玉名は無安打ながら四死球で1死満塁とし、ビッグチャンスをつかむ。しかし、ここでも後続が続かなかった。3番・園道工也(3年)はショートフライに、4番・高橋昴希(3年)は空振り三振に倒れた。9回裏も1死から代打・丸山憲人(3年)が二塁打を放ち、一矢報いようとするも、7番・平原は投ゴロに、最後は代打・中島悠輔(3年)が空振り三振に倒れ、得点を奪うことができなかった。
17安打の猛打をふるい大量16得点を奪った光星学院は、投げては4人の小刻みな継投で専大玉名を散発5安打1失点に封じ、ベスト16進出を果たした。

 逆転勝ちで3大会ぶりに初戦突破
藤代(茨城)   1 = 100000000
徳島商      3 = 00021000×

 先制したのは藤代だった。初回、先頭の1番・豊島賢人(3年)が二塁打を放ち、いきなりチャンスを迎えた。2番・河原井惇(3年)が送りバントを決めて1死三塁とすると、3番・新貴将(3年)の打席で徳島商のエース龍田祐貴(3年)が暴投。この間に三塁ランナー豊島が先制のホームを踏んだ。

 3回まで1安打に封じられていた徳島商打線が4回裏、集中打を見せた。2番・竹内翼(3年)、3番・幸田健斗(3年)がこの試合初めて連打を放ち、無死一、二塁とした。続く4番・佐藤健人(3年)の打席の際、相手捕手がグラブからボールをこぼしたのを見ると、2走者が一斉にスタートし、二、三塁とした。佐藤は二ゴロに倒れるも、5番・生田洋介(3年)の打球は一塁への強襲ヒットとなり、竹内が同点のホームを踏んだ。なおも1死一、三塁。6番・咲田瑠星(3年)は空振り三振に倒れるも、7番・岸隆一郎(2年)がタイムリーを放ち、逆転に成功した。

 続く5回裏、徳島商は先頭の9番・龍田祐がヒットを放つと、1番・増富太鳳(3年)が送りバントを決めて1死二塁とした。2番・竹内の二ゴロの間に龍田は三進する。ここで3番・幸田がフルカウントからの7球目、スライダーを思いっきり引っ張り、三塁線を破る二塁打を放つ。龍田が生還し、徳島商に貴重な追加点が入った。
 試合はそのまま最終回を迎えた。2点を追う藤代は先頭の2番・河原井が内野安打で出塁し、反撃の狼煙を上げる。しかし、3番・新が空振り三振に倒れると、4番・中村の打球はショート正面に。6−4−3の併殺に終わった。
徳島商のエース龍田祐は散発4安打1四球の好投で完投。投打のかみ合った徳島商が逆転勝ちし、夏は3大会ぶりに初戦突破を果たした。