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(2大会連続2度目出場。世界選抜として活躍が期待される松山 (c)Getty Images)

 打倒、米国選抜――。
 PGAツアーの新シーズンを前に、2年に1度の「ザ・プレジテンツカップ」が開催される。10月8日から4日間の日程で、韓国のジャック・ニクラスGCが今回の舞台だ。1994年にスタートして以来、初めてのアジア開催となる。

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 劣勢の世界選抜、逆襲のキーマン

 米国選抜と欧州以外の世界選抜による対抗戦(両選抜12人ずつ計24人が参加)は、これまで8勝1分け1敗と米国選抜が圧倒している。それも現在6連勝中とあって、世界選抜はホーム開催となる今年こそ反撃の狼煙を上げたいところだ。

 今大会も役者が揃った。米国選抜は世界ランキングトップのジョーダン・スピースを筆頭に、全英オープン覇者ザック・ジョンソン、主将指名で過去10大会に出場しているベテランのフィル・ミケルソンらが名を連ねた。一方の世界選抜は全米プロ選手権で優勝したジェイソン・デイ(オーストラリア)、全英オープン2位のルイ・ウーストハイセン(南アフリカ)、そして日本の松山英樹らが入っている。

 松山は13年に続き、2度目の出場となる。世界ランキングではデイ、ウーストハイセン、アダム・スコット(オーストラリア)に次ぐ4番目で、かつホームのアジア開催とあって世界選抜の命運を握るキーマンと言っていいだろう。

 米国のホームで行なわれた前回大会。初参戦した松山は主にスコットと組み、1勝1分け3敗で1.5ポイントを獲得している。舞台となったオハイオ州のミュアフィールドビレッジGCは、24選手中、松山だけが未経験のコースであったという。しかし、そうしたマイナスの要因もものかは、ビッグネームたちを相手に堂々と渡り合った。

 記憶に残るのが初日の最終18番ホールだろう。
 ピンまで168ヤードという2打目。松山は、40センチにつける“スーパーショット”を見せた。その瞬間大きな歓声が上がり、ギャラリーは果敢な日本人に対する称賛を惜しまなかった。この一打で引き分けに持ち込み、松山&スコットは0.5ポイントを手にしている。15番でイーグルを奪ったスコットの活躍に乗せられるかのような終盤の粘りは、まさに松山の真骨頂と言えた。それまでマッチプレーを得意とする印象はなかっただけに、彼にとって大きな経験となったことは間違いない。

 2年前、松山や池田勇太ら多くのプロゴルファーを育てた東北福祉大ゴルフ部監督の阿部靖彦に話を聞く機会があった。
 高校卒業後の進路でプロか大学進学かで迷っていた松山に、阿部はこんな言葉をかけたという。

「松山の場合、父親は高校を出たらプロに行かせたかったんです。お父さんは松山が4歳のころからゴルフを教えており、日本アマにも出場するなど、地元ではそれなりに名前の売れたプレーヤーでした。
 しかし本人によれば『僕のまわりにはゴルフ仲間しかいない』と言う。それで僕は『今、プロに行っても、オマエならそこそこの選手にはなれるだろう。日本ジュニアにも勝っているしな。でも生意気な言い方をさせてもらえば、オマエは日本で勝って喜んでいるようなレベルの選手じゃない。世界で戦い、そして勝つ。そういう選手になりたいんだったらウチに来てやったほうがいい』と……」

 「世界で勝つ」ためのステップ

 世界で戦い、勝つ。そのために――。
 下半身強化など阿部が課した“世界へのステップ”を積み上げていき、松山は2013年 4月にプロ転向を表明したのだった。

 メジャーでの勝利を目標に置き、昨年6月の「ザ・メモリアルトーナメント」で初優勝を遂げ、今年のマスターズで5位と健闘した。伊沢利光、片山晋呉がマークした日本人最高の4位に届かなかったとはいえ、最終日に披露した66の猛チャージは「大物感」を漂わせた。メジャー制覇の野望は確実に近づいていると言える。

 さて「ザ・プレジテンツカップ」が終わると、いよいよPGAツアー、2015~2016シーズンの開幕戦となる「フライズドットコムオープン2015」(10月15日~18日)を迎える。カリフォルニア州のシルベラードリゾート&スパ ノースコースが今回の舞台となる。ローリー・マキロイ(北アイルランド)、ジャスティン・ローズ(イングランド)ら世界のトップクラスが参戦し、松山はプレジテンツ後のコンディションを見て出場の可否を判断することになりそうだ。日本勢の注目としては、石川遼が参戦する。昨年は19位と経験を積んでおり、大幅なジャンプアップに期待したい。

 松山はこの大会に一昨年、昨年と2年連続で出場し、いずれも3位と優勝まであと一歩に迫っている。ちなみに前回の優勝は韓国のベ・サンムンで彼は今回、母国での「ザ・プレジテンツカップ」で世界選抜の一員となっている。

 松山とすれば米国選抜に勝って勢いをつけて「フライズドットコムオープン」に臨みたいところ。いいスタートを切って、ぜひ今シーズンの主役を狙ってほしい。阿部が送った「世界で勝つ」瞬間は、間もなく訪れるはずだと信じている。

 スカパー!の「ゴルフネットワーク」では「ザ・プレジテンツカップ」と「フライズドットコムオープン2015」の模様を生中継する。新シーズンを占う意味でも、目が離せない大会となりそうだ。

日本唯一のゴルフ専門チャンネル!
世界最高峰の米PGA・欧州ツアーは全試合、米LPGAツアーは年10試合放送。
海外男女メジャーは長時間生中継。国内ツアーはとことん1番ホールシリーズを豊富にラインアップ。

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【放送スケジュール】(放送はすべてゴルフネットワーク

<ザ・プレジデンツカップ>
1日目:10月8日(木)10:00~16:30(生中継)
2日目:10月9日(金)10:00~16:30(生中継)
3日目:10月10日(土)7:00~17:00(生中継)
最終日:10月11日(日)10:30~16:30(生中継)
最大延長 1日目~3日目18:30まで、最終日19:30まで

<フライズドットコムオープン>
1日目:10月16日(金)6:00~9:00(生中継)
2日目:10月17日(土)6:00~9:00(生中継)
3日目:10月18日(日)6:00~9:00(生中継)
最終日:10月19日(月)6:00~9:00(生中継)
最大延長 3日目10:00まで、最終11:00まで

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