男子卓球で北京に続く2大会連続の五輪出場を決めた岸川聖也は、少年時代から世界で戦ってきた選手である。中学3年時よりドイツに渡って腕を磨き、北京五輪の団体では、そのドイツにあと一歩のところで敗れ、メダルを逃した。「オリンピックは4年に1度。その時に勝つしかない」。ロンドンでの目標はもちろんメダル獲得だ。24歳ながら日本を代表するプロ卓球選手となった岸川に、二宮清純が世界との違いを訊いた。
(写真:中学時代に卓球経験もある二宮との対談は盛り上がった)
二宮: ドイツでは現在、ブンデスリーガの1部でプレーされています。ドイツの卓球は日本とどんなところが異なりますか。
岸川: ドイツで活躍する選手は体が大きく、パワーがすごい。回転数の多い球をどんどん打ってきます。しっかり打ち返さないと、ラケットが吹っ飛ばされそうな感じになります。

二宮: 体が大きいとリーチも長く、離れた球も打ち返しやすい。その点も有利に働くのでは?
岸川: 多少はあるかもしれませんが、単にリーチが長ければよいとは限りません。体が大きいと動きは鈍くなりますし、体の真ん中を狙われると腕が窮屈になって打ち返しにくい。逆にそこが弱点になります。

二宮: ドイツに行って良かったことは?
岸川: コーチの配慮もあり、中学生、高校生の頃から1部に所属する高いレベルの選手と練習ができたことです。日本では一般的に、同じ年代の選手としか練習しない。でもドイツでは世代の異なる選手や、世界大会でメダルを獲った実力のある選手とも、同じ場所で練習できます。

二宮: そのドイツをしのぐ卓球王国といえば中国です。中国人はドイツ人と比べても体格が大きくなくて、むしろ日本人に近い。強さの秘密はどこにあるのでしょう?
岸川: 一言で言うと選手層の厚さだと思います。卓球人口が多いので、それに比例して強い選手もたくさん出てくる。強い選手と練習や試合ができる機会が多いので、どんどんレベルアップするのだと感じています。

二宮: 中国の卓球は攻撃的なスタイルが特徴的ですね。
岸川: とにかく攻めが速くて弱点が見当たりません(笑)。速いのみならず、サーブやレシーブのうまさも併せ持っている。勝つのは大変です。正直、中国の選手と対戦する時は、どう攻めればいいのかわからなくなることもあります。なんとか選手ごとに弱点を見つけ出し、そこを突いていくしかありません。

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