メジャーリーグのワールドシリーズは29日、第7戦を迎え、セントルイス・カージナルスがテキサス・レンジャーズに勝利し、王手をかけられてから2連勝で5年ぶり11度目のシリーズ制覇を果たした。立ち上がりに2点ずつを取り合った試合は、3回にカージナルスがアレン・クレイグのソロ本塁打で勝ち越し。その後も小刻みに得点を重ねると、継投でレンジャーズ打線を2回以降は無失点に封じた。シリーズのMVPには第6戦で起死回生の同点打とサヨナラ弾を放ち、この日も2打点をあげたデービッド・フリースが輝いた。
 ワイルドカードからのVは7年ぶり(カージナルス4勝3敗、ブッシュスタジアム)
テキサス・レンジャーズ    2 = 200000000
セントルイス・カージナルス 6 = 20102010×
勝利投手 カーペンター(2勝0敗)
敗戦投手 ハリソン(0勝2敗)
本塁打  (カ)クレイグ3号ソロ

 崖っぷちから3度蘇った。
 今季のカージナルスはレギュラーシーズンで8月にワイルドカード争いでアトランタ・ブレーブスに10.5差をつけられながら9月に追い上げ、最終戦で大逆転のプレーオフ進出を果たした。さらにディビジョン・シリーズでは4年連続のリーグチャンピオンシップ進出を狙ったフィラデルフィア・フィリーズに王手をかけられてから連勝。そしてこのシリーズでは、第6戦であとひとりで敗戦の窮地から2度追いつき、サヨナラで第7戦に持ち込んだ。

 この時点で流れはカージナルスにあったと言ってよい。だが、その勢いを確実にモノにしたのは投打のヒーローだった。
 まず投では先発のクリス・カーペンター。第5戦で7イニングを投げてから中3日ながらゲームをつくった。初回こそ2点を失ったが、粘りの投球でレンジャーズ打線にさらなる得点を与えない。7回途中6安打2失点とゲームをつくると、救援陣がランナーをひとりも許さないパーフェクトリリーフをみせた。

 打ではMVPを獲得したフリースだ。2点を先行された初回、2死から連続四球で得た一、二塁のチャンスで打席へ。フルカウントからインコースのボールをレフトへ運ぶ同点タイムリーを放つ。前夜、崖っぷちからチームを救った男が、ここでもいい仕事をした。

 こうなるとホームの大声援を受けたカージナルスは俄然、有利だ。3回、クレイグがライトへのソロホームランを放ち、勝ち越しに成功する。さらに5回は相手投手陣の乱調につけこみ、2つの押し出し四死球で2点を追加した。7回にはヤディエル・モリーナのタイムリーでダメ押し。主砲のマット・ホリデーが手首を傷めて欠場した影響を感じさせず、効果的に得点を重ねた。

 レンジャーズは、王手をかけてから投手陣が乱れた。第6戦では守護神ネスタリ・フェリスがリードを守りきれず、この日も6人の投手で計8四死球。2年連続のシリーズ進出ながら、あと1勝、あとひとりで初のシリーズ制覇を逃した。